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センスメイキング 本当に重要なものを見極める力 プレジデント社

 

東邦大学医学部
東洋医学研究室
田中耕一郎

センスメイキング 
本当に重要なものを見極める力
クリスチャン・マスビアウ,プレジデント社

この本の良さは開いてみないと本当にわからない。

この書には、センスメイキングの以下の五原則を挙げている。

  • 「個人」ではなく「文化」を
  • 単なる「薄い」データではなく、「厚い」データを
  • 「動物園」ではなく、「サバンナ」を
  • 「生産」ではなく、「創造性」を
  • 「GPS」よりも「北極星」を

この中で、一際、刺激的な章の題名が身につく。“「GPS」よりも「北極星」を”というメッセージだ。

「GPS」は現代の技術を象徴している。インターネットによって便利になったものの、逆にコンピューターによって、自分自身の位置情報を常に追いかけられる人生となってしまった。「北極星」という時代を越えて不変な“位置情報”(ここで意味するのは、自分自身の感性)を意識して磨いていくというものである。

その感性とは、「本当にわくわくするような重要な世の中の動きやパターンを見極める」センスであり、「過度の単純化に走る」がその逆である。

東洋医学に結びつければ、様々な個性をもった一人一人を、ある種の証(しょう:東洋医学的診断)を決定するには、一定の“単純化”を 行うことになる。しかし、診療室での対話の中で、“その人らしさ”という味わいを受け取ることができれば、“単純化”の中にも活き活きとした動きを感じることができる。

世の中でも、幅広い教養に裏打ちされた“曖昧さ”や“不確実さ”に上手に対応できる力が求められるようになってきている。この“曖昧さ”や“不確実さ”は、東洋医学の理論体系の中にも組み込まれている。これは、人間というものの多様性を、パターン認識に組み込みつつも、過度の単純化とせめぎ合ってきた結果なのである。