治療環境の整備

治療環境の整備


英国最大の当事者団体であるRethinkの報告は、 精神病に苦しむ人々が必要な時に必要なサービスが受けられずにいることを明らかにし、 8つの阻害要素を提唱している。


それは、
[1]社会全般において精神障害に対する理解が乏しい
[2]早期からの適切な支援・治療を受けることが困難
[3]相談・治療へのアクセスの悪さ
[4]初診時の治療者・治療環境の印象の悪さ
[5]エビデンスに基づく最良の治療を受けることが困難
[6]当事者や家族の治療への主体的関与が困難
[7]生活全般の総合的支援サービスの乏しさ
[8]入院治療に代わる地域訪問型サービスの不足、である。


発症危険状態の人の兆候や早期治療についての知識を一般に普及させるには、
キャンペーンやメディアなども利用してスティグマを減らす方法もあるかもしれない。
助けを求める人が精神科サービスにつながりやすい環境を整備することと複雑ではなく開放的で簡単にたどり着けるサービスが必要である。


英国の包括型地域生活支援モデルやオーストリアのEPPIC(Early Psychosis Prevention and Intervention Centre)の取り組みや米国のYale大学のDEEP(the detection of early psychosis)プロジェクトなど諸外国の早期介入の実践から学ぶことは多い。


そして、 我々は日本社会に適した形を模索してゆかねばならない。


小林は現時点で考えられる早期診断・早期治療のフローチャートとして、 以下の流れを示している。
[1]自記式質問紙、 主観的体験の変化、 警告症状の有無などからスクリーニングをする。
[2]スクリーニングで心配な点があれば問診し、 半構造化面接や、 遺伝リスクや社会機能検査、 症状の重症度の評価を行う。
[3]補助診断として画像検査や認知機能検査を必要に応じて行い、 身体疾患の除外をする。
[4]治療としては心理的アプローチ、 生物学的アプローチ、 ソーシャルサポートの併用が考えられる。


心理的アプローチとして心理教育、 スティグマの軽減、 認知行動療法、 ストレスマネジメント、 不安のコントロールがある。生物学的アプローチとして低用量の抗精神病薬や抗不安薬を使用する。ソーシャルサポートとして家族教育、 学校や職場との連携、 地域でのサポートなども必要である。


このフローチャートを実現するには、 医療機関の努力に加えて他機関との連携や包括的なサービスの整備と、 エビデンスの集積など治療効果に関する更なる研究が重要である。
東邦大学医学部精神神経医学講座
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