診療方針

1. 総合周産期母子医療センターでの診療

総合周産期母子医療センターは平成3年に全国で初めて医学部新生児学講座の診療部門として独立し、新生児集中治療室(NICU)と周産期医療に詳しい産科医が管理する母体胎児集中治療室(MFICU)をバランスよく兼ね備え、平成9年にいち早く東京都の指定を受けました。地域の中核的な周産期医療センターとして文字通り母児の出産前後にわたるスムーズな集中治療を実践しております。MFICUは切迫早産の母体搬送を中心に、母体合併疾患に対する集約的治療や産科救急治療、さらには胎児疾患に対する様々な診断・治療など妊娠分娩に関する諸種の問題に取り組んでおり、年間入院件数は約150例です。NICUは院内出生例以外に新生児救急医療と乳幼児保健指導を含む周産期医療に取組んでおり、東京都大田区を中心とした都内と川崎市、横浜市、埼玉県、千葉県も含めた首都圏からの新生児を収容しています。年間入院数はNICUには約360例、年間分娩数は約1,000例、疾患の種類は低出生体重児の他に、新生児呼吸障害、新生仮死、奇形症候群、新生児外科疾患、脳神経外科疾患、心臓外科疾患などすべての分野にわたっています。
産婦人科と新生児科との周産期カンファレンスはもちろんのこと、小児科や関連各科のカンファレンスでスタッフ一同が同じ目的意識で診療に当たることができる態勢です。また、NICU、MFICU専属の医療者として、看護師、助産師だけでなく臨床心理士が常勤し、悩める妊婦さんに対して妊娠中から出産後まで心理面でもきめ細かくサポートする態勢をとっているのも東邦大学の特徴です。

母体胎児集中治療室(MFICU) 9床
新生児特定集中治療室(NICU) 15床
新生児回復期治療室(GCU) 18床
正常新生児室 20床

2. MFICU・産科外来について

当院は総合周産期母子医療センターの特性を活かし、ハイリスク妊娠・分娩・胎児に対応しています。妊娠合併症として、前置胎盤、妊娠高血圧症候群、前置胎盤をはじめとしたあらゆる合併症に対して外来管理および母体搬送を受け入れています。また、大学病院として、膠原病や腎疾患、糖代謝異常等々、合併症を抱えた妊婦さんに対して集学的な管理を行っています。胎児形態異常などの胎児疾患では、新生児科に留まらず、小児外科チーム、心臓外科チーム、脳外科チーム等と協力し、出生前から系統的な管理を行っています。

3. 胎児診断・治療

平成27年度より双胎間輸血症候群に対する胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術、胎児胸水に対する胎児胸腔・羊水腔シャント術、胎児貧血に対する胎児採血・輸血など高度な技術を要する胎児治療を開始しています。我が国の胎児診断・治療の拠点として拡充・発展に努めています。また、これら先進的な診断治療法を充実させるため、産婦人科・新生児科が協働し、臨床研究にも力を入れています。