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これからの東洋医学 ②

東洋医学の発展のために ① ~分裂しない・結束する~

東洋医学では、基礎的な人体理論、病態理論はあるものの、臨床の応用面では個人的な研鑚が必要となってきます。また利点でも弊害でもあるのですが、明確なガイドラインが存在しないために、個々の患者に合せて柔軟にオーダーメイド出来る半面、医療者の多様な“技”に支えられている部分があります。

その中で、東洋医学では治療者の一層の研鑚を要する半面、治療者の自我を増大しがちな側面をもっています。東洋医学を支える東洋思想である儒教、道教、仏教などは自己研鑚を深化させている体系であります。

多様な思いはあると思いますが、是非とも東洋医学を志す先生方に、自己の思いを止揚させ、医学の大きな発展のために力を合せていける関係になればと切に感じております。

以下、ガンジーの「宗教観」を引用しながら、お伝えできればと思います。

【わたしたちは、いまだ神を実感し悟得していないのですから、宗教を完全には理解していません。わたしたちが頭に思い描いている宗教は、このように不完全なのですから、つねにそれは発展途上にあり、理解を新らたにする必要があります。】

ここで「宗教」と書かれていることは、思想、信条、哲学、あるいは芸術に変えても同じことです。真理は存在する。しかし、人間は容易にそれを知りえない。このことを深く認識するとき、寛容の精神が生まれるとガンディーは考えます。

別な言い方をすれば真理はいつも、人間に不完全であることの自覚を強いるといえると思います。人は、自己こそが真理を体現していると過信したとき、真理からもっとも遠ざかるといえるかもしれません。精神は日々深化するか、そう問いかけられたとき、多くの人はわずかであっても、日々深化すると応えるのではないでしょうか。日々「生」が深化していく、その厳然たる事実において人間は不完全であるといえます。不完全であるとは、同時に他者を一方的に裁く力をもたないことでもあります。

その一方でガンディーは、万人の内に真理が宿っていることを説くことを止めませんでした。真理は実在する。しかし、人間は十分にそれを表現することはできない。人類の歴史とは、終わることのない真理顕現の歴程であるとガンディーは考えたのでした。
『現在の超克』より引用

東洋医学の発展のために ② ~先人との歩み~

東洋医学では古典を学ぶことは、重要です。臨床をやる上では、どこまで踏み込むかは、それぞれのスタンスですが、東洋医学の臨床の叡智が多くの先人たちによって深化され、現在でも支えられていることを実感することは大切です。

東洋医学の研鑚においては、根源的な意味で孤独ではないのです。常に対話する先人が傍にいて、書物を紐解けば語りかけてくれます。
過去の叡智、先人を尊重し、学び、新たに発展させていく意思をもつことは、本当に困難な諸問題を乗り切るのに、非常な助けとなることでしょう。

ガンディーが「塩の行進」をする。そこには数万人の生者の傍らに無数の死者が寄り添っている。彼は、この運動を独りで始めようとする。しかし、彼が根源的な意味で「独り」だったとしたら、その重みには耐えられなかったでしょう。
『現在の超克』より引用

分裂、否定からは力は生まれない。辛抱強い話し合いと自己研鑽、そして変化を恐れない意志、融和と希望、発展、深化について、時代を超えて出来ればと考えています。

参考サイト

本格的な古典研究の勉強会

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