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パーキンソン病・運動障害疾患外来(PDクリニック)での取り組み

パーキンソン病・運動障害疾患外来(PDクリニック)での取り組み

当科の外来患者の約6割がパーキンソン病関連の患者さんです。近隣の方のみならず、羽田空港に近いという立地条件を生かし、遠方からの患者さんが多いのが特徴です。
“PDクリニック”は神経内科医のなかでも、パーキンソン病の臨床研究や治験などにもかかわっているパーキンソン病チームの医師で構成されています。可能な限り待ち時間を短く受診していただけるよう専門外来としております。
PDクリニック外来(初診) 担当医
月曜 午前 狩野 修
火曜 午前 蝦名 潤哉
水曜 午前 川邉 清一
*完全予約制ですので、パートナー経由で予約し、
 かかりつけ医の紹介状持参で受診してください。
 紹介状をお持ちでしたら、患者さんご自身が予約することも可能です。

 医療機関専用電話(パートナー):03-3762-6616
 患者さん専用予約ダイヤル:03-5763-5323

パーキンソン病とは

パーキンソン病の特徴は、動きが少なく遅くなることです。表情が乏しくなり、歩き方もゆっくりになります。さらにじっとしていると手がふるえる、肩、膝、指などの筋肉が固くなり、スムーズに動かしにくい、転びやすいなどの症状がみられます。医学的には動作緩慢、静止時振戦、筋強剛、姿勢反射障害と言い、パーキンソン病の四大症状とも言われています。その他、便秘や立ちくらみ、就寝中に大声をだしたり体を動かしたりする(レム睡眠期行動異常)、抑うつ症状などの様々な症状を呈することも知られています。
パーキンソン病の病初期はこれらの症状の一部しかみられず、患者さんもあまり訴えない場合があります。高齢者にみられやすい症状でもありますが、パーキンソン病による症状であれば、適切な治療により症状の改善が可能になります。

PDクリニックが目指すこと

パーキンソン病の発症初期では、パーキンソン病に似た疾患(レビー小体型認知症、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、本態性振戦など)との鑑別が難しい場合があります。それぞれの疾患にあった適切な治療のために、正確な診断が重要です。当科のPDクリニックでは、患者さんの年齢や生活状況などを考慮し、患者さんにとって最適となる治療を実践します。

1.検査

パーキンソン病や類似疾患の鑑別に頭部CTやMRIに加え、ドパミントランスポーター画像検査やMIBG心筋シンチグラフィ検査、脳血流SPECT検査といった核医学検査(図1)を実施しています。また、必要に応じて脳波検査、神経伝導速度検査や筋電図検査等も行います。その他、病気がすすんだ患者さんに対しては嚥下機能(嚥下造影検査)を評価し、管理栄養士と連携しながら誤嚥や肺炎などを防止するアドバイスをお伝えしています。

図1:パーキンソン病の診断に有用な各種検査
図1:パーキンソン病の診断に有用な各種検査

2.治療

パーキンソン病のお薬による治療、さらには運動療法、リハビリテーションの指導がメインです。その他、デバイス補助療法[レボドパ・カルビドパ配合経腸用液(LCIG, デュオドーパ®)]を消化器外科と導入し、良好な成績をおさめています。(図2)
また通院が困難、あるいは困難になった場合に備えて、当院のソーシャルワーカーやケアマネージャー、かかりつけ医と連携し、患者さんや家族の日常生活も含めた対応を実践しています。(図3)

図2:デバイス補助療法としてレボドパ・カルビドパ配合経腸用液(LCIG, デュオドーパ®)
図2:デバイス補助療法としてレボドパ・カルビドパ配合経腸用液(LCIG, デュオドーパ®)

 新規パーキンソン病治療薬(ヴィアレブ配合持続皮下注)開始のお知らせ   
2023年12月20日
 
2023年7月より新規パーキンソン病治療薬であるヴィアレブ配合持続皮下注が世界に先駆けて本邦で発売されました。ヴィアレブはレボドパのプロドラッグであるホスレボドパ/ホスカルビドパの24時間持続皮下注射製剤です。当院では12月より治療を開始しました。
進行期パーキンソン病患者様では、薬効減弱によるオン/オフ症状(ウェアリングオフ)が生活上問題になることがあります。ヴィアレブは持続的薬剤投与により、血中ドパミン濃度を安定化させることで、ウェアリングオフの改善が期待されております。
本邦ではデバイス治療として深部脳刺激療法(DBS)やレボドパ/カルビドパ持続経腸療法(デュオドーパ)が利用可能ですが、新たな一手になり得ると考えられます。

*患者様の症状や生活背景等によりデバイス治療の適応が異なりますので、まずはご相談ください。

脳神経内科再診・PDクリニック(毎週火曜午前)
東邦大学医学部内科学講座神経内科学分野 助教(任期)蝦名 潤哉
 
図3:PDクリニックにおける患者さんと家族・介護者、かかりつけ医療機関との連携がとれた診療の実現
図3:PDクリニックにおける患者さんと家族・介護者、かかりつけ医療機関との連携がとれた診療の実現

皆様へのお願い

当院は大学附属病院であり、疾病で苦しむ患者さんや医学の発展に貢献する医師を育成する場でもあります。必要に応じて患者さんの見学や診察にご協力をお願いさせて頂く場合がございます。また、東邦大学脳神経内科ではパーキンソン病と類縁疾患の病態解明のため臨床研究や治験を常時行っております。これらについてご相談させて頂く場合がございますのでよろしくお願いいたします。

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
大森病院 脳神経センター(脳神経内科)

〒143-8541
東京都大田区大森西6-11-1
TEL:03-3762-4151(代表)