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東京オリンピック開催決定!オリンピック病って…?

2020年、東京でオリンピックが開催されることが決定しました。そこで、今回は「オリンピック病」についてお話します。

「オリンピック病」とは

オリンピック病とは、マイコプラズマ肺炎のことで、4年置きに、しかも夏季オリンピックの開催される年に流行したためそのように呼ばれていました。しかし、最近では、流行に周期性が見られなくなっています。
マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマという細菌を原因とした呼吸器感染症で、非定型肺炎のひとつです。主な症状は、咳、発熱、全身倦怠感などがあり、多くは症状の軽いまま治りますが、まれに髄膜炎や脳炎、中耳炎などを引き起こし重症化することもあります。10~30代の若い世代に好発し、咳やくしゃみなどによる飛沫感染や患者と身近に接触したり病原体の付着したものに触れたりすることによる接触感染により感染します。

マイコプラズマ肺炎に対する検査

マイコプラズマ肺炎の原因である細菌そのものを分離同定する検査、細菌のDNAを検出する核酸検査(LAMP法)、感染によって血液中に出来る抗体を検出する血清抗体検査などがあります。分離同定検査では培養に時間がかかり、血清抗体検査が多く行われていますが、抗体が出来るまでには時間がかかり初期では検出されないという欠点があります。しかし、最近保険適用となったLAMP法でなら、抗体が検出されない発症初期の段階でもマイコプラズマ肺炎の細菌が排出されているので診断が可能であり、迅速なマイコプラズマ感染症診断に貢献しています。また、迅速且つ簡便に検査できるイムノクロマト法検査も開発され、当院では2013年10月から本法による検査を導入し、20分ほどでの結果報告が可能となりました。

マイコプラズマ肺炎に対する治療

マイコプラズマは一般の細菌と異なり、細胞壁をもっていないためペニシリン系などのβ-ラクタム系抗菌薬が無効で、エリスロマイシンなど蛋白合成阻害薬であるマクロライド系の抗菌薬が第一選択薬として用いられます。しかし、2000年以降、マクロライド系抗菌薬に耐性を示す菌が増加しており、現在では分離株の50%程度が耐性菌であると言われています。マクロライド耐性菌に対してはミノサイクリンなどのテトラサイクリン系抗菌薬やレボフロキサシンなどキノロン系抗菌薬が有効です。

おわりに

マイコプラズマ肺炎は秋~冬に流行し、特に幼稚園や小学校など小規模の範囲内で流行することが多く、一度罹っても何度も繰り返し再発する可能性があります。かつて4年に1度オリンピックの年に流行したマイコプラズマ肺炎でしたが、最近では毎年のように流行しています。マイコプラズマには有効なワクチンがなく、風邪やインフルエンザ予防同様、マイコプラズマの予防としても手洗い・うがいの励行、咳が出るときはマスクを着用するなどの咳エチケットが大切です。乾いた咳や39℃以上の高熱などの症状が長く続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

臨床化学検査室 迫屋 舞