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構造的心疾患に対するカテーテル治療

左心耳血栓予防の経カテーテル左心耳閉鎖治療

左心房の端に位置する左心耳は、ひだ状の構造をしており、血液がよどむと血栓が形成されやすい部分です。
心房細動により形成された血栓は、心臓内から大血管を介して脳血管に移動し、脳血管を閉塞することがあります。

左心耳閉鎖デバイス(WATCHMAN)を用いた左心耳閉鎖治療とは、先端にデバイスを付けたカテーテルを静脈に挿入し、心房中隔を穿刺して左心房に到達させたのち、心臓に達した時にデバイスを膨らませ、左心耳の入口に留置する手技です。

抗凝固薬を内服したいが出血を繰り返す、または繰り返すことが心配される患者さんに適した治療です。

2019年2月、ボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社が左心耳閉鎖システム「WATCHMAN左心耳閉鎖システム」の薬事承認を取得しました。WATCHMAN左心耳閉鎖システムは、非弁膜症性心房細動による脳卒中を予防する為のデバイスで、特に出血を繰り返し抗血栓薬の内服継続が難しい方、維持透析を行っており抗凝固薬が推奨されない方等に対する脳梗塞予防のための抗凝固療薬の代替療法として注目されています。
当院では、2019年秋から心房細動の治療として、このWATCHMAN(ウォッチマン)を用いた左心耳閉鎖治療を実施しています。

心房細動と心原性脳梗塞

心房細動は高齢者に多い不整脈であり、心臓内の電気信号により、心臓の上半分にあたる心房が不規則に動くものです。日本では、高齢者人口の増加に伴い、患者数が増えている疾患で、2010年度の患者数は約80万人以上と推定されます。

特に左心房の端に位置する左心耳は、ひだ状の構造をしており、血液がよどむと血栓が形成されやすい部分です。心房細動が起こると血液はよどむので、抗血栓療法を行わない心房細動患者さんは左心耳に血栓が形成されることが懸念されます。したがって心房細動により形成された血栓は、心臓内から大血管を介して脳血管に移動し、脳血管を閉塞することがあります。
これを心原性脳梗塞といいます。

大きな脳梗塞は重度の機能障害を引き起こす可能があり、場合によっては死に至ることもあります。心房細動により心臓が小刻みに振動することで、心臓の端の血流がうっ滞し、血栓が生じやすくなり、この血栓が心臓から脳の血管に移動し、血管を詰まらせまるのです。したがって心原性脳梗塞を防ぐためには、左心耳における塞栓の形成を予防するか、その部分に蓋をしてしまうことが重要です。

従来の予防治療

従来、ワーファリンという抗凝固薬を内服して血栓予防をしていましたが、左心耳を外科的に切除したり、クリップを使って左心耳を閉鎖したりする手術も行われてきました。しかし開胸を必要とすることから、単独での治療は行われにくく、徐々に低侵襲治療が求められるようになりました。

左心耳閉鎖治療

左心耳閉鎖デバイス(WATCHMAN)を用いた左心耳閉鎖治療とは、先端にデバイスを付けたカテーテルを静脈に挿入し、心房中隔を穿刺して左心房に到達させたのち、心臓に達した時にデバイスを膨らませ、左心耳の入口に留置する手技です。

左心耳閉鎖治療のメリット

ワーファリン等の抗凝固薬は服薬管理が難しく、出血性合併症のリスクがあります。様々な事情で抗凝固療法を継続できない方や、抗凝固薬を内服しても血栓塞栓症を発症してしまう方がいます。このような方にメリットがあります。
  • 抗凝固薬を内服したいが出血を繰り返す、または繰り返すことが心配される患者さん
  • 慢性腎不全により維持透析を行っている患者さん(透析患者さんは、出血リスクが高いので、透析学会はワーファリン等の 抗凝固薬の内服は原則禁忌として内服しないことを推奨していますが、それでは心房細動となった方の脳梗塞リスクを下げることができません)

ブレインハートチーム

当院では、高度なカテーテル治療の技術を持つ循環器内科医、心臓外科医、麻酔科医、心臓画像診断専門医や、ME(臨床工学技士)、看護師、放射線技師、その他メディカルスタッフなど、様々な職種の専門家によるハートチームを作り、この左心耳閉鎖術をしています。

循環器内科

脳神経外科

脳神経内科

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