コホート研究と予防

コホート研究と予防


予防に関する研究については、いくつかのHigh Risk研究において、15歳頃に行ったMMPIにおいて、後に統合失調症を発症した群において精神病症状尺度の高得点者が優位に多かったとされている。


またコペンハーゲンのハイリスク研究や英国の出生コホート研究では教師の評価により、15歳時の感情コントロールの不得手や不安傾向などの有意な高さが見出されている。


ニュージーランドの出生コホート研究では、11歳、15歳、18歳時の計3回、DISC-C(The Diagnostic Interview Schedule for Children)という半構造化面接を用いた評価を行っている。


DISC-Cには4つの精神病様症状を評価する項目([1]超能力や読心術などで心の中を読み取られたこと、[2]テレビやラジオからメッセージや暗号が送られてきたこと、[3]追跡されたり、 話を聞かれていると感じたこと、[4]他人には聞こえない「声」を聞いたこと)が含まれている。


まずコホート全体の15%が11歳の時点で何らかの精神病様症状を体験している。
そのうち特に精神病様症状を強めに体験している子供達の群で統合失調症様障害の発症リスクが16.4倍も高いことが示された。更にその群の25%が成人期以降に統合失調症様障害を発症し、70%が成人期以降においても1つ以上の精神病様症状を体験し、約90%が26歳の時点で社会機能や職業生活に関する何らかの困難を抱えていることも報告されている。


11歳時の精神病様症状体験(Psychotic-Like Experience: PLEs) は統合失調症様障害の発症群のほうが有意に多く認められ、疾患特異的な病前特徴であることが示されている 。


この高い予見性や疾患特異性は予防介入への希望をもたらし、また、多くの子供達が症状を体験していることは、ある意味「しばしばあること」と一般化でき、患者自身のスティグマの負担の軽減に寄与する可能性もある。それと同時に潜在的に症状に苦しんでいるたくさんの子供達がいるという事実を忘れてはならない。


その後、豪州、オランダ、日本においてもPLEsに関する研究が行われ、思春期一般人口の10%以上にPLEsが認められている。
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