伝統的な実践理論に基づいた、世界水準の東洋医学を目指します
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創立記念日(6月10日)
高校生と考える希望のための教科書(桐光学園大学訪問授業)
東邦大学医学部
東洋医学研究室
田中耕一郎

高校生と考える希望のための教科書
(桐光学園大学訪問授業)
坂本 龍一, 谷川 俊太郎, 他
左右社 2018
(桐光学園大学訪問授業)
坂本 龍一, 谷川 俊太郎, 他
左右社 2018
それぞれの演者の講演授業が始まる前に、次のようなことが書かれている。
私自身が興味深く読ませて頂いたのは、各講師の思い出の授業、思い出の先生という箇所である。それをいくつか挙げてみよう。
坂本龍一氏:前中先生はクラスに入ってくるなり「おれは、お前たちに興味ない。お前が他の誰であろうと、おれは知らない」というようなことを言ったのです。僕は衝撃を受けて、その授業が終わるとすぐに職員室に飛んで行き、前中先生と話しました。
李禹煥氏:大学4年生の時の大江清三教授(カントの純粋理性批判)。広大な知識の海を泳ぐ感じを受け、また深く考える嬉びを味わった。「批判」を貫いている「人間の認識には限界がある」という、一見当たり前の言葉が教授の声を通って伝わってきた時、僕は感動した。そして人間の規定を変えれば限界を越えられるという暗示も受けた。しかし一方で人間はその人の知っている程度にしか世界を解る事ができないということ、いくら多くのものを与えようとしても、その器以上のものは受け入れられない、ということも身に染みて解った気がした。
飯尾純氏:授業の終わりに、先生が「国際人というものは、英語がしゃべれるということよりも、たとえばドフトエフスキーの小説を読んで、全く文化の違う人の考え方がわかり、そういう人とのつき合い方を考える人のことだという話をされました。
成田龍一氏:「知的」な背伸びの快感を味わうなかで完結しない世界にふれることができました。
沼野充義氏:先生が教科書を無視しただけでなく、教科書に載っていた詩人を批判したのはびっくりしました。高校生であった私は、先生の気迫に打たれ、自分の信念で教育するというのはこういうことだと、高校生なりに感ずるものがありました。特に文学の場合、教科書に載っているからすべて優れた作品であるという保証などないのは当たり前のことです。世間の人たちが、世の権威がいいと言っているものだからとは限らない。自分がいいと納得しない限り、文学作品をいいとは言えない、というごく単純なことは、その後の私を支える考え方になったと思います。
これらはいずれも教員の人間の器から出て来たものである。本当に大切なことは、人と人との化学反応でしか、生み出し得ないものではないかと改めて感じさせられた一冊である。
- 「教科書」とは、子供たちが将来、社会を形成する市民となるために必要な内容を学ぶためのもの。その内容はもちろん時代とともに変化します。
- いま、ある課題に対して、「知識をできるだけ多く学び、同じ方法で考えて、多様な答えを出すことが一律に求められた旧来型の教育から、「知識を広く深く研究して、さまざまな方法で考えて多様な答えを導く」ことが求められる時代へと大きく変化しています。
私自身が興味深く読ませて頂いたのは、各講師の思い出の授業、思い出の先生という箇所である。それをいくつか挙げてみよう。
坂本龍一氏:前中先生はクラスに入ってくるなり「おれは、お前たちに興味ない。お前が他の誰であろうと、おれは知らない」というようなことを言ったのです。僕は衝撃を受けて、その授業が終わるとすぐに職員室に飛んで行き、前中先生と話しました。
李禹煥氏:大学4年生の時の大江清三教授(カントの純粋理性批判)。広大な知識の海を泳ぐ感じを受け、また深く考える嬉びを味わった。「批判」を貫いている「人間の認識には限界がある」という、一見当たり前の言葉が教授の声を通って伝わってきた時、僕は感動した。そして人間の規定を変えれば限界を越えられるという暗示も受けた。しかし一方で人間はその人の知っている程度にしか世界を解る事ができないということ、いくら多くのものを与えようとしても、その器以上のものは受け入れられない、ということも身に染みて解った気がした。
飯尾純氏:授業の終わりに、先生が「国際人というものは、英語がしゃべれるということよりも、たとえばドフトエフスキーの小説を読んで、全く文化の違う人の考え方がわかり、そういう人とのつき合い方を考える人のことだという話をされました。
成田龍一氏:「知的」な背伸びの快感を味わうなかで完結しない世界にふれることができました。
沼野充義氏:先生が教科書を無視しただけでなく、教科書に載っていた詩人を批判したのはびっくりしました。高校生であった私は、先生の気迫に打たれ、自分の信念で教育するというのはこういうことだと、高校生なりに感ずるものがありました。特に文学の場合、教科書に載っているからすべて優れた作品であるという保証などないのは当たり前のことです。世間の人たちが、世の権威がいいと言っているものだからとは限らない。自分がいいと納得しない限り、文学作品をいいとは言えない、というごく単純なことは、その後の私を支える考え方になったと思います。
これらはいずれも教員の人間の器から出て来たものである。本当に大切なことは、人と人との化学反応でしか、生み出し得ないものではないかと改めて感じさせられた一冊である。
田中耕一郎先生の漢方薬と身近な食材
- 日本の土壌と文化へのルーツ㊺ チェコ
- 日本の土壌と文化へのルーツ㊹ アイヌ民族と熊
- 日本の土壌と文化へのルーツ㊸ カカオと悲劇の歴史
- 日本の土壌と文化へのルーツ㊷ イタリア料理
- 日本の土壌と文化へのルーツ㊶ 医食同源としての沖縄
- 日本の土壌と文化へのルーツ㊵ 医食同源としての牡蛎
- 高校生と考える希望のための教科書(桐光学園大学訪問授業)
- センスメイキング 本当に重要なものを見極める力
- 日本の土壌と文化へのルーツ㊴ インドのカレーと東洋医学
- 日本の土壌と文化へのルーツ㊳ 広東料理
- 自分の仕事をつくる 西村佳哲 筑摩書房 2009
- 日本の土壌と文化へのルーツ㊲ トルコ
- 経済学者の勉強術: いかに読み、いかに書くか
- 東大エグゼクティブ・マネジメント 課題設定の思考力
- 日本の土壌と文化へのルーツ㊱ スペインの料理
- 日本の土壌と文化へのルーツ㉟ 中国の“中原”の料理
- 日本の土壌と文化へのルーツ㉞ チベットの食材
- 日本の土壌と文化へのルーツ㉝ 豆腐とかまぼこ中の生薬
- 日本の土壌と文化へのルーツ㉜ ウィルス、植物、動物、人の遺伝子
- 日本の土壌と文化へのルーツ㉛ 種苗管理と野生種、救荒植物
- 日本の土壌と文化へのルーツ㉚ 土壌微生物と腸内細菌
- 日本の土壌と文化へのルーツ㉙ 寿司の元祖 熟鮓(なれずし)
- 日本の土壌と文化へのルーツ㉘ 韓国の食材
- 日本の土壌と文化へのルーツ㉗ 中国雲南省の食材
- 日本の土壌と文化へのルーツ㉖ ドイツの食材
- マキャベリ君主論と東洋医学
- 東洋医学が世の中にできること
- 日本の土壌と文化へのルーツ㉕ 食と薬の違い
- 日本の土壌と文化へのルーツ㉔ 中南米原産の食材
- 日本の土壌と文化へのルーツ㉓ 乳製品と東洋医学
- 日本の土壌と文化へのルーツ㉒ 北方遊牧民族と食、医学への影響
- 日本の土壌と文化へのルーツ㉑ モンゴルの食
- 日本の土壌と文化へのルーツ⑳ キハダ
- 日本の土壌と文化へのルーツ⑲ 生薬としての納豆
- 日本の土壌と文化へのルーツ⑱ 食材の禁忌
- 日本の土壌と文化へのルーツ⑰ 生薬の“人事”
- 日本の土壌と文化へのルーツ⑯ 生薬、食材を見分ける眼
- 日本の土壌と文化へのルーツ⑮ 秋の養生食
- 日本の土壌と文化へのルーツ⑭ 盛夏の養生食
- 日本の土壌と文化へのルーツ⑬ 梅雨の養生食
- 日本の土壌と文化へのルーツ⑫ 春の養生法
- 日本の土壌と文化へのルーツ⑪ 冬の養生法
- 日本の土壌と文化へのルーツ⑩ 植物分類学と東洋医学
- 日本の土壌と文化へのルーツ⑨ 奇妙な生薬 冬虫夏草
- 日本の土壌と文化へのルーツ⑧ 檳榔子(びんろうし)東南アジアの嗜好品
- 日本の土壌と文化へのルーツ⑦ 竜眼肉 荔枝(ライチ)
- 子供を育てるお父さん、お母さんへ
- 東洋思想のもつことばの力
- 日本の土壌と文化へのルーツ⑥ 香辛料 胡椒、生姜など
- 日本の土壌と文化へのルーツ⑤ 塩
- 日本の土壌と文化へのルーツ④ 辛みの香辛料
- 日本の土壌と文化へのルーツ③ 葛・朝鮮人参など
- 日本の土壌と文化へのルーツ② 麦・酒
- 夏バテ、熱中症防止に漢方薬を生かす
- 梅雨の体調不良と漢方
- 日本の土壌と文化へのルーツ① 稲