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  • 酒井謙教授監修の「腎臓病の食事療法とかんたん献立」が池田書店より発刊されました。

お知らせ

酒井謙教授監修の「腎臓病の食事療法とかんたん献立」

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はじめに

腎臓病専門医の立場から

東邦大学医療センター大森病院腎センター教授
東邦大学医学部腎臓学講座

酒井 謙

「慢性腎臓病」(CKD: Chronic Kidney Disease)の概念が提唱されてから10年以上が経過しました。「慢性腎臓病」とは、ひそかに進行し、末期腎不全(人工透析)へ進展する過程で心血管疾患(狭心症、心筋梗塞、脳梗塞など)を合併しやすく、国民の生命を脅かすおそろしい病気です。まだ症状のない軽度腎不全(血清クレアチニン値1.0~1.2mg/dlすなわち腎機能が60%を割った状態の持続)の時期から積極的に病気の周知、治療介入を行い、人工透析が必要になる末期腎不全への進行を抑制させようという世界的な試みがなされております。その成果は、ここ3年は透析患者数増加傾向は頭打ちとなりました(日本透析医学会図説 我が国の慢性透析療法の現況2013年)。喜ばしいことです。しかし、透析療法の開始が近い慢性腎臓病の方々が多くなっていることも事実です。

慢性腎臓病外来の実際を考えてみましょう。どの病院でも「調子はいかがですか?」で始まり、「むくみは?」「血圧はどうですか?」と聞いて、最後に「数値はこうなっています。また1ヵ月後に」で終わることが多いと想像します。「では先生、日々どうしたらいいのでしょうか? お薬だけでこの腎臓病の進行は抑えられますか?」という患者さんからの質問に、私たち医師は本当に答えているでしょうか?慢性腎臓病に対する薬は進歩していますが、薬だけでは不十分な腎臓病進行防止対策について、本書では、詳しく解説してあります。

「慢性腎臓病」の食事療法の目的は、(1)非透析期慢性腎臓病において透析導入までの期間延長、(2)透析患者の生命予後の改善、(3)腎移植患者の移植腎機能の安定、にあります。その基本は栄養状態を維持することと、低たんぱく・高エネルギー食を摂ることです。本書は「慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版」(日本腎臓学会編)に準拠し、新しいCKDステージ分類(慢性腎臓病の重症度分類)に即した解説と、ひと目でわかる食事療法のレシピで構成されています。

レシピに関しては恩賜財団済世会横浜市南部病院栄養部の管理栄養士 志波郁子先生に監修いただき、多くの患者さんの実際の要望をもとに20年間の歳月を経て工夫されたレシピの数々を紹介しています。「食べていけない」ではなく「これならおいしく食べられる」という食事療法の実際を見ていただき、療法の糧にしていただくことを切に願います。

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
大森病院 腎センター


〒143-8541
東京都大田区大森西6-11-1
TEL:03-3762-4151(代表)

【休診日】
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