診療内容

診療内容

はじめに

 呼吸器外科グループ(呼吸器班)は、原発性・転移性肺癌をはじめとした悪性疾患、若年者および重喫煙者で見られる自然気胸、胸腺腫をはじめとした縦隔腫瘍、その他の呼吸器疾患に対応しております。

1,呼吸器外科手術症例数について

 当院は呼吸器外科専門医合同委員会認定修練施設(関連施設)でありますが、呼吸器外科領域の手術件数は、呼吸器外科専門医合同委員会認定修練施設の基幹施設申請条件である、年間75例以上を直近10年間保っており、2021年は初の100例を超える手術件数を施行しました。その内訳として、年間症例の3割前後が原発性肺癌症例で、同程度の自然気胸症例があり、当科の診療グループ症例の転移性肺癌症例が1割前後あることが特徴であります。昨年は原発性肺癌症例が41例→38例と減少し、自然気胸症例17例→28例および転移性肺癌症例11例→18例と増加しました。他にも、縦隔疾患や良性肺疾患に対する手術、また、縦隔リンパ節生検を目的とした縦隔鏡検査も施行しております。

2,手術方法と手術成績

 完全胸腔鏡下手術は8割後半を占めており、補助下に胸腔鏡を使用した開胸手術を含めると、ほとんどの症例で胸腔鏡手術施行していることになります。
 開胸法については、当科では広背筋および前鋸筋を温存する開胸法(muscle-sparing thoracotomy)を採用しています。皮膚切開ラインは、緩いS状カーブを描くようにマーキングし、肩甲骨下端から後方約12cmを実際の皮切長として、第5肋間開胸としております。
 また原発性肺癌に対する完全胸腔鏡下手術も、条件により術式として取り入れており、昨年は肺葉切除術15例(60.0%)、区域切除術3例(100%)で施行しております。当科では、最大径約4㎝の孔(ポート)を3~4ヶ所作成して施行しております。
 原発性肺癌の術後5年生存率は2004年全国集計UICC ver.7と比較すると、Stage I期はやや劣るものの、Stage Ⅱ期は遜色ない成績でありました1)。今後も都会の病院らしく、安全で可能な限り低侵襲な手術方法により、早い社会復帰が可能な治療を追求していく所存であります。

3,各疾患に対する治療戦略

【原発性肺癌】
 原発性肺癌は、早期肺癌に対して標準的な胸腔鏡補助下肺葉切除術を行っており、全国平均と同等の手術成績を収めています。進行肺癌に対しては、手術療法以外に、化学療法(殺細胞性抗癌剤、分子標的薬剤、免疫チェックポイント阻害薬)、放射線療法を行っています。左房・心嚢・胸壁などの合併切除による拡大切除も行っております。

【気胸】
 通常の気胸手術は、短期入院が主体で、術後2−4日で退院を許可いたしております。平均的な入院期間は5日間です。

【縦隔疾患】
 前縦隔・中縦隔腫瘍に対する胸腔鏡下切除を行っております。当科では胸腺腫や神経鞘腫などの腫瘍性疾患や、重症筋無力症における拡大胸腺摘出術に対しても、従来の胸骨正中切開ではなく胸腔鏡下手術を施行しております。入院期間の短縮や優れた美容面の恩恵を得られることから、現在当科における標準術式となっており、最近では径6cm大以上の胸腺腫においても、摘出可能であれば施行しております。
 過去に施行された拡大胸腺摘出手術におきまして、胸腔鏡下手術で施行した22例は、従来の拡大胸腺摘出術71例と比較して、手術時間は有意に延長しましたが、入院期間は有意に短縮することができました(橋承15−31)。
 重症筋無力症に対する拡大胸腺摘出術は約35年間の経験があり、神経内科との協力で寛解率21%、有効率85%を得ております。また、胸腺腫症例は60例を越え、非侵襲的な術前診断法の研究も行っております。

呼吸器外科外来(2021年4月〜)

診療日時 : 担当医
毎週木曜日:萩原 令彦 新妻 徹
毎週金曜日:桐林 孝治

スタッフ紹介

桐林 孝治(キリバヤシ タカハル)院内講師、金曜日外来担当
西牟田 浩伸(ニシムタ ヒロノブ)(国立病院機構 東埼玉病院 出向中)
萩原 令彦(ハギワラ オサヒコ)助教、木曜日外来担当
新妻 徹(ニイツマ トオル)助教、木曜日外来担当
伊藤 一樹(イトウ カズキ)(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 研修中)

場所

外来:2階 外科外来
化学療法:1階 化学療法室

お問い合わせ先

東邦大学医療センター大橋病院 外科外来
電話03-3468-1251
2019年5月 第36回日本呼吸器外科学会学術集会(大阪国際会議場)にて

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
大橋病院 呼吸器外科

〒153-8515
東京都目黒区大橋2-22-36
TEL:03-3468-1251(代表)