診療科挨拶

スタッフ一人ひとりが高い意識を持ち、
薬物の知識と外科的技術の両方を追求

乳腺・内分泌外科【臨床教授】緒方 秀昭

患者さんとの信頼関係が何よりも重要

当科では主に乳がんや良性乳腺疾患などの乳腺領域と、甲状腺がん・バセドウ病・その他良性疾患などの甲状腺領域を取り扱っています。また、10年以上前から、希望者に対して乳房再建手術を積極的に導入してきました。乳房再建手術には、自分の組織を使った自家組織による再建、人工物を挿入する人工物による再建、乳房を切除すると同時に乳房形成を行う一次再建などさまざまな方法があります。私たちは常に患者さんの希望に寄り添い、コスメティックな部分にも配慮した上で最適な治療法を提案しています。

当科に訪れる患者さんは、自身の病気に大きな不安を抱いていらっしゃいます。そんな患者さんに少しでも安心していただけるよう、スタッフ一同、接遇面にも気を配るよう心がけています。
乳がんは触診や画像だけでは診断がつきにくいという特徴がありますので、検査機器だけに頼らず、既病歴・薬の服用歴・家族歴などをヒアリングすることが大切です。甲状腺疾患も手術が必要な疾患か否かを判断するのが難しいため、患者さんの背景を深く掘り下げていかなければなりません。そのためにも患者さんとの信頼関係を重視し、患者さんに心を開いていただける温かい丁寧な診療を実践しています。

当科を支える抜群のチームワーク

現在は常勤医3名と非常勤医3名が、それぞれの得意分野を活かしながら治療にあたっています。甲状腺や乳腺に限らず、患者さんの心身の苦痛を緩和するケアに習熟した医師もおります。「医療は医師だけでは成り立たない」という考えのもと、チーム医療を大切にしているのも当科の特徴の一つです。例えば患者さんに薬の説明をする際には、より患者さんに安心していただけるよう、医師からの説明に加えて看護師からも補足的に説明することがあります。そのためには看護師も医師と同等の知識を備える必要がありますから、医師・看護師・薬剤師が合同で定期的な勉強会を実施し、絶えず最新の知識を吸収しています。
その他にも最初に患者さんと接するクラーク、患者さんからのいろいろな質問に応じるヘルパー、そして患者さんの診療記録を作成するメディカルクラークも当科にとって非常に重要な存在です。その全員が質の高い医療を提供できるよう、チーム全体で常に知識をアップデートし、一丸となって診療を行いたいと思っています。

医療の進化に対応し、薬物に関する知識も重視

これまで甲状腺がんは「薬の効かないがん」とも言われてきましたが、近年は大きく薬物療法が進歩して、新しい革命を迎えています。当科では薬の効果が出やすい乳腺領域において、多くの分子標的薬治療・ホルモン療法・化学療法に取り組んできました。そのノウハウを甲状腺がん治療に応用させることができるのも、当院の特徴だと考えています。
今後も乳腺・甲状腺領域で薬物療法が普及していくため、薬物に関する知識は不可欠となるでしょう。その一方で、我々はがんを取り除く外科医としての役目もあります。後期研修医のみなさんには、多くの患者さんにより良い医療を提供するためにも、薬物の知識と外科的技術の両方を身につけていただきたいと考えています。