#25 新たな門出にジュネーブ宣言について想いをはせる

ジュネーブ宣言に想いをはせる

 今日は新年度(2024年度)がスタートする日です。
今朝、病院へ向かう道すがら、東邦医大通りで多くのスーツ姿の方に出会いました。
新たに医療人としてのスタートを切る人、人事異動などで新しい職場に異動する人など様々な人々がいるでしょうが、一様に希望に満ちた眼差しを抱いているように感じました。
この時期になると、いつも思い起こす宣言があります。

ジュネーブ宣言とは

ジュネーブ宣言とは、1948年の第2回世界医師会総会(WMA)で規定された医の倫理に関する規定です。
医の倫理といえば、ヒポクラテスの誓い が有名ですが、さすがに古代ギリシャの時代の誓いですので、その精神を引き継ぎながら現代の倫理的精神に照らし合わせて規定したものが、ジュネーブ宣言になります。
1968年、1984年、1994年、2005年、2006年の改定を経て、現在の2017年版に至っています。
ここでは、日本医師会のHPに掲載された日本語訳を引用します。
 

WMAジュネーブ宣言

医師の一人として、

私は、人類への奉仕に自分の人生を捧げることを厳粛に誓う。
私の患者の健康と安寧を私の第一の関心事とする。
私は、私の患者のオートノミーと尊厳を尊重する。
私は、人命を最大限に尊重し続ける。
私は、私の医師としての職責と患者との間に、年齢、疾病もしくは障害、信条、民族的起源、ジェンダー、国籍、所属政治団体、人種、性的指向、社会的地位あるいはその他いかなる要因でも、そのようなことに対する配慮が介在することを容認しない。
私は、私への信頼のゆえに知り得た患者の秘密を、たとえその死後においても尊重する。
私は、良心と尊厳をもって、そしてgood medical practiceに従って、私の専門職を実践する。
私は、医師の名誉と高貴なる伝統を育む。
私は、私の教師、同僚、および学生に、当然受けるべきである尊敬と感謝の念を捧げる。
私は、患者の利益と医療の進歩のため私の医学的知識を共有する。
私は、最高水準の医療を提供するために、私自身の健康、安寧および能力に専心する。
私は、たとえ脅迫の下であっても、人権や国民の自由を犯すために、自分の医学的知識を利用することはしない。
私は、自由と名誉にかけてこれらのことを厳粛に誓う。

Good Medical Practiceとは

ジュネーブ宣言の8番目には、
「私は、良心と尊厳をもって、そしてgood medical practiceに従って、私の専門職を実践する。」
と掲げられています。

では、Good Medical Practice とは何でしょうか?
日本語訳として様々なものが用いられていますが、
「良質の医療のための原則」
というのがわかりやすいでしょう。
そこでは、医師は患者さんがその生命と幸福を医師に安心して託せるようにすべきであり、その安心して託せること(信託)に応えるために医師が専門職として良質の医療を維持し、人命を尊重する責務があり、そのために求められることとしての原則がいくつが述べられています。
わたしが、特に大学病院で働く医師に求める像として、産科婦人科学教室の責任者として、あえて挙げたいこととすれば、
「自己の専門職としての能力の限界を自覚すること」
その中でも
「専門職として知識・技量を絶えず更新し、最新のレベルに保つこと」
でしょう。
そして厳しいことですが、
「自分自身や同僚が医療行為を行うに相応しくないと信じるに足る十分な理由があるときには、速やかなに患者さんを守り、自己反省や同僚との真摯な協議を行うべき」
だと思います。
これから沢山の新しい仲間と働くことになりますが、来年のこの時期に桜を眺めたときにこの誓いがどうなっていたか、振り返ろうと思います。

投稿者:教授

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