臨床

日々の診療、研究、教育においては、現状維持は後退の始まりと考え、次世代循環器診療のために自己研鑽の日々を送っています。機能的改善を目的とした外科治療は、病態解析、治療選択、確実な技術の実行が強く求められますが、近年、問題となっている防衛医療、萎縮医療、保身医療を回避する適正医療を心がけ、高度な医療技術を提供しています。対象疾患は新生児から高齢者まで幅広く多岐にわたり、手術症例数も年間300症例に及び、藤井毅郎准教授を班長とする後天性心臓大血管班、益原大志講師を班長とする血管内治療班、片山雄三講師を班長とする先天性心疾患班に分け、相互連携を取りつつ診療に取り組んでいます。

東京都CCUネットワークに関連する急性冠症候群には常時緊急対応を行い、2010年には東京都急性大動脈スーパーネットワークの設立と同時に、これまでの実績を評価され重点拠点病院に指定されました。立ち上げられた大動脈センターは、後天性心臓大血管班、血管内治療班、救命救急センターの協力体制で対応し、急性大動脈症候群の対応数が年々増加しています。また、当院は東京都総合周産期母子医療センターであるため、先天性心疾患への対応も小児医療センター心臓血管外科部門が行っております。診療におけるDiversityは、高齢者における治療後の早期回復のためにリハビリテーション講座のスタッフと術前診察を行い、術後の回復目標を明確に設定し術後リハビリテーションを行っております。2018年4月に完成したハイブリッド手術室では、放射線科と協力し多くの大動脈血管内治療が行われ、2018年12月からは循環器内科、心臓血管外科、麻酔科、放射線科で構成されたハートチームによる経カテーテル的大動脈弁植え込み術を開始してます。

現在は、2020年から導入されるIMPELLA補助循環用ポンプカテーテルの準備を行っており、日々、高度先進医療の臨床導入に力を注いでおります。以下に、特に力を注いでいる治療を示します。

  1. 内視鏡を用いた胸部大動脈瘤人工血管置換術
  2. 新しい採取法(Non touch saphenous vein graft)による冠動脈バイパス術
  3. Hybrid ORでの低侵襲大動脈治療
  4. 小切開心臓弁治療
  5. Hybrid ORでの経カテーテル的大動脈弁植え込み術
  6. 心臓大血管手術における術前リハビリテーションを含めた周術期リハビリテーション
  7. 新生児大動脈離断・縮窄複合に対する一期的大動脈再建・心内修復術
  8. 左心低形成症候群に対するOpen-Square Techniqueを用いたNorwood手術
  9. Down症候群を合併した完全型房室中隔欠損修復術