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がん口腔機能管理部門

ご挨拶

部長 関谷 秀樹

がん治療は主に手術・抗がん剤や分子標的治療薬による薬物療法・放射線療法の三つから成り立っています。実際の治療はこれらのうちの単独療法のこともあれば複数の組み合わせから選択されて行われることもありますが、いずれの治療におきましても口腔内外の器官・臓器に粘膜炎や感染症などの合併症を発症することが少なくありません。

重度の口腔粘膜炎や味覚障害が原因で低栄養状態が続くと、体力・抵抗力が低下してしまい感染症を発症しやすくなり、場合によっては合併症への対策のためにがん治療が滞ってしまうこともあります。

がん口腔機能管理部は、がん治療中におこる合併症の予防および治療とがん治療中や治療後におこる副作用の緩和治療を目的として、当院各診療科およびコメディカルとの密接な連携をはかり、がん化学放射線療法およびがん手術周術期の包括的口腔管理を行い、安全で苦痛の少ないがん治療を受けられるよう支援します。

がん治療における主な合併症とその治療方法

粘膜炎(口内炎)

がん治療中におきる口腔内合併症
薬物療法や頭頸部の放射線治療により起こります。軽度のものは通常の口内炎程度ですが、重症化すると粘膜全体に炎症が広がるため痛みで食事がとれなくなることもあります。

対策として専従の歯科衛生士による口腔ケアや発症を助長する鋭利な歯の削合とプロテクターの作成、漢方薬の処方などで重症化を予防します。また発症した場合は痛みをおさえる含嗽剤や塗り薬で治療します。

真菌・ウィルス感染症

口腔内にはもともとさまざまな細菌やウィルスが存在しますが、健康なうちはそれらに悩まされることはほとんどありません。しかし、がん治療により一時的に免疫力が低下した際には、真菌・ウィルスによる粘膜炎を発症することがあります。予防には口腔ケアが有効です。症状に応じてお薬による除菌も行います。

歯性感染症や誤嚥性肺炎等の感染症

抗がん剤治療などの影響で感染防御能が極度に低下すると口腔内の感染症が著しく重症化することがあります。発症した場合はがん治療の中断を余儀なくされることが少なくありません。このためがん治療前に無症候性のものを含めて感染巣の精査を行い、見つかった場合はあらかじめ治療をしておく必要があります。また、口腔内の衛生状態によっては誤嚥性肺炎などを発症するリスクが高まります。免疫力の低下しやすい治療を受ける方には事前に専従歯科衛生士による口腔ケアを受けることをお勧めします。

口腔乾燥症・味覚異常

薬物療法や頭頸部への放射線治療に合併して起こることがあります。保湿剤や飲み薬による治療が有効です。

薬剤関連性顎骨壊死の予防

近年、がん治療に用いられる一部の薬剤と、歯科疾患および治療に関連して発症する難治性の顎骨壊死が相次いで報告されています。現在、すでに発症してしまった顎骨壊死を早期に治癒できる有効な治療法はありません。そのため当該薬剤を使用する予定の方は、薬剤を開始する前に疾患の精査を行い、治療をしておくことが必要です。

スタッフ構成

  • 担当歯科医師 2名
  • 専従歯科衛生士1名

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お問い合わせ先

東邦大学医療センター
大森病院 がんセンター

〒143-8541
東京都大田区大森西6-11-1
TEL:03-3762-4151(代表)