検査を通して患者さんのクオリティ・オブ・ライフの向上に貢献する臨床検査部
 
コラム ~検査にまつわるお話です~
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流れる大捜査線!

体の中を流れている血液は、現代社会においていわば警察官の様な働きをしています。たとえば悪者を捕まえる好中球、尋問して情報を得る単球、防衛網を張り巡らすリンパ球などがあります。今日はそんな彼らの活動内容をご紹介します。

~悪者から市民を守れ!~

『緊急指令、緊急指令。外部から侵入者が入り込んだ模様。捜査一課はただちに現場に急行して下さい!』体内に悪者(病原菌などの異物)が侵入してきた場合、指令を受けた好中球は血管から組織に入り確保しに向かいます。第二課支援部隊から単球が動員される頃には、好中球と悪者とがてんやわんやの奮闘中。『無駄な抵抗はやめなさい!』防弾チョッキを装備した単球は敵陣の中へ突入すると悪者を捕まえ尋問します。単球は情報を掴むとすぐに第三課防衛部隊のリンパ球へ情報を送ります。リンパ球はその情報を元に防衛方法を検討し、全身に免疫という防衛網を張り巡らします。次第に悪者達は好中球や単球、リンパ球によって力を失い沈静化していきます。一度捕まえた犯人の弱点などは免疫情報局でブラックリストに登録、管理され、同一犯に再び襲撃された時、より迅速に対応出来る態勢をとっています。

~海上保安官、海猿!~

体の中を流れている血液は血管という薄いホースのなかを流れています。その外壁に傷がつくと血液が外に漏れ出し出血を起こします。血液中には外壁障害を見守る海猿(血小板)がいます
『緊急指令、緊急指令、ただいま包丁で指を切ったもよう。ただちに現場に直行して下さい。』指令を受けた海猿はすぐさま現場に向います。しかしながら血液の流れが強く、なかなか傷を塞ぐことができません。『隊長!粘着剤を使用しましょう!』隊長が取り出した粘着剤(VWF)は傷口と海猿を次々とくっつけていき、海猿たち自身を小さな土嚢のようにして傷口を塞ぎにかかりますが、血流の勢いは増すばかりで小さな海猿たちは今にも血液の渦に呑まれてしまいそうです。隊長が『だめだっ。流れがきつくてこのままでは我々も流されてしまう。』と叫ぶと海猿たちはポケットの中からADPやコラーゲンといった魔法の粉(凝固因子)を自分たちの頭上めがけて一斉に振りかけました。この魔法の粉は海猿たちの上にマント(フィブリン)の様に覆いかぶさり、血流から海猿を守ります。こうした海猿の活躍によって私たちが指を切ったり転んだりしても、いずれ出血は止まり、傷が修復されるのです。
以上、ご説明した通り、さまざまな感染症や外傷からこれらの小さな警官隊は日々私たちの体を守ってくれています。これらは〔末梢血液一般検査(血算)・血液像〕として検査が実施されます。好中球・単球・リンパ球はいずれも白血球数と分類(%)として、また、血小板は血小板数として数値が表示されます。また、出血を止めることに関連した血小板の機能(働き)やフィブリン(フィブリノゲン)の量は、出血・凝固検査として実施されます。
私たちは、体を守ってくれている彼らが十分に活躍出来るように、美味しいものを食べ、適度に運動をし、時にはしっかりと休みながら日々を元気に乗り切っていきましょう。

血液検査室 上村三奈