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構造的心疾患に対するカテーテル治療

動脈管開存症に対するカテーテル治療

動脈管とは、肺動脈と大動脈をつなぐ血管のことです。生まれる前の胎児は、肺を使って呼吸しないために心臓から肺への血液の流れを必要とせず、この動脈管が開いた状態にあります。通常は、出生後自然に閉鎖しますが何らかの影響で開存したままのものを動脈管開存症といいます。

小児期は成長障害や、心不全のリスクとなることはよく知られていますが、高齢になると小さな動脈管開存であっても、心不全、不整脈、肺高血圧、感染性心内膜炎のリスクがあるといわれています。

この動脈管開存症は多くが低侵襲カテーテル動脈管閉鎖術で治療が可能です。術後の安静時間は短く、多くの方がその後の内服加療を必要としません。東邦大学ではハートチームによる体制で、それぞれのエキスパートが専門分野の知識や技術を持ち寄り、患者さんにとって最適と思われる治療法を選択し、治療を行います。

動脈管開存症

 動脈管とは、肺動脈と大動脈をつなぐ血管のことです。生まれる前の胎児は、肺を使って呼吸しないために心臓から肺への血液の流れを必要とせず、この動脈管が開いた状態にありますが、通常は、出生後自然に閉鎖します。

出生時の酸素レベルの上昇に応じ、肺がブラジキニンという物質を放出し、動脈管の平滑筋壁を引き締めて、また母親の体にある循環プロスタグランジンが消失することで、動脈管を通る血流が減り閉鎖します。

通常、動脈管は出生後2~3時間以内に狭まり、10~15時間で血流が途絶え、機能が閉鎖し線維性の構造物となります。2~3週間以内に完全に閉塞することで、血液が大動脈から肺動脈に進入するのを防ぎます。
閉鎖が起こらず、本来は身体に流れるはずの血液の一部が、動脈管を通って肺動脈へ流れてしまう状態を、動脈管開存症(Patent Ductus Arteriosus: PDA)といいます。

 動脈管開存症は、2,000人に1人の先天性心疾患ですが、早産で生まれた方、女性に多い傾向があります。動脈管開存症は、ある一定の大きながあると成長障害や、心不全のリスクとなることはよく知られていますが、高齢になると小さな動脈管開存であっても、心不全、不整脈や肺高血圧を発症することがあります。

また雑音のある動脈管開存症は、感染性心内膜炎のリスクがあるといわれています。Krichenko分類を用いて形態を評価します。
治療には、開胸による外科手術、カテーテルによる治療の選択肢があります。カテーテルによる治療は、外科手術と比較して治療時間や入院期間が短く、退院後直ちに社会復帰できます。

外科手術は全身の負担が強く、動脈管単独の治療になかなか踏みきれません。カテーテル治療はそけい部に数ミリの創が残りますが、胸の部分には残りません。治療方法の選択は、患者さんの年齢や動脈管の状態などからご提案します。
診断の確定には、心臓の超音波検査やCT検査を行い、動脈管の太さや流れを確認します。

カテーテル治療について

カテーテルによる動脈管開存閉鎖システムとは

動脈管開存閉鎖システムは、閉鎖栓(オクルーダー)とデリバリーシース(デリバリーシステム)により構成されています。デリバリーシースを使って血管の中に閉鎖栓を進め、患部まで運び、動脈管開存を閉鎖します。

使用する閉鎖栓

閉鎖栓は、コルク栓のような形状にデザインされています。ワイヤーの部分は、ニッケルとチタンの合金で、内部にポリエステル製の布がついています。形状記憶効果により伸縮性があり、カテーテル内に収納することができます。体内に安全に運搬できるように設計されています。

治療の手順

成人は局所麻酔を行うことが多く、小児は安全面から全身麻酔を行うことがあります。

1.デリバリーシースを動脈管に通して下行大動脈に進めます。閉鎖栓をデリバリーケーブル(閉鎖栓とネジでつなげる細い金属製のワイヤー)に装着し、デリバリーシースを通して下行大動脈まで進めます。閉鎖栓が少しデリバリーシースから出るところまで進め、閉鎖栓の先端を少し開きます。

2.デリバリーシースごと少しずつ動脈管の位置まで引き戻し、さらに動脈管にしっかり固定するように、完全に閉鎖栓をデリバリーシースから出し展開します。

3.大動脈の造影を行い、正確な位置に固定されているか確認ができたら、閉鎖栓からデリバリーケーブルを外します。これで治療は終了です。

入院から退院まで

動脈管開存症のカテーテル治療は、外科手術に比べて患者さんの負担が少なく、比較的短期間で回復できます。経過が順調であれば2泊3日で退院が可能です。

退院後の生活

閉鎖栓が外れ、外科手術で取り出すことは非常にまれですが、閉鎖栓が動脈管に安定するまでの約1か月間は、激しい運動を避けてください。お仕事は、退院後数日程度してから復帰されることが多いようです。

治療後6か月間は、感染性心内膜炎の予防が必要です。歯科治療、手術などはなるべく避けてください。必要なときは事前に相談してください。

当院の実績と体制

当院では、循環器内科医、心臓血管外科医、麻酔科医、その他コメディカルなどの、ハートチームによる体制を整えています。それぞれのエキスパートが専門分野の知識や技術を持ち寄り、患者さんにとって最適と思われる治療法を選択し、治療を行います。

「画像提供:アボットメディカルジャパン合同会社」

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