伝統的な実践理論に基づいた、世界水準の東洋医学を目指します

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東大エグゼクティブ・マネジメント 課題設定の思考力

 

東邦大学医学部
東洋医学研究室
田中耕一郎

東大エグゼクティブ・マネジメント
課題設定の思考力,
東大EMP (編集), 横山 禎徳 (編集),
東京大学出版会2012
「中国哲学だけとか日本哲学だけを研究するというのは、この世界に何らかの形で哲学的な責任を負うという観点からすれば、不十分だ。」
中国哲学が専門の中島隆博氏が述べている一言は、そのまま東洋医学にも当てはまるように思う。医学に関してもまさにそうだ。しかし、実際には自他ともに勇気のいることである。私は東洋医学を専門としている。一方で内科の専門医である。この点では現代(西洋)医学と東洋医学を同時にやっている。東洋医学に重点を置きながら、内科を中心とした一般的な西洋医学も出来る限りアップデートしようと努めている。
 その中で「漢方一本でやっている。」「漢方一本でやってきた。」という諸先輩方に対して、自分が中途半端に感じられる時がある。限られた時間の中で、東洋医学のみに専念出来れば、より深く学ぶように思うからである。それは西洋医学の専門家でも同様である。
 中島隆博氏の言葉は、それより先の次元に一歩進むために重要な観点である。
 そして、そのスタイルが実際には東洋医学全体の深化にもつながるのではないかと考えている。
「大原理に収斂できないところを問わなければ、不確実な問題を繊細に解決していくことはできない」
 敢えて、領域を広げることで、より大きな普遍的な原理に近づくことが出来る。
中島隆博氏の章は“現実の仕組みを把握するデザイン感覚”とある。
医学においては、人間の生理病理の深い理解のためには西洋・東洋、伝統・現在のいずれも大切である。また、医学を超えて、東洋思想、東洋哲学、そして西洋哲学という思考の基盤である学問を取り入れていくことを教えられた一冊である。