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東洋医学(漢方・鍼灸)学び方

まずは講義を聴きながら、理解を深めるために関係図書をそろえていくのがお勧めです。

実践東洋医学講座(講師:三浦於莵客員教授、田中耕一郎講師 他)
初学者から中級者まで、基礎理論から、臨床実践まで楽しく学べる講座です。
流派を問わず、日本各地からも有数の臨床家をお招きして、より充実した内容にしていきます。また、楽しんで学べるように工夫しています。
医療関係者向けの年間8回の基礎から本格的な実践向け漢方講座です。
東洋医学(漢方)を学んで、腑に落ちるまでの数か月は非常に苦しいものになるかもしれません。それは、全く新しいハードディスクをインストールするようなものだからです。留学された先生方の中には、最初の1,2か月は聞き取れず、話せず、非常に大変な思いをされたご経験もあるかと思います。しかし、一時期それを越えると、急にヒアリング力が上昇する時期がやってきます。同様に、東洋医学(漢方)もある時期を越えると理解が急速に深まります。そして、一定の法則を習得すれば、広く応用できるために、その後はじっくりと落ち着いて学んでいくことができるのです。

そのためにも、基本的な理論体系の習得と良書との出会いは非常に大切です。何事にも言えることですが、本格的に学ぶためには、しっかりとした土台が必要なのです。

そして、実際の診療を見ていくことが不可欠です。臨床と座学は両輪でどちらが欠けてもいけません。一定期間、東洋医学にどっぷりとつかることは、事情が許せば一番の近道です。

当科の研修の状況からは、研修医であれば早い先生は2か月、専門医をもっている先生であれば、半年から1年くらいでコツをつかんでいきます。このことから、こだわりなく、どんどん吸収して東洋医学は東洋医学として学ぶことが実は近道な事が分かります。一旦専門を極めた場合、その医学知識が邪魔をする場合があります。例えれば、英語が堪能すぎるために、中国語を学ぶときに、ついつい頭で英語に翻訳して理解してしまうようなものです。

良書に出会うこと ~お勧め図書 導入から応用まで~

入門から応用までがありますが、比較的簡明で系統的なものを紹介します。あくまで、ご参考です。ご自身で確かめて、合っていると思ったものを取り入れてみてください。

わかる中医学入門 邱 紅梅 著, 燎原書店

ページ数が少なく、コンパクトにまとまっているので持ち運びも楽で、こまめに読むことが出来ます。ページは少ないですが、内容は非常に豊富です。

中医学ってなんだろう 1 人間のしくみ 小金井 信宏著,東洋学術出版社

東洋医学の基本的な概念が、分かりやすく、興味深く書かれています。丸覚えでなく、理解して覚えたいという方には非常にお勧めです。

漢方・中医学講座 入江祥史 著(東邦大学医療センター大森病院東洋医学科 客員講師)

(医歯薬出版、全7巻)
  ①実践入門編:これから始めようとする人たちへのガイダンス
  ②基礎理論編:漢方を支える理論を徹底的に、わかりやすく解説
  ③診断学編:漢方の診察の仕方、診断のポイントを解説(DVD付)
  ④治療編:漢方薬の構成、使い方を解説
  ⑤臨床生薬学編(共著):生薬に関する本です
  ⑥鍼灸編(共著):鍼灸について1から解説
  ⑦漢方診療におけるQ&A:臨床上のあらゆる疑問を解決

診療と知識を結び付けていく所見を東洋医学的に解釈する力

東洋医学の診断学は根幹となるものです。

今まで上げた導入の本の中にも、診断学に関する内容は含まれています。ただこの本のよいところは診断学のみで非常によくまとまっているところです。基礎理論をある程度理解した後に、臨床現場で陪席したり、自分で漢方処方を始めたりしたとき、一日の診療を振り返りながら、自分の見立てを確認し、磨きあげるのに大切となってきます。

中医診断学ノート 内山恵子著 東洋学術出版社

生薬一つ一つの理解と組み合わせを知ることが大切です。

漢方の生薬学 一つ一つの生薬の個性を知る

実践漢薬学 三浦 於菟 著(東邦大学医療センター大森病院東洋医学科 客員教授),東洋学術出版社
生薬理論についての本格的書物です。実際に煎じ薬を出す場合には必須の本です。 似たような生薬の類似点、共通点が書かれていて、生薬の細やかな選択に役立ちます。

漢方の方剤学 生薬の組み合わせ

複数の生薬を組み合わせて、一つのグループとしたものを方剤といいます。葛根湯、八味地黄丸といったものが方剤です。葛根湯には葛根、麻黄、桂枝、芍薬、生姜、大棗、甘草といった生薬が入っています。生薬の組み合わせの定番、最も効果的とされる組み合わせです。

▼ 漢方方剤ハンドブック 菅沼 栄 著,東洋学術出版社
当科では入局者には必読書としています。漢方エキス剤の中心に書かれていますが、日常診療には十分すぎる豊富な内容です。臨床で処方について学んだことを、書き込んでいくのもよい活用法です。

▼ 中医臨床のための方剤学 神戸中医学研究会
方剤学の本としては、定番で日本の状況に合わせてよく作られています。本格的に東洋医学をやりたい方にはお勧めです。その方以外には、ややボリュームが多いかもしれません。

この本に限りませんが、方剤学の本は、一冊持っておいた方がよいでしょう。

臨床の実践の力をつける

多数の本があります。この段階では症例を読みながら、自分で考える力もついているはずです。敢えて、挙げたいのは大塚敬節先生の本です。細かな解説は書かれていませんが、この段階で読めば、大塚先生の思考プロセスが追えるはずです。

▼ 漢方診療三十年—治験例を主とした治療の実際 大塚 敬節 著
▼ いかに弁証論治するか—「疾患別」漢方エキス製剤の運用 菅沼栄、菅沼伸 著
当科では、臨床を始めた医師には、漢方方剤ハンドブックと合わせて勧めています。処方に迷ったとき、頭を冷静にして、処方を考えるのに役立ちます。

▼ 症状による中医診断と治療 上・下巻 趙金鐸、 神戸中医学研究会
症状別に分けて、病態生理と処方の鑑別が載っています。なかなか治らない場合、自分の頭の中も何に主眼を置いていいか混乱してきたときなどに紐解くと助けになります。

東洋医学(漢方)各科の臨床に応用できる

症状別の鑑別診断を学んでいく導入となる書物です。
東洋医学(漢方)にも内科、皮膚科、婦人科などの専門書があります。それぞれの領域を学ぶことで、現代医学の知識を東洋医学の知識を用いて、より深化させることが出来ます。
ここまで来れば、患者さんを観る眼がかなり養われているはずです。


【関係図書準備中】

傷寒論と金匱要略について

傷寒論は東洋医学において処方学の根幹となるものです。本格的に東洋医学を学びたい
方は、傷寒論を避けて通ることは出来ません。


【関係図書準備中】

各家学説講座 上級者向け

東洋医学の中の多様な学派(“流派”)について学びます。
東洋医学の全体像が学べ、自分の立ち位置も客観視できる素養となります。
診療の幅を広げたい先生向けです。

国際交流の試み

当科では、本格的な東洋医学の修練のために国際交流を積極的に進めています。

国際東洋医学会

東アジアを中心とした東洋医学の国際学会です。2年に1回開催されますが、当科からは毎回、演題を出して積極的に参加しています。

中国昆明医科大学

本学と交換留学をしている医学大学です。附属病院には中医科(東洋医学のことです)があり、本場の経験豊かな先生方から、外来診療、病棟での漢方・鍼灸の教育を受けることができます。

当科の組織理念

このような医療をつくりたいという気持ち、自分自身の臨床力を上げたいという意志と、多様な患者、医療関係者と付き合い、自らの人間性を深めていく過程とは、相互に関係があります。苦手に思っていた人と関係が深まること、これは普段の人間関係を円滑にするだけでなく、臨床の場においても、一歩進んだこことなります。相手を理解することは、医師・患者関係に限らず、お互いにとって、気持ちを癒し、人間性を深め、相互に一層の治療効果をもたらします。

臨床における技術の高さはもちろんですが、治癒力をより発揮するために、人間を深く理解することが不可欠です。

私たちは、最も洗練された伝統医学の一つである東洋医学に基盤を置きながら、他の伝統医学も、現代の医学の科学的検証も通しながら、より発展的な伝統医学を創造出来ればと考えています。

そして、当科では、技術的側面はもちろんのこと、お互いを理解することを大切にしていきたいと考えております。

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
大森病院 東洋医学科

〒143-8541
東京都大田区大森西6-11-1
TEL:03-3762-4151(代表)