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鼻副鼻腔疾患

鼻副鼻腔疾患

  • 鼻水が出る(水性鼻汁から膿性の鼻汁など様々です)
  • 鼻が詰まる
  • くしゃみ
  • 嗅覚障害
  • 頭痛、顔面痛など様々な症状を呈します。
鼻・副鼻腔疾患に対して鼻内から内視鏡を用いて手術治療を行っています。
以前のような口の中を切開する方法を選択せずに、施行できるようになりました。
内視鏡をきれいになり、手術器具も改良され、手術時間も短くなっています。

アレルギー性鼻炎

ハウスダストやダニに対する通年性アレルギー、またスギ花粉症など季節性アレルギーに対して治療を行います。
まずは、内服薬、点鼻薬など保存的治療を行い、改善が無い場合は手術療法を行います。

当院では、シェーバーシステムを用いた下鼻甲介粘膜切除術やレーザー治療を選択できます。
レーザー治療は、アルゴンプラズマ凝固、CO2(炭酸ガス)レーザーを選択できます。レーザー治療は局所麻酔での日帰り手術となります。

それぞれ長所・短所がありますが、患者さんの症状と社会性に合わせて検討することが可能です。

鼻中隔弯曲症

鼻中隔が左右の鼻腔を分けています。これが弯曲することで鼻閉などの症状がある疾患です。
過度の鼻閉、がある方は手術治療が必要となります。

また、鼻中隔弯曲があり、睡眠時無呼吸の治療機器であるCPAPがなかなか使用できない方も、手術によってCPAP使用のコンプライアンスが上がります。

鼻腔入口部から約1cm程の位置で粘膜に切開を加え、内視鏡で十分に確認をしながら彎曲した軟骨や骨を取り除きます。入院は5日間ほど必要です。

慢性副鼻腔炎

鼻閉、嗅覚障害、後鼻漏などの症状を呈します。鼻内に膿性鼻汁や、鼻ポリープが出現し鼻閉を来します。

以前は蓄膿症と言われていましたが、効果の高い抗菌薬の出現により、『昔ながらの蓄膿症』は減少しています。
それに対して、気管支喘息やアスピリン喘息を合併した好酸球性副鼻腔炎という内因性の素因による副鼻腔炎が増加しています。

鼻ポリープが存在しない場合は、マクロライド系抗菌薬を長期的に処方するマクロライド療法が有効ですが、鼻ポリープがある方は内視鏡を用いた手術療法が第一選択となります。

好酸球性副鼻腔炎

一般的な副鼻腔炎は、ウィルスや細菌感染が原因となり、鼻閉や鼻汁、痛みなど様々な症状を来します。しかし、近年は気管支喘息やアスピリン喘息などを合併し血液中の好酸球の割合が高い好酸球性副鼻腔炎が増加しています。

好酸球性副鼻腔炎の特徴として、鼻ポリープが多発し、嗅覚障害を来します。手術を行っても再発することもあります。この鼻ポリープ内にも多数の好酸球が浸潤しています。

本疾患は確立した診断基準がありませんでしたが、2015年に診断基準が提唱され、厚生労働省により難病の指定を受けました。鼻ポリープの有無、副鼻腔CTの所見、血液中の好酸球%により診断を行います。この診断基準で検討を行いますと当院での手術症例の約40%が好酸球性副鼻腔炎となります。

治療にはある程度はステロイドの内服や点鼻薬も有効ですが、鼻ポリープが発生しますと内視鏡を用いた手術が最も有効です。特に嗅覚は脱出している期間が長いと手術を施行しても改善しなくなるため、なるべく早期の手術が必要と考えられています。

副鼻腔手術は、外側に眼窩が存在し、上方から後方で頭蓋底と接しているため繊細な手術が要求されます。我々は、術前に詳細に解剖を検討し(Building block concept、蝶形骨洞前壁形態の分類)、安全なAreaと危険なAreaを同定(Area management)し、手術を進めることで安全な手術を追及しています。

現在、当院では年間約400件の鼻副鼻腔手術を施行していますが、過去4年間の検討では眼窩内損傷や頭蓋底損傷などの大きな副損傷は認めていません。

しかし、好酸球性副鼻腔炎は、いままでの慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)と異なり細菌やウィルスなどの外的要因ではなく、自身の内的因子が原因となるため再発しやすく難治な疾患です。

日本耳鼻咽喉科学会では、CT所見と末梢血好酸球%に加え、気管支喘息、アスピリン喘息などの有無により重症度を分類しています。その分類から、鼻ポリープなどの再発率、最終的な難治率(治癒率)を公表しています。

当院では、非好酸球性副鼻腔炎症例(再発率、難治率:4.0%、0.5%)、軽症好酸球性副鼻腔炎(再発率、難治率:8.9%、5.45%)、中等症(再発率、難治率:10.2.%、6.1%)、重症(再発率、難治率:31.4%、17.1%)と全国平均と比べ10 – 20%も良好であり、再手術が必要な症例もほとんどありません。

副鼻腔嚢胞

副鼻腔嚢胞とは、副鼻腔内に嚢胞が形成され内部に貯留液が充満し副鼻腔が拡大し骨壁が圧排されさまざまな症状が出現する疾患である。

最も多いのは経上顎洞的副鼻腔手術(Caldwell-Luc法)後に、数年から数十年経過して発生する術後性である。
最も多いのは眼症状であり、複視、眼痛、視力障害、眼球突出、視野障害などを来す。
また、前方に突出すると頬部の腫脹を訴える事も少なくない。

治療は、手術による開放であり、侵襲の少ない内視鏡下鼻内手術が第一選択となる。嚢胞の局在部位によっては、歯齦部切開を用いた経上顎洞的アプローチなど鼻外切開法を選択することもある。近年は、手術にナビゲーション・システムも導入され、より安全に手術が可能となっている。

上顎洞真菌症

副鼻腔内にカビが繁殖する病気です。

様々なタイプがあり、副鼻腔内に真菌(カビ)が繁殖して塊を作る真菌症、真菌が抗原となってアレルギー反応を起こすアレルギー性真菌性副鼻腔炎、そして真菌が深部組織へ浸潤する浸潤性真菌症があります。

浸潤性真菌症は、免疫不全状態の方に発症しやすく、早期に視力障害や頭蓋内出血など重篤な合併症を起こすことがあり早期に対応が必要です。

眼窩底吹き抜け骨折

眼を強打すると眼窩内側や下壁の骨が折れ眼窩内脂肪組織や筋肉が副鼻腔内に逸脱し、骨折部位に挟まり、眼球運動時に痛みが出たり、2重に見えるなどの複視を来します。

鼻内から内視鏡的に治療を行いますが、場合により口の中を切って経上顎洞的にアプローチして手術を行います。

その他の対象疾患

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
大森病院 耳鼻咽喉科

〒143-8541
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TEL:03-3762-4151(代表)