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診療の特色

1.脳神経に関するあらゆる疾患に、エキスパートが一丸となって対応しています

東邦大学医療センター大森病院 脳神経外科では、脳腫瘍、頭蓋底腫瘍、脳血管障害(とくに外科的治療が必要な疾患)、小児奇形、脊髄腫瘍、重症頭部外傷など、脳神経に関するあらゆる疾患の診療を行っています。特定の疾患だけを対象とするのではなく、どのような症状の患者さんにも幅広く対応できるのが、当科の大きな強みのひとつです。
治療方法も下記のとおり、多岐にわたります。
  • 一般的な脳動脈クリッピング脳腫瘍摘出術などの外科的手術
  • 通常の血管障害に対するバイパス手術(浅側頭動脈中大脳動脈吻合術)に加え、難易度の高いバイパス術(「ハイフロー(高流量)バイパス術」など)
  • 脳動脈瘤塞栓術に代表されるカテーテルやコイルを用いた血管内手術
  • 頚動脈狭窄症に対する外科手術(頸動脈内膜剥離術)
  • 頭蓋底外科手術(さまざまな手術方法があります。)
  • 定位脳放射線治療
  • 小児奇形の手術
  • 脊髄腫瘍の手術
これらすべての治療を、それぞれの専門分野で豊富な臨床経験を持つ医師が中心となり、当科の医師全員で診療に携わっています。このように脳神経外科のエキスパートが集結することで、さまざまな疾患への適切な対応が実現しています。

なお、治療方針については週に3回、カンファレンス(症例検討会)を実施し、医師全員で十分に議論したうえで決定しています。手術前には検査の評価などに基づき、その患者さんにとって最も良いと考えられる治療方法を選択します。また、手術後の治療経過についても医師全員で話し合い、治療の継続や変更などを決めています。個々の患者さんの担当医はひとりですが、「すべての患者さんを全員で診る」という意識で一丸となって診療に取り組んでいます。

2.「神経膠腫」「頭蓋底髄膜腫」「転移性脳腫瘍」など脳腫瘍の種類に応じた最適な治療を実施しています

脳神経疾患の代表的な病気に脳腫瘍があります。最も有効な治療方法は手術による腫瘍の摘出ですが、脳腫瘍の種類や症状によっては化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療が必要となることがあります。当科ではどのような症状に対しても、関連各科と緊密に連携しながら適切に対応しています。
主な脳腫瘍と、それぞれ治療方法は下記のとおりです。

髄膜腫

100種類以上ある脳腫瘍の中でもとくに頻度の高い良性脳腫瘍(まれに悪性もあります)ですが、発生した部位や腫瘍の大きさによって症状が異なり、臨床的には必ずしも良性の経過をたどらない場合もあります。当科では、個々の患者さんの術後の症状ができるだけ悪化しないよう十分に配慮したうえで、可能な限り腫瘍を摘出することを基本とし、必要に応じて定位脳放射線治療(サイバーナイフ、ライナックナイフ、ガンマナイフ等)を追加することも考慮しています。

とくに、頭蓋骨の底部にできた髄膜腫(頭蓋底髄膜腫)は、重要な神経や血管を巻き込み、手術の難度が高くなります。頭蓋底髄膜腫に対しては頭蓋底外科手術の手技を駆使して、腫瘍摘出を行っています。

髄膜腫の詳細については下記ページをご覧ください。

神経膠腫

神経膠腫は、脳そのものから発生する脳腫瘍の代表であり、その特徴は、腫瘍の辺縁では、腫瘍と正常な脳の部分との境界が明瞭には分かれておらず、混在していることです。そのため治療方法としては腫瘍の中心部の外科的腫瘍摘出術に加えて、腫瘍周囲に対して、化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療を要することが多くなります。当科では効果が高いと認められている治療方法を中心に、患者さん一人ひとりに適した治療方針を立てています。

神経膠腫の詳細については下記ページをご覧ください。

転移性脳腫瘍

転移性脳腫瘍は、全身の他の部位にできたがんが、主に血液を介して脳に転移した状態を指します。放置していると急速に症状が進行するため、早い段階での適切な治療が重要です。当科では腫瘍の場所や大きさ、患者さんの状態などを考慮して、外科的な手術治療のほかに、定位脳放射線治療(ラジオサージャリー:SRS)や、定位放射線治療(SRT)を行っています。なお、当院で行っている定位脳放射線治療の方法はライナックナイフ(リニアックナイフともいいます)であり、基本的に小さな腫瘍(約30mm以下)が適応となります。このほか、強度放射線治療(IMRT)も可能です。

3.院内の関連各科との連携のもと、小児の脳腫瘍や新生児の先天性奇形、脊髄の腫瘍などにもきめ細かく対応しています

2に挙げた脳腫瘍は年間の発生率が1万人に1人程度と、基本的に稀な疾患です。しかし発症する年齢層は小児から高齢者までと幅広く、とくに小児がんの中では白血病に次いで多い病気となっています。このような小児の脳腫瘍に対しては、小児科と緊密に連携し、治療を行っています。具体的には当科で腫瘍の摘出手術を行い、その後小児科で化学療法(抗がん剤治療)を行います。
また、新生児の先天性奇形(髄膜脊髄瘤や水頭症)については、新生児科と協力して治療を進めています。手術が必要な場合は当科が手術を行い、術後の全身の管理やフォローアップなどは新生児科が中心となって行います。
さらに、脊髄に発生した腫瘍に関しては、脊椎・脊髄の主な治療を行う整形外科と有機的関係で協力し合い、当科で手術を行っています。

4.できる限り患者さんの身体に負担をかけないことを重視した最新の方法で、安全性の高い手術に努めています

脳神経外科の基本的な手技として、皮膚を切開して直接脳の中を観察しながら治療を行う「開頭手術」が挙げられますが、近年ではごく小さな傷で行うことのできる「神経内視鏡手術」も脳腫瘍や血管障害などに対して積極的に行われるようになってきています。神経内視鏡手術では、小さく切開した部分から細いチューブ状の内視鏡を挿入し、脳の中の深部や閉鎖腔内をモニターで観察しながら治療を行います。開頭手術に比べて侵襲が少なく、術後の回復も早いことが大きなメリットです。治療方法は個々の患者さんの病状によって異なりますが、当科ではできる限りこのような身体への負担の少ない「低侵襲手術」を心がけています。

また、脳神経の手術においては「安全性」も非常に重要です。当科では脳腫瘍の手術では「ニューロナビゲータ(※)」による手術中のナビゲーションや術中の電気生理学的モニターを用いて対応し、手術を安全に行うことを常に心がけています。
さらに、手術の難易度がとくに高い「頭蓋底髄膜腫(頭蓋骨の底部にできた髄膜腫)」に対しては、事前に3Dプリンターで精密な立体画像を作成し、手術のシミュレーションを十分に行ってから、実際の手術に臨んでいます。

5.症状の出ない脳梗塞や脳動脈瘤の予防や早期発見の一助となるよう、脳ドックを開設しています

当院は日本脳ドック学会認定施設であり、同学会のガイドラインに準じた脳ドックを開設しています。脳ドックの詳細については下記ページをご覧ください。
1でも触れたとおり、当科では週に3回、手術を受ける患者さんの治療方針を検討するためのカンファレンス(症例検討会)を行っており、その中で脳ドックを受診された方のデータのチェックを医師全員で行う時間も週に1回設けています。検査結果を正確に診断し、脳ドックを受診された方すべてがその後適切な治療や予防などを行うことができるよう、丁寧にサポートしています。

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
大森病院 脳神経外科

〒143-8541
東京都大田区大森西6-11-1
TEL:03-3762-4151(代表)