患者さんへ

メニュー

多発性硬化症と視神経脊髄炎関連疾患のオーダーメイド治療

多発性硬化症と視神経脊髄炎関連疾患のオーダーメイド治療

多発性硬化症(MS)

多発性硬化症は脳、脊髄や眼の神経に多発性の病変をきたす病気です。20歳代から30歳代の方に発症することが多く、やや女性に多い疾患です。突然、眼が見えなくなる、手足の力が入りにくくなる、感覚が鈍い、まっすぐ歩けなくなるなどの症状が出現し、これらが繰り返し起きるのが特徴です。症状出現時にはできるだけ早期にステロイド大量点滴を行い、急性期を短縮することが重要です。通常は入院治療をすすめていますが、仕事や子育てのために入院が難しい方に対しては、外来でのステロイド大量点滴も実施しています。

多発性硬化症の再発予防と進行抑制を目的に、疾患修飾薬を導入します。現在日本では内服薬としてフィンゴリモド(ジレニア®),フマル酸ジメチル(テクフィデラ®),シポニモドフマル酸(メーゼント®)の使用が可能です。当院ではすべての薬剤の使用が可能で、フマル酸ジメチルに関しては外来で開始することができます。注射薬としてはインターフェロンβ(ベタフェロン®;2日1回の皮下注,アボネックス®;週一回筋注),グラチマラー酢酸塩(コパキソン®;1日1回皮下注)があり、これらも外来で導入開始することが可能です。来院時に練習し、自己注射の手技を身につけていきます。また月に1回の点滴剤のナタリズマブ(タイサブリ®)も副作用のリスク評価を行ったうえで使用していきます。それぞれの薬剤の特徴や副作用をご説明し、仕事、挙児希望の有無や子育てなど、患者さんのライフスタイルに合わせた最適な治療法を相談しながら決めていきます。

視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD)

多発性硬化症の類縁疾患である視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD)は、多発性硬化症よりやや年齢の高い方にみられる疾患です。視力障害,手足や体のしびれ,尿や便が出しにくい,手足に力が入らない,しゃっくりが止まらない,急に眠くなってしまうなどの症状がみられます。採血による抗アクアポリン4抗体や抗MOG抗体などの測定、MRI検査、脳脊髄液検査などを行い、診断していきます。急性期の治療法には、ステロイド大量療法や血液浄化療法が挙げられます。血液浄化療法は当院の腎センターと協力しながら迅速に対応しています。NMOSDは、多発性硬化症と同様に再発を繰り返すことがあり、疾患修飾薬を使用して再発を予防します。2021年1月現在、本邦では2種類の疾患修飾薬の使用が可能です。エクリズマブ(ソリリス®)は、週1回の点滴を4週間、その後2週に1回の点滴を行います。サトリズマブ(エンスプリング®)は2週間ごとの皮下注射を3回行い、その後に4週間ごとに皮下注射を行います。それぞれの薬剤の特徴と副作用などについてご説明し、患者さんと一緒に最適な治療法を目指していきます。
初診外来 担当医
水曜日、木曜日 午前 川邊清一

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
大森病院 脳神経センター(脳神経内科)

〒143-8541
東京都大田区大森西6-11-1
TEL:03-3762-4151(代表)