当講座における育成の特徴

当講座における育成の特徴

 東邦大学医学部精神神経医学講座(東邦大学医療センター大森病院精神神経科)での研修は、まずは病棟患者さんの診療を中心に行います。専攻医はそれぞれチームに分かれて指導医と診療にあたり、1チーム7-8名の患者さんを受け持ちます。病棟は閉鎖病棟で運用されており、保護室も備えられています。そのため、入院患者さんの疾患は幅広く、重症度も様々です。
 患者さんの主な疾患は、気分障害、統合失調症、認知症ですが、器質性・症状性精神障害など大学病院でなければ経験することが難しい疾患も受け持ちます。また,リエゾン精神医学への関りが多いところも大学病院ならではの特徴です.各科の医師とも連携して患者さんにとって最適な医療を提供します。
 「次世代のリーダー育成」も当講座の目標の1つであり、専攻医は指導医の下、早い段階から積極的に診療に参加してもらう方針をとっています。入院時の患者さんやご家族への説明、診断、治療方針、ケースワークなど入院から退院まで一貫して診療に関わってもらいます。さらに、病棟では「チーフレジデント制」を敷いており、専攻医の後半では病棟長や病棟と連携してベッドコントロールにも参画してもらいます。

屋根瓦方式による育成

 精神科病棟には病棟長のもとに複数のチームがあり,専攻医は各チームに配属されます.チームにはそれぞれ指導医,初期臨床研修医,医学生がいます.指導医からは精神科診療について基礎から教わります.また,研修医や学生には先輩医師として教える立場になります.
 大学では様々な形で人に「教える」という機会が与えられます.この経験は自身の知識の定着のみならず,将来指導医になったときにも必ず役立ちます.

360°からの育成

 専攻医の育成は指導医からのみ行われるのではありません.治療の主体である患者さんや患者さんをサポートするスタッフからも直接的・間接的に多くのことを教わります.診療は医師のみで行われるのではないということもキャリアの早い段階で学んでほしいと思います.
 大学病院では実に多くの人が医療に携わっています.それぞれの職種が診療においてどのような役割を果たしているのかを熟知し,治療における「大局観」というべき感性を養うことも重要です.大学病院では育成が360°から行われており,自然とそのような力を身につけることができます.