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統合失調症患者の社会認知に関する認識度や主観的困難感を明らかにし、論文発表しました。

統合失調症患者の社会認知に関する認識度や主観的困難感を明らかにし、論文発表しました。

 

本講座 根本隆洋教授、北海道大学大学院医学研究院精神医学教室 橋本直樹准教授、東京大学大学院総合文化研究科ギフテッド創成寄付講座 池澤聰特任准教授、国立精神・神経医療研究センター 病院 臨床研究・教育研修部門 情報管理解析部 大久保亮客員研究員らの共同研究グループは、日本医療研究開発機構(AMED)による研究開発課題において、統合失調症患者における社会認知(相手の顔や声色から感情を読み取る能力や相手の意図を推測する能力など)についての認識度や実生活で抱えている主観的な困難感を、インターネット調査にて明らかにしました。

本成果は2022 6 30日に国際学術誌「Psychiatry and Clinical Neurosciences」に掲載されました。

 

◆ 発表者名

内野 敬 (東邦大学医学部精神神経医学講座/医療法人財団厚生協会東京足立病院 医員)

大久保 亮(国立精神・神経医療研究センター病院 臨床研究・教育研修部門 客員研究員)

田久保 陽司(東邦大学医学部精神神経医学講座/済生会横浜市東部病院 医員)

青木 瑛子(東邦大学医学部精神神経医学講座 研究補助員)

和田 泉 (東邦大学医学部精神神経医学講座 公認心理師)

橋本 直樹(北海道大学大学院医学研究院精神医学教室 准教授)

池澤 聰 (東京大学大学院総合文化研究科ギフテッド創成寄付講座 特任准教授)

根本 隆洋(東邦大学医学部精神神経医学講座 教授)

 

◆ 発表のポイント

●統合失調症患者においては、対人関係の基礎となる能力である社会認知の低下が、仕事や学業など社会生活における困難につながっていることが知られており、社会認知を改善させる取り組みへの注目が高まっています。

●調査の結果、統合失調症患者のうち、「社会認知」という言葉を知っていた人は23.0%で、実際に社会認知に関して治療を受けたことがある人は3.9%と非常に少ない一方で、社会認知が社会生活と関連していると自覚する人は64.8%と多くいました。

●統合失調症患者は、健常対照者よりも社会認知に関する困難感を強く持っており、その困難感は、就学就労や対人関係などの社会生活における機能に強く影響していました。

●本研究から、統合失調症患者における社会認知を改善させる取り組みは、統合失調症治療におけるunmet medical needs(需要はあるがいまだ十分に提供されていない治療)であると考えられます。

 

◆研究の詳細

下記のプレスリリースをご参照ください。

https://www.toho-u.ac.jp/press/2022_index/20220630-1218.html

 

◆発表雑誌

雑誌名:「Psychiatry and Clinical Neurosciences」(20226 30日)

論文タイトル:Perceptions of and subjective difficulties with social cognition in schizophrenia from an internet survey: Knowledge, clinical experiences, and awareness of association with social functioning

著 者:Takashi Uchino, Ryo Okubo, Youji Takubo, Akiko Aoki, Izumi Wada, Naoki Hashimoto, Satoru Ikezawa, Takahiro Nemoto**責任著者)

DOI番号: 10.1111/pcn.13435

アブストラクトURLhttps://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/pcn.13435

以上

 

◆ 参考

日本医療研究開発機構(AMED)による研究開発課題

事業名:障害者対策総合研究開発事業(精神障害分野)

研究開発課題名:社会認知機能に関する新たな検査バッテリーの開発

課題管理番号:20dk0307092h0001

研究開発代表者:大久保亮

分担研究開発課題名:社会認知機能障害に関するニーズ調査

研究開発分担者:根本隆洋