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小児科専門医になった後で

小児科専門医を取得された後の進路について

小児科専門医の取得後は大きく分けて3つの進路があると思います。
  1. 一般小児科医として臨床力の向上
  2. サブスペシャルの追求
  3. 研究を通して小児医療を見直す(大学院専攻)
当科では、いずれの選択もサポートし、専門医取得後の先生方の更なるスキルアップの場を提供いたします。

1.一般小児科の臨床力向上(ゼネラリストとしてスキルアップ)

東邦大学大森病院は、大田区を中心とした医療圏をカバーする役割を担っています。当科は大田区の子どもは大田区内で医療を完結させることを目的としています。
この目的の下に、私たちは様々な疾患の患者さんの診療にあたっています。肺炎・喘息・胃腸炎・尿路感染症から白血病・肺高血圧症まで様々な種類の疾患を診察しています。重症度は一次救急から三次救急までと最重症例まで診察しています。
専門医取得後は、急変時・重症例の対応や安全な鎮静を行うことを目的として、希望者には成育医療研究センターの麻酔集中治療科への国内留学も行っています。

小児科医は総合診療科医として子どものトータルケアまで行うことが重要と考えています。医師も多職種と同様にプロフェッショナルとして成長するためには、知識だけではなく経験が求められます。
臨床力の向上に近道はありませんが、百聞は一見にしかずで、書籍や論文を読むよりも、経験が一番多くの事を学び、自分の中に蓄積されて、次の患者さんにも応用ができるようになると考えます。
是非当科で多くの患者さんの診察を経験して、トータルケアができる小児科医に成長して頂きたく思います。

2.サブスペシャルの追求(更なる専門医の取得)

私は現在、医師になって10年目の学年です。昨年アレルギー専門医試験に合格しました。6年生のころから小児科志望で、研修医も小児科コースを選択し、東邦の小児科に入局しました。入局当初は、アレルギー以外にも、循環器や新生児に興味があり、最初から専門を絞ることはできず、実際にアレルギーを専門にしようと決めたのは、小児科専門医試験後でした。アレルギーの上司である渡邊美砂先生と一緒に、病棟の難病患者さんを持つことがあり、細やかなケアやご家族へのお話に感銘を受け、渡邊先生のような小児科医になりたいと思ったことがきっかけで、アレルギーに興味を持ちました。実際子育て経験のある小児科医である渡邊先生のお話は、お母さん目線でとても分かりやすく、一言一句まねしたくなる診療であり、良い上司と巡り会えたことが、私の人生の方向付けとなりました。

3.小児科専門医取得後の大学院専攻のすすめ

大学病院はとても魅力的です。臨床で「あれ、これは?」と思ったことを、すぐ隣にある大学で、学問として解決する手助けをしてくれます。そうして見つけた事柄を論文にし、同じように診療に難渋している医療者のもとへ還元する事も、とても意義があることです。臨床を一生懸命やっていると、なかなか研究の時間がとれず、自分から見えない場所にいる患者さんを意識することは難しいかもしれません。でも、これまでの臨床知識をベースに、数年間大学で学んでみませんか。研究的な視点を駆使できるようになると、専門分野外の患者さんを診る際にも、視野を広く持ち、根拠のある診療を行えるようになります。

当科では、大学院生(一定期間臨床を離れて基礎研究を行える)、社会人大学院生(臨床に従事しながら研究を行える)、ベッドサイドで勤務しながら学位をとる、など各々の希望に沿った選択が可能です。是非、一緒に広い視点を持って、こどもたちの健康を守る仕事をしてみませんか?

4.(小児科専門医になった後で)育児と仕事の両立について

 私は卒後8年目の医師です。もともと全く別の仕事をしており、東海大学の学士編入枠で医学部に入り、医師免許を頂いたので通常よりかなり遅れてのスタートでした。すでに学生の時から子育て中で、前期研修で東邦大学医療センター大森病院にやって来たのは他でもなく実家から一番近い大学病院だったからです。結果的にこちらでお世話になり早8年目となります。一概に仕事両立といっても、それぞれの家族、たとえ家族構成が同じで同じ年の子どもを持っていたとしても、その子のキャラクター、サポート可能な祖父母の存在、旦那の職業(キャラ?)などなどで母が仕事で頑張れる範囲が異なると思います。同じ人でも今は大丈夫でも子供の年齢が変わってくると同じことを続けることが難しくなったり、その時期もぞれぞれの家族のLife eventで大きく異なると思います。

当科は病棟の体制が主治医制ではなく、チーム編成制であること、1か月毎にスケジュールを調整してくれるため、学校行事等に参加の調整もつきやすいと思います。また、基本的には小児科では一番勉強になるので、当直はお勧めですが、出来ない時はで出来ないのでその辺も含めて都度調整可能な医局だと思います。是非、仕事はしたい、スキルもアップしたい、でも100%は無理だけど、70、80%ならいけるといった方にも来てもらえると嬉しいです。

5.海外留学に学ぶ

私は2010年から2012年の2年間、アメリカのコロラド小児病院に留学した経験があります。小児循環器領域において、特に肺動脈性肺高血圧症や川崎病に関する臨床研究を主に行いました。留学先の施設は、前任者も日本人も一人もいなかったので、大変な面も多かったですが、逆に気が楽でもありました。そこで私が必要と感じたことは、英語力や臨床能力ではありません。自分が今までどんな医療や研究を日本で頑張ってきたのか、が重要なことです。留学先のスタッフは、研究に関する知識は一切教えてくれません。勿論、その研究施設でのやり方は最低限教えてくれますが、日本でやってきたことを試されていたように感じます。彼らが期待するのは、わざわざ遠路遙々やって来たこの日本人は、何を我々に提供してくれるのか、ということでした。それが認められれば、少々英語力がどうであれ、一員として認めてくれるし、それ相応の待遇を与えてくれます。留学施設先の上司にも恵まれたこともあり、2年間の留学中に、論文を12本(うち9本は私がFirst author)、本の執筆を3つ行うことができました。しかし、私がこの留学で得られた最も価値のあるものは論文の数ではありません。私の上司を通して、アメリカ、オランダ、スイス、イギリスなどの肺高血圧のTop Doctor達と知り合うことができ、その人脈が今でも続いているということです。こういった人との繋がりこそが、留学しなければおそらく得られなかったものと感じております。これから、留学を目指す先生たちには、自分が向こうでなにをしたいのか、何ができるのか、を考えてほしいと思います。MLBに行って野球を一から教えてもらう人はいないように、自分が活躍できる何かを持って勝負してきてほしいと思います。

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
大森病院 小児科学講座

〒143-8541
東京都大田区大森西6-11-1
TEL:03-3762-4151(代表)