腎臓を保護しましょう~生活編
ネフロンの数が減るということ
腎臓には「糸球体」と呼ばれるろ過器と「尿細管」と呼ばれる必要なものと不必要なものをふるい分ける細長い管があり、それらを一組にして「ネフロン」と呼んでいます。ネフロンは片方の腎臓に100万個、もう片方に100万個あり、約200万個存在します。腎臓の働きが低下するということはこのネフロンが減少していることを意味しています。ネフロンが減少すると残されたネフロンは過重労働を強いられます。「糸球体過剰ろ過」と呼ばれる状態です。糸球体過剰ろ過により残されたネフロンが少なくなれば少なくなるほどその速度をあげて痛んでいきます。
「残されたネフロンに負担のないように腎臓を大事に使いましょう。」という考え方が「腎保護療法」という考え方です。
「残されたネフロンに負担のないように腎臓を大事に使いましょう。」という考え方が「腎保護療法」という考え方です。

食塩と腎臓
現代社会において日本人の平均食塩摂取量は13gです。サバンナの動物たちの食塩摂取量は2g程度ですから、いかに食塩摂取量が多いかわかります。塩辛いものを食べるとのどが渇きますね。人間のからだでは過剰な食塩摂取で体内の食塩濃度があがるとすぐにそれを薄めようとする反応が起きます。その後、余剰な食塩は余剰な水分とともに腎臓から排泄されます。しかし余剰な食塩を排泄することは腎臓の得意とするところではありません。結局、排泄が遅れて体内に残った食塩は高血圧やむくみの原因になっていくわけです。腎臓の働きが低下するとより顕著になります。

蛋白質と腎臓
3大栄養素といえば「糖質」、「脂質」、「蛋白質」です。この中で蛋白質は生命活動を行うエネルギーとしてだけではなく、からだの構成要素として大事な栄養素です。しかし糖質や脂質と異なり、代謝を受けたあと代謝産物として「尿素」を腎臓から排泄しなければいけません。蛋白質を取りすぎると腎臓に負担がかかることが知られています。

蛋白制限とカロリー
蛋白質摂取の制限は通常体重あたり0.6~0.8gといわれています。成人に推奨される蛋白質摂取量は体重あたり1.0~1.2gといわれていますので、だいたい半分程度です。蛋白質にはからだで合成できない9種類の必須アミノ酸があります。理論上は1日に必要な必須アミノ酸のみ摂取していれば、あとは糖質や脂質で補えばよいことになります。しかし食品から摂取する場合、必須アミノ酸だけを効率よく摂取することは難しく、0.6g/kgはギリギリに近い設定と考えられています。
蛋白質を制限する場合注意が必要です。蛋白質の制限はカロリーが十分であることが大前提です。蛋白質の制限とともにカロリー摂取が減ってしまうと蛋白質も1g→4kcalのエネルギーとして使われてしまいます。それは制限された蛋白質がからだの構成要素として利用されないことを意味しています。蛋白質を有効に利用するためには十分なカロリーが必要なのです。
蛋白質を制限する場合注意が必要です。蛋白質の制限はカロリーが十分であることが大前提です。蛋白質の制限とともにカロリー摂取が減ってしまうと蛋白質も1g→4kcalのエネルギーとして使われてしまいます。それは制限された蛋白質がからだの構成要素として利用されないことを意味しています。蛋白質を有効に利用するためには十分なカロリーが必要なのです。

肥満や糖尿病、高脂血症などがあり、カロリー制限、炭水化物の制限、脂質の制限などを行う必要があるひとの蛋白質の制限に関しては、どれをどの程度優先させるべきかの一定の見解は示されていません。そのひとにとって一番大事なことを優先するしかありません。ただしカロリーの制限が必要である場合、蛋白質の制限を緩めてあげる必要はあるでしょう。
飲水と腎臓
「水分」は腎臓病の状況によって制限の内容が変わります。尿を濃縮させて排泄する働きが低下した腎臓では、たくさん老廃物を排泄するのにたくさんの尿が必要になりますので、たくさん水分を摂る必要があります。
しかし、尿量が低下して摂った水分が排泄せずにからだにたまってしまうひとは水分の制限が必要になります。人間のからだの60%は水分でできているという話はよく聞きますね。体液バランス異常のあるひとは体液量が過剰になるとむくんだり、心臓が水風船が膨らむように大きくなったり、肺に水がたまったりします。心臓に負担をかけることは透析療法を受けることになったあとの生活にも影響します。
しかし、尿量が低下して摂った水分が排泄せずにからだにたまってしまうひとは水分の制限が必要になります。人間のからだの60%は水分でできているという話はよく聞きますね。体液バランス異常のあるひとは体液量が過剰になるとむくんだり、心臓が水風船が膨らむように大きくなったり、肺に水がたまったりします。心臓に負担をかけることは透析療法を受けることになったあとの生活にも影響します。

カリウムと腎臓
「カリウム」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。カリウムはからだの生命活動を行ううえで大事なミネラルのひとつです。腎臓の働きが低下すると「カリウムを制限しましょう。」といわれることがあります。よく誤解されるのですが、カリウムは決して腎臓に悪いわけではありません。カリウムは腎臓から排泄されたり、再吸収されたりしてその濃度を調節されています。カリウムは多すぎても少なすぎてもよくないのですが、腎臓の働きが低下すると、その蓄積が問題になります。血液中のカリウムが高くなりすぎると不整脈を起こすことがあり、ときに生命をも脅かす心配もあります。一般に血清カリウム値が5.5mEq/L以上では制限が必要といわれています。

このように食事制限には腎臓に負担になるから制限が必要なものと、その蓄積性が問題になるので制限が必要なものと2種類あることを覚えておいたほうがよいでしょう。
食生活と腎臓
わたしたちは好きなように食べたり、食べなかったり、時々羽目をはずしたりしてもからだのバランスは大きく崩れません。これは肝臓や腎臓がうまく調節してくれているからです。腎臓の働きが低下した場合、すべてを腎臓に頼るわけにはいきません。弱った腎臓を大事に使いつつ、食べる段階で調節する必要がでてくるわけです。これも「腎保護療法」として大事な考え方です。

日常生活と腎臓
調節機能の低下した腎臓では、変化に対応できず、羽目をはずした後、あるいはかぜをひいたり、嘔吐、下痢で食べられないようなときは、このような変化に対応できず、腎臓の働きが低下する危険があります。ときには羽目をはずしてしまうこともあると思いますが、そういう日の後、最低3日間は穏やかで節度ある生活をしましょう。
またかぜの予防、そしてひいてしまったときには無理はしないこと、脱水、浮腫などの体液のバランス異常に注意をすること、このタイミングでの腎臓によくない薬はできるだけ控えるほうがよいでしょう。
またかぜの予防、そしてひいてしまったときには無理はしないこと、脱水、浮腫などの体液のバランス異常に注意をすること、このタイミングでの腎臓によくない薬はできるだけ控えるほうがよいでしょう。
