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腹腔鏡手術について

腹腔鏡手術について
胆嚢疾患はもちろんのこと、肝臓や脾臓、膵臓などの疾患に対しても患者さまへの負担を極力軽減させる手術を積極的に導入するよう鋭意努力し、その結果も極めて良好であります。

腹腔鏡下肝切除術

肝腫瘍に対する治療効果が高く、患者さまのからだへの負担が少ない術式として積極的に行っております。腹腔内に炭酸ガス(二酸化炭素)を注入し(気腹)、数本の手術器具を腹腔へ挿入することで、肝腫瘍を切除する方法です。病変が肝臓の左葉外側区域や下区域の表面にある場合は、腹腔鏡下肝切除術に好ましい条件としています。

術式としては、完全腹腔鏡手技の他、必要に応じ約7cmの傷から執刀医の左手のみを腹腔内に挿入する用手補助下手技(Hand Assist:ハンドアシスト)や、内視鏡下に肝臓を支持組織から遊離後に約7cm~10cm程度の傷から直接に肝切除をおこなう腹腔鏡補助下手技などがあり、病変の条件によって個々の患者さまごとに適した選択をしております。
開腹での肝切除術に比べ、術後の離床や社会復帰が早く、通常は翌日より歩行や食事を開始することができます。
術後合併症はこれまで12.2%の患者さまに認められておりますが重篤なものなく、また肝不全や手術死亡例などもみとめておりません。適応は腫瘍の大きさや場所によって制限を受けることもあります。過去の腹部手術によって癒着が強い方は、腹腔鏡手術は困難となります。
腹腔鏡肝切除の手技
腹腔鏡下肝切除術

腹腔鏡下肝嚢胞切除術

嚢胞の巨大化により腹痛・食欲不振・腹部膨満や、隣接臓器への圧排のための症状がある場合、手術の適応となります。嚢胞が腫瘍性のものでなく、単純性肝嚢胞であれば、必ずしも嚢胞壁の完全切除は必要なく、嚢胞の内容液を吸引後に、肝臓より突出した嚢胞壁のみを切除し、残った嚢胞壁を電気的に焼灼すること(天蓋切除)で嚢胞を治療することができます。
この術式も腹腔鏡下に行うことが可能で、手術後の回復も早く、早期退院も可能です。術後の嚢胞再発率は開腹術と比べて差はみとめておりません。

肝腫瘍凝固壊死療法

患者さまの肝臓の機能や腫瘍の大きさ・位置などを考慮して、開腹下や腹腔鏡下にマイクロ波やラジオ波の針状電極を使用して肝腫瘍を凝固壊死させるものです。
経皮的凝固壊死療法との違いは、全身麻酔を用いることと、直視あるいは腹腔鏡で観察しながら治療を行うため、腫瘍へ針状電極を刺入する際の出血や腫瘍の散布、隣接臓器の損傷などの予防に細心の注意を払うことができる点にあります。複数の腫瘍に対して、肝切除と同時におこなうこともできます。

腹腔鏡下摘脾臓摘出術

脾臓はその解剖学的な位置関係から、開腹手術では大きな皮膚切開と深い術野操作が必要とされます。腹腔鏡下脾臓摘出術は、小さな皮膚切開で良好な視野のもとでの手術が可能であり腹腔鏡下手術の特性がもっとも生かすことのできる術式の一つです。
本術式は1992年にわが国で初めて施行され、今や脾腫のない良性疾患に対し第一選択の術式とまでいわれるようになってきており、当科でも積極的に行っております。
また脾腫症例や腫瘍性病変に対しても用手補助下手技(Hand Assist:ハンドアシスト)などを応用し、極力小さな手術創で手術が終了できるよう鋭意努力しております。

腹腔鏡下膵臓切除術

膵嚢胞性腫瘍や膵内分泌腫瘍などの低悪性度腫瘍では腹腔鏡下に腫瘍の核出術や膵体尾部切除を中心とした膵手術も行われています。
我々も症例は少ないものの、膵嚢胞性腫瘍においては、正確な術前・術中診断のもと腹腔鏡下膵体尾部切除や腹腔鏡補助下脾動静脈温存膵体尾部切除を行い、有用な結果を得ています。

腹腔鏡下胆嚢摘出術

胆嚢疾患に対する腹腔鏡下手術は消化器外科領域ではもっとも古く、現在では日本の約80%の施設で行われております。
施設によりその適応は様々ですが、当科では手術既往例や高度炎症例などもその適応としております。このため術中開腹移行率は5%前後と他施設と相違ありませんが、術式などの変更を行った2003年以降の700例(2008年まで)には、術後出血や胆道損傷などの重篤な合併症は認めておりません。
予定手術における入院期間は5、6日間となっており、術後3、4日での退院が計画されます。実際の達成率も90%と高率です。
鏡下手術の手術創

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大森病院 消化器センター外科

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