腎臓を保護しましょう~血圧編
血圧と腎臓
血圧が高いと腎臓の働きが早く低下することが知られています。血圧が高いと糸球体に流入する血液の量も増えてきます。それは一見、血液をろ過するのに有利に思えますが、残っているネフロンの数が少なくなってくると1個1個の糸球体にかかる圧力が増えてきます。たくさんのホースを並列につないで水を流したあと、いくつかのホースをつまむと、残りのホースにたくさんの水が流れ、圧力がかかりますね。長い目でみれば糸球体にかかる圧力は少ないほうが腎臓は痛みません。140/90mmHg以上を「高血圧」と呼びますが、腎臓のためには130/80mmHg未満がよいとされています。

アンギオテンシン変換酵素阻害薬:ACE‐Iとアンギオテンシン受容体拮抗薬:ARB
糸球体にかかる圧力のことを「糸球体内圧」と呼びます。降圧薬の中にこの糸球体内圧をさげる薬があります。「アンギオテンシン変換酵素阻害薬:ACE‐I」や「アンギオテンシン受容体拮抗薬:ARB」といわれる薬は全身の血圧を下げる働きとともに糸球体内圧を特別にさげる働きがあります。
糸球体内圧が低下するのでろ過される血液が減ることがあり、腎臓の働きとしては低下してしまうこともあります。しかし中長期的にみて腎臓への負担を減らすことになり、結果として腎臓を長持ちさせることができます。
現在ではデータの蓄積により、腎臓病をもつ高血圧患者さんへの第1選択薬として積極的に使用されるようになりました。
糸球体内圧が低下するのでろ過される血液が減ることがあり、腎臓の働きとしては低下してしまうこともあります。しかし中長期的にみて腎臓への負担を減らすことになり、結果として腎臓を長持ちさせることができます。
現在ではデータの蓄積により、腎臓病をもつ高血圧患者さんへの第1選択薬として積極的に使用されるようになりました。
腎臓病と心血管系合併症
わが国に腎臓病のひとは1,300万人、40%(糸球体ろ過量50mL/分)以下に低下したひとは約500万人いるといわれています。糖尿病患者さんが690万人といわれていますので、どれだけ多いかわかります。そして腎臓の働きが低下してくると心筋梗塞や脳卒中を起こす頻度がどんどん増してくるといわれています。腎臓を守ることは心臓や脳を守るといっても過言ではありません。

はやく保護するということ
腎臓病や腎臓の働きが低下していることを指摘されたら、できるだけ早く腎臓を保護してあげましょう。1個1個のネフロンは、それはそれは複雑な構造と機能をもっています。1度壊れてしまうと容易には修復できません。一般に200万個あるネフロンが60万個を下回ると少しづつ症状がでてくるといわれています。いままでお話してきたように、残りのネフロンは過重労働でその速度を上げながら壊れていきます。荒地が広がる前に手当てをしてあげる。それが一番大事なことだと思います。
