研究

当科では心身相関という観点から複数の研究を行っております。

機能性めまい

心療内科を受診する患者さんには器質的疾患はなくても様々な身体症状を自覚されている方がいます。これらの症状はmedically unexplained symptoms(MUS)という概念で統合され、現代の医学でもメカニズムを十分に説明できません。類縁病態と考えられる機能性めまいについて、東邦大学医学部柳瀬武司奨学寄付基金による支援を受け、心理社会的なメカニズムの解明を目的とした臨床研究を実施しています。

摂食障害における情動知能の研究

摂食障害は若年女性に好発し、死亡率が10%にも及ぶ現代でも治療が難しい疾患の1つです。東邦大学心療内科では以前から情動知能の研究を行っており、本研究では摂食障害の病態と情動知能の関連性を検討し、予後への影響や治療介入の糸口を探索する臨床研究を実施しております。

片頭痛に対する認知行動療法についての研究

片頭痛における認知の歪みを評価し、認知行動療法による介入の治療的効果を検証しています。またバイオフィードバック療法、漸進的筋弛緩法、自律訓練法を含むリラクゼーション法の実施に際して、遠隔会議システムやスマートデバイスの臨床的な活用を試みています。

心療内科実習における共感度に関する検討

医学生の共感度は学年を追うごとに低下するとされています。そこで様々な実習条件を検討し、それに伴って変化する医学生の共感度の変化量をJSE-S(Jefferson Scale of Physician Empathy Student version)で求め、実習によって変化する医学生の共感度を検討しています。

不眠症状を呈するアルコール常飲者の人格傾向

アルコール使用と不眠症状には相互の助長関係があり双方への対応が必要です。対応方法の一つに自身の問題への気づきを扱う交流分析が挙げられます。交流分析を行う際に使用する人格傾向をみる質問紙であるエゴグラムを使用し、内容を本人へフィードバックすることで解決策を模索する研究を行っています。

非定型うつ病

非定型うつ病はうつ病の中でも過食や睡眠といった身体症状との関連が強い疾患です。当科ではいままでメタボリック症候群や糖尿病、喫煙、自殺予防との関連について報告してきました。現在は心身医学の重要課題である中枢性感作との関連について文部科学省研究費の補助を受け研究しています。