診療科概要

細分化されていないからこそのメリットがある医局
積極的に外部施設での研修を行い、最先端の医療を目指す

外科【教授】斉田 芳久

大橋病院外科だからできる幅の広い、テーラーメイドの治療

当医局は、科内に上部消化管外科、下部消化管外科、呼吸器外科、肝胆膵外科、乳腺・内分泌外科の5つグループを持ち、20~30名ほどの医局員を抱える比較的小規模な医局です。
診療科が細分化されていないことで、さまざまな疾患に対して一つの科で診断、治療ができるため患者さんにとっては安心材料となりますし、医師から見ても目が行き届くという長所があると考えています。そういった環境のなかで、手術を含めた治療法のメリット、デメリット、患者さんの体力や考え方など、さまざまな要素を勘案しながらテーラーメイドの医療が提供できるように心掛けています。

院内だけで完結させない修行。積極的に外部へ

都心部の近くに位置する場所柄もあり、低侵襲でハイレベルな治療が求められています。常に最先端の医療を提供するためには、院内での研鑽だけでなく、国内外の他施設への留学や出向が不可欠と考えます。当科では医師の要望を聞いたり、上級医からの勧めを元に、院内の人員が多少厳しくなることがあっても積極的に他施設で勉強することを推奨しています。
各分野の先頭を行く施設で学んだ知識や技術を大橋病院に持ち帰ってもらい、求められる期待に応えられるように努力を重ねています。
また、臨床に直結するような研究にも取り組むよう指導し、留学同様に技術、知識のブラッシュアップに努めています。

医学部 医学科 外科学講座 一般・消化器外科学分野(大橋)
Division of General and Gastroenterological Surgery, Department of Surgery (Ohashi)

■ スタッフ紹介

教授斉田芳久、渡邉 学
准教授長田拓哉、浅井浩司,
講師石井賢二郎、萩原令彦
講師(病院)榎本俊行
院内講師桐林孝治
准修練医長尾さやか
助教西牟田浩伸、新妻 徹、柿崎奈々子、寺岡晋太郎、橋本瑶子、渡邉隆太郎、秋元佑介
院内助教伊藤一樹、佐々木彩、神馬真里奈、岡 由希、佐藤二郎、中村 岳、今井よい、小幡七菜、武藤光彦
名誉教授長尾二郎
客員准教授松清 大
客員講師能戸保光、阪本靖介
非常勤講師髙林一浩
非常勤医師岡本 康、森山穂高

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■ 概要

<消化管>

消化管疾患に対する年間の症例数は,胃癌約60 例,食道癌約10 例,大腸癌約150 例,総数約300 例で,胃癌ではそれぞれの病期に合わせ,ガイドラインに従い内視鏡治療,腹腔鏡下手術などの縮小手術・標準手術・拡大手術を施行している。大腸癌では,進行癌・直腸癌にも積極的に(8割)腹腔鏡下手術を導入し,患者のQOL の向上に努めている。進行大腸癌による腸閉塞症例においては金属ステント(EMS)挿入による解除術を当科にて開発,予後の悪い緊急手術と人工肛門の減少に努力している。術後の化学療法に関してはJCOG などで全国の専門医と連携しながら臨床試験を積極的に行っている。術後成績:早期胃癌の5 年生存率は95%,進行胃癌の5 年生存率は44%,早期大腸癌の5 年生存率は98%,進行大腸癌の5 年生存率は70%。全消化管手術での術後重篤合併症の発生率は,3.8%と低率である。消化管に対する腹腔鏡下手術は1993 年から開始し,現在,食道癌,逆流性食道炎,食道裂孔ヘルニア,食堂アカラシア,早期胃癌,胃腫瘍,十二指腸潰瘍穿孔,小腸腫瘍,イレウス,急性虫垂炎,炎症性腸疾患(クローン病,憩室炎など),大腸癌,直腸癌,鼠径ヘルニア,大腿ヘルニアなど,緊急手術症例も含め積極的に施行している。
食道・胃・大腸外科
肛門外来
ヘルニア外来

<肝・胆・膵>

肝胆膵グループでは腹腔鏡下手術などの低侵襲手術から機能温存手術、大血管合併切除などの拡大手術まで多岐にわたり多くの手術を行っている。
「肝臓手術」
最近5年間の肝臓手術総数は92例であった。肝細胞癌に対しては肝機能因子と腫瘍因子(腫瘍径・部位・脈管侵襲など)より肝切除、RFAを中心とする焼灼療法、TACEを組み合わせた集学的治療を行い良好な治療成績をおさめている。肝細胞癌の5年生存率は38.8%であった。一方、大腸癌肝転移を中心とした転移性肝癌に対しても積極的に肝切除を行っており、大腸癌肝転移切除例の5年生存率は39.9%であった(非切除症例の5年生存率は4.6%)。
「胆道手術」
最近5年間の胆道手術総数は796例であった。胆嚢摘出術症例は年間150例以上を経験しているが、ほぼ100%腹腔鏡下に行っており、その完遂率は98%を越えている。急性胆嚢炎に対しては早期に腹腔鏡下胆嚢摘出術を行い、入院期間の短縮・診療コストの削減を図っている。また近年では単孔式腹腔鏡下手術(SILS: Single incision laparoscopic surgery・SPS: Single port surgery・TANKO)も積極的に取り入れており症例数も増加傾向にある。胆道癌に対しては非治癒因子がなければ積極的に切除を行っており、胆管癌、胆嚢癌、十二指腸乳頭部癌の5年生存率はそれぞれ39.6%、40.5%、72.7%であった。
「膵臓手術」
最近5年間の膵臓手術総数は73例であった。膵癌に対する門脈合併切除も積極的に行いR0手術を心掛けている。また、症例によっては術前あるいは術後に放射線化学療法を行い、生存期間の延長に努めている。膵癌切除症例の5年生存率は29.7%であった。手術手技に関しては膵切除や吻合方法などに関してさまざまな工夫を行い術後合併症が減少し良好な手術成績をおさめている。また、近年では機能温存膵手術も行っており、嚢胞性膵疾患に対する脾臓・脾動静脈温存尾側膵切除や膵石症に対するFrey手術なども症例数が増加傾向にある。
肝胆膵外科
胆嚢専門外来(胆臓・胆嚢・胆道・膵臓専門外来)

<肺・縦隔>

呼吸器疾患に対する臨床的研究として,肺・縦隔腫瘍に対する手術療法を中心とした放射線,および化学療法との集学的治療を行っている。自然気胸や肺嚢胞症,転移性肺腫瘍,その他の良性腫瘍に対し胸腔鏡手術に対応している。縦隔疾患では,重症筋無力症に対する拡大胸腺摘出術を研究しており,すでに多くの症例を蓄積し,良好な成績を収めている。一方で,皮膚切開方法を独自に開発し,特に女性患者のQOL を改善した。さらに,胸腺腫の術前診断にMRI を応用し,その有用性を病理学的分析とともに解析している。
呼吸器外科

<乳腺>

城南地区に位置する大学付属病院として近隣の医師会からの紹介患者も多く,マンモグラフィ検診認定施設として認定医師・技師が実施。また,年間2,000 例の乳腺超音波検査・超音波ガイド細胞診・針生検を行っている。さらに、乳癌センターにて初診患者の診療を行っている。 昨年度は約60%の温存率で,色素・RI 併用センチネルリンパ節生検で腋窩リンパ節郭清の省略など,病理学研究室および放射線科とともにチームで診療を行っている。補助療法に関しては,乳癌治療に関する各ガイドラインをベースに,術前,術後の化学・内分泌療法を行っており,積極的にアンスラサイクリン・タキサン系薬剤・ハーセプチンなどの投与を原則的に通院で行っている。種々のPhase Ⅱ trial やpilot study にも参加し,研究結果を乳癌学会などの学会・研究会に積極的に発表し,隣接する他大学・基幹病院とともに年2 回の城南乳腺研究会や種々のフォーラムを密接に協力して運営し,講演の企画など城南地区の乳腺疾患に対する啓蒙活動や研鑽に努めている。
乳腺外科
乳癌センター

<外科感染症>

外科感染症対策チームは,2名のinfection control doctor(ICD)が,病棟内の感染サーベイランス,周術期感染症に対し,臨床的,基礎的に広く研究している。特に教室が1987 年より集計している術後感染,穿孔性腹膜炎などの外科的感染症例や,その臨床分離菌を独自の詳細な集積を源に,分離菌の薬剤感受性を検討し,耐性菌予防のための抗菌化学療法などを研究している。これらは臨床的にも良好な成績を収めている。また,院内感染対策では独自の手指消毒マニュアルの作成や呼吸不全症例の管理,多臓器不全症例の耐性菌対策を研究している。最近3年間のMRSA感染生存率は0.4%CD腸炎は0.1%と世界的に低い発生率におさえている。
院内感染対策チーム