診療内容
はじめに
呼吸器外科グループ(呼吸器班)は、原発性・転移性肺癌をはじめとした悪性疾患、若年者および重喫煙者で見られる自然気胸、胸腺腫をはじめとした縦隔腫瘍、その他の呼吸器疾患に対応しております。
1,呼吸器外科手術症例数について
当院は呼吸器外科専門医合同委員会認定修練施設(関連施設)でありますが、呼吸器外科領域の手術件数は、呼吸器外科専門医合同委員会認定修練施設の基幹施設申請条件である、年間90例以上を直近9年間保っており、2024年は99例の手術件数を施行しました。その内訳として、年間症例の3割前後が原発性肺癌症例で、1割強が自然気胸症例、当科の診療グループ症例の転移性肺癌症例が1割前後あることが特徴であります。他にも、縦隔疾患や良性肺疾患に対する手術、また、縦隔リンパ節生検を目的とした縦隔鏡検査も施行しております(図1)。

2,手術方法と手術成績
胸部疾患に関しては、ほとんどの症例で完全鏡視下手術が施行されております。特に原発性肺癌の根治術式である、胸腔鏡下肺葉切除術及び区域切除術におきましては、従来当科で施行されてきた4ヶ所の孔で行う方法に加え、虎の門病院呼吸器センター外科で鍛錬した手術手技を踏襲し、胸部に3ヶ所の孔のみで行う3-port胸腔鏡下手術を、2023年から症例により導入しております。昨年は肺葉切除術23例(100%)、区域切除術3例(100%)で完全鏡視下にて施行されております(図2)。

また近年,ロボット支援下手術は呼吸器外科領域にも適応拡大が行われ、2018年4月にロボット支援下手術として肺悪性腫瘍及び縦隔悪性腫瘍が保険適応となり、2024年度の「診療報酬改定において対応する優先度が高い技術」として肺切除術(肺葉切除)(ロボット支援)及び肺切除術(区域切除)(ロボット支援)が承認されました。そして2024年6月から肺良性ならびに炎症性腫瘍に対しても、肺切除術(肺葉切除)(ロボット支援)及び肺切除術(区域切除)(ロボット支援)が適応となリました。

当科でも、2024年8月より、ロボット支援胸腔鏡下手術を症例により施行されております。高自由度多関節機能、手振れ防止機能、高画質3D画像などの機能による安定した高画質の術野での精緻な操作を背景として、今後、呼吸器外科領域においてもその有用性が期待される手術術式であり、2025年2月現在で7例の肺葉切除術が施行されております。なお10例までは保険非適応であり、その際の出費は病院からの出費になりますので、患者さんの出費は入院費用のみになります。
原発性肺癌の術後5年生存率は2004年全国集計UICC ver.7と比較すると、Stage Ⅰ期はやや劣るものの、Stage Ⅱ期は遜色ない成績でありました1)。今後も都会の病院らしく、安全で可能な限り低侵襲な手術方法により、早い社会復帰が可能な治療を追求していく所存であります。(図3)
通常は手術前日入院で、翌日から飲水食事歩行可能。入院期間は5-7日程度で、退院翌日よりデスクワーク程度の仕事は可能です。

当科でも、2024年8月より、ロボット支援胸腔鏡下手術を症例により施行されております。高自由度多関節機能、手振れ防止機能、高画質3D画像などの機能による安定した高画質の術野での精緻な操作を背景として、今後、呼吸器外科領域においてもその有用性が期待される手術術式であり、2025年2月現在で7例の肺葉切除術が施行されております。なお10例までは保険非適応であり、その際の出費は病院からの出費になりますので、患者さんの出費は入院費用のみになります。
原発性肺癌の術後5年生存率は2004年全国集計UICC ver.7と比較すると、Stage Ⅰ期はやや劣るものの、Stage Ⅱ期は遜色ない成績でありました1)。今後も都会の病院らしく、安全で可能な限り低侵襲な手術方法により、早い社会復帰が可能な治療を追求していく所存であります。(図3)
通常は手術前日入院で、翌日から飲水食事歩行可能。入院期間は5-7日程度で、退院翌日よりデスクワーク程度の仕事は可能です。

3,各疾患に対する治療戦略
【原発性肺癌】
原発性肺癌は、早期肺癌に対して標準的な胸腔鏡下肺葉切除術を行っており、全国平均と同等の手術成績を収めています。また小型肺癌や肺機能が不十分な場合には、切除する肺を少なくする目的で、肺区域切除術や肺部分切除術といった縮小手術を行うこともあります。
一方、進行肺癌に対しては、手術療法以外に、化学療法(殺細胞性抗癌剤、分子標的薬剤、免疫チェックポイント阻害薬)、放射線療法を行っています。左房・心嚢・胸壁などの合併切除による拡大切除も行っております。
【転移性肺癌】
大腸癌、乳癌、肝臓癌、食道癌、甲状腺癌、膵臓癌、腎臓癌、頭頚部癌、卵巣・子宮癌などさまざまな癌が肺に転移してきますが、元となる癌が治療されていて、肺以外の病変が存在しないか対処可能な状況で、肺の病変をすべて切除できる場合(両側肺で9か所以内)には切除を行います。通常は胸腔鏡下手術で施行します。
【気胸】
肺が自然に破れて起こります。肺病変部を切除して比較的正常な部分で縫合し、再発予防のために更に周辺の肺を補強します。通常は胸腔鏡下手術で施行します。高度な肺気腫に伴う気胸や、何度も繰り返してしまう気胸に対しても胸腔鏡下手術で行えます。通常の気胸手術は、短期入院が主体で、術後2−4日で退院を許可いたしております。平均的な入院期間は5日間です。
【縦隔疾患】
前縦隔・中縦隔腫瘍に対する胸腔鏡下切除を行っております。当科では胸腺腫や神経鞘腫などの腫瘍性疾患や、重症筋無力症における拡大胸腺摘出術に対しても、従来の胸骨正中切開ではなく胸腔鏡下手術を施行しております。入院期間の短縮や優れた美容面の恩恵を得られることから、現在当科における標準術式となっており、最近では径6cm大以上の胸腺腫においても、摘出可能であれば施行しております。
原発性肺癌は、早期肺癌に対して標準的な胸腔鏡下肺葉切除術を行っており、全国平均と同等の手術成績を収めています。また小型肺癌や肺機能が不十分な場合には、切除する肺を少なくする目的で、肺区域切除術や肺部分切除術といった縮小手術を行うこともあります。
一方、進行肺癌に対しては、手術療法以外に、化学療法(殺細胞性抗癌剤、分子標的薬剤、免疫チェックポイント阻害薬)、放射線療法を行っています。左房・心嚢・胸壁などの合併切除による拡大切除も行っております。
【転移性肺癌】
大腸癌、乳癌、肝臓癌、食道癌、甲状腺癌、膵臓癌、腎臓癌、頭頚部癌、卵巣・子宮癌などさまざまな癌が肺に転移してきますが、元となる癌が治療されていて、肺以外の病変が存在しないか対処可能な状況で、肺の病変をすべて切除できる場合(両側肺で9か所以内)には切除を行います。通常は胸腔鏡下手術で施行します。
【気胸】
肺が自然に破れて起こります。肺病変部を切除して比較的正常な部分で縫合し、再発予防のために更に周辺の肺を補強します。通常は胸腔鏡下手術で施行します。高度な肺気腫に伴う気胸や、何度も繰り返してしまう気胸に対しても胸腔鏡下手術で行えます。通常の気胸手術は、短期入院が主体で、術後2−4日で退院を許可いたしております。平均的な入院期間は5日間です。
【縦隔疾患】
前縦隔・中縦隔腫瘍に対する胸腔鏡下切除を行っております。当科では胸腺腫や神経鞘腫などの腫瘍性疾患や、重症筋無力症における拡大胸腺摘出術に対しても、従来の胸骨正中切開ではなく胸腔鏡下手術を施行しております。入院期間の短縮や優れた美容面の恩恵を得られることから、現在当科における標準術式となっており、最近では径6cm大以上の胸腺腫においても、摘出可能であれば施行しております。

過去に施行された拡大胸腺摘出手術におきまして、胸腔鏡下手術で施行した22例は、従来の拡大胸腺摘出術71例と比較して、手術時間は有意に延長しましたが、入院期間は有意に短縮することができました(橋承15−31)。

重症筋無力症に対する拡大胸腺摘出術は約35年間の経験があり、神経内科との協力で寛解率21%、有効率85%を得ております。また、胸腺腫症例は60例を越え、非侵襲的な術前診断法の研究も行っております。
呼吸器外科外来(2024年10月〜)
診療日時 : 担当医
毎週木曜日:新妻 徹、伊藤 一樹
毎週金曜日:桐林 孝治
毎週木曜日:新妻 徹、伊藤 一樹
毎週金曜日:桐林 孝治
スタッフ紹介
桐林 孝治(キリバヤシ タカハル)院内講師、金曜日外来担当
西牟田 浩伸(ニシムタ ヒロノブ)(国立病院機構 東埼玉病院 出向中)
萩原 令彦(ハギワラ オサヒコ)講師
新妻 徹(ニイツマ トオル)助教、木曜日外来担当
伊藤 一樹(イトウ カズキ)助教、木曜日外来担当
西牟田 浩伸(ニシムタ ヒロノブ)(国立病院機構 東埼玉病院 出向中)
萩原 令彦(ハギワラ オサヒコ)講師
新妻 徹(ニイツマ トオル)助教、木曜日外来担当
伊藤 一樹(イトウ カズキ)助教、木曜日外来担当

場所
外来:2階 外科外来
化学療法:1階 化学療法室
化学療法:1階 化学療法室
お問い合わせ先
東邦大学医療センター大橋病院 外科外来
電話 03-3468-1251
電話 03-3468-1251

2019年5月 第36回日本呼吸器外科学会学術集会(大阪国際会議場)にて