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暑くなる季節・・「かくれ脱水」に要注意!!!

「かくれ脱水」という言葉をご存じですか。かくれ脱水とは脱水症になりかけているが自覚症状のない状態のことで、気付かずに放っておくと重篤な症状へと進むこともあります。かくれ脱水を早期に見つけ、脱水症を起こさないことが大切です。
夏になると毎年熱中症患者の増加が問題となりますが、熱中症の発生も脱水症からはじまります。毎年のように夏バテになる人も「かくれ脱水」の可能性が高いでしょう。 また、夏だけでなく寒くて乾燥している冬にも風邪やインフルエンザ・ノロウイルスへの感染からくる発熱・下痢・嘔吐などにより体液が失われ脱水症になりやすいのです。 子どもや高齢者はかくれ脱水になりやすいといわれています。子どもは体液量(特に細胞外液)や不感排泄が多い、腎機能が十分に発達していないことや、自分の意志で水分摂取ができないなどのリスクがあり、高齢者では喉の渇きを自覚しにくかったり、筋肉量の低下、腎機能の低下などのリスクがあるためです。
脱水症は体液が不足している状態で、水分喪失量に比較して水分摂取量が不足することによって生じ、水分だけでなく同時に電解質(主にナトリウム)も失われています。電解質には細胞の外側を満たす細胞外液に多く含まれるナトリウムイオン、細胞の内側を満たす細胞内液に多く含まれるカリウムイオンなどがあり、体内でとても重要な役割を果たしています。たとえばナトリウムはからだの水分を調節する働き、カリウムは筋肉や神経に関係のある働き、カルシウムは骨や歯の形成、神経刺激の伝達、血液の凝固に関係した働き、クロールは体内に酸素を供給する働きをそれぞれ担っています。体液とともに電解質が失われ体内の電解質バランスが崩れると、足がつったりめまいや立ちくらみ、しびれ、脱力などの症状が出てきたりします。
電解質の検査は主に血液、尿で行われ、体内の電解質バランスを調べています。また、脱水症は水分と電解質のどちらが多く失われるかで分類されます。発汗などにより電解質の喪失に比べ水分の喪失が著しいとき、血清ナトリウム濃度は増加します。下痢や嘔吐などにより水分喪失以上に電解質の喪失が著しいとき、血清ナトリウム濃度は低下します。また、尿中ナトリウム濃度を測定することでさらに細かい鑑別をすることができます。
これからの季節、暖かさを通り過ぎて暑さを感じることが多くなってきます。かくれ脱水や脱水症にならないためには体液が不足することを防ぐことが大切です。スポーツドリンクや経口補水液は発汗などにより失われた水分と電解質を効率よく補給できるので効果的です。汗をかいていると感じないときでも、人は代謝や呼吸により水分を失っています。日頃から十分な水分を摂り「かくれ脱水」にならないよう気をつけましょう。

一般検査室 迫屋舞