お知らせ
卜部尚久先生の論文
卜部尚久先生の論文「Efectiveness of Amikacin liposome inhalation suspension for refractory Mycobacterium avium complex pulmonary disease at 6 months post initiation」が 「BMC Pulmonary Medicine」に掲載されました。
要旨
近年、従来の治療法で効果が得られないMAC肺疾患に対する新たな治療法として、アミキシンリポソーム吸入懸濁液(ALIS)が注目されています。本研究では、ALISの有効性を検証するため、2021年11月から2022年9月にかけて、東邦大学大森病院でALIS治療を開始した12名のMAC肺疾患患者を対象に、6カ月間の治療経過を検討しました。
その結果、ALIS治療開始から6カ月後に喀痰培養が陰性となった患者は、12名中7名(58.3%)と、ALIS治療が有効であることが示唆されました。
さらに、ALIS治療効果と関連する患者特性や胸部CT所見を詳細に分析した結果、以下の点が明らかとなりました。
- ALIS治療効果は、クラリスロマイシン感受性菌株や、胸部CTで空洞病変が少ない患者に高い傾向が見られました。
-
ALIS治療後、胸部CT所見が改善した患者であっても、必ずしも喀痰培養が陰性になるとは限らず、ALIS治療の有効性は、喀痰培養の結果だけでなく、胸部CT所見や体重の変化など、総合的に評価する必要があると考えられます。
本研究は、ALISがMAC肺疾患に対する有効な治療法の一つとなり得ることを示唆する一方で、ALIS治療の長期的な効果や、治療成功を予測する因子など、さらなる研究が必要であることを示唆しています。
今後の展望
ALISは、MAC肺疾患に対する新たな治療選択肢として期待されています。しかしながら、本研究では、患者数が限られていることや、研究期間が短いことなど、いくつかの課題も存在します。
今後、より多くの患者を対象とした長期的な研究や、様々な患者特性を考慮した分析を進めることで、ALIS治療の有効性と安全性に関するさらなる知見が得られると期待されます。
https://bmcpulmmed.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12890-024-03261-w