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IVR

IVRとは

IVR(Interventional Radiology:インターベンショナルラジオロジー)とは、「放射線診断技術の治療的応用」と一般的には訳されていますが、「血管内治療」「血管内手術」「画像支援治療」なども、ほぼ同じ意味として使われています。

「Ⅹ線透視」「CT」「超音波」「血管造影」などの放射線診断で得られた画像を見ながら、血管や胆管の中に「カテーテル」と呼ばれる細い管を挿入して病変の近くまで誘導し、必要に応じて薬剤を注入したり、血管の拡張(血管拡張術)や閉塞(血管塞栓術)などの治療を行います。

当科がIVRを行っている主な症例

当科では呼吸器、腎臓、泌尿器・婦人科などの症例を中心にIVRを行っています。

呼吸器疾患—喀血に対する血管塞栓術

呼吸器疾患でメインとなるのは「喀血」の治療です。出血を起こしている気管支動脈にカテーテルを挿入して塞栓することで止血します。気管支動脈塞栓術(BAE)とも呼ばれます。

腎臓疾患—移植腎動静脈瘻に対する血管塞栓術、腎移植後の血管狭窄に対する血管拡張術

国内有数の腎移植の症例数をもつ当院では、移植後の拒絶反応や腎炎再発などの診断のために腎生検も丁寧に行っています。その腎生検により、稀に「移植腎動静脈瘻」という合併症が起こることがあります。これは生検の針がささることで動脈と静脈がつながってしまう症状で、腎機能や心機能の低下を招く場合があります。このようなときには動脈造影をして血管をつめ、動静脈瘻を塞栓する治療を行います。
また、腎移植後にはつながれた血管が狭くなる(血管狭窄)場合もあります。そのため血流が悪くなり、腎臓の機能が低下したり、末端まで血液が行き渡らなくなることもあります。このような場合にはカテーテルの先にバルーン(風船)をつけて血管に挿入し、血管を拡張する治療を行います。
動脈硬化に対しても、同様の治療が有効です。

泌尿器・婦人科疾患——がんに対する抗がん剤注入

膀胱がんや子宮頸がん・子宮体がんなどに対して、血管に挿入したカテーテルから病巣へと抗がん剤を注入する治療を行うケースもあります。

ただし、がんの場合は患者さん一人ひとり、最適な治療法が異なります。患者さんの症状をきちんと診断し、泌尿器科や婦人科など関連する科の主治医とよく検討したうえで、手術が適している場合は手術を、IVRによる抗がん剤注入が適している場合は抗がん剤治療を提案しています。最終的にどのような治療を行うかを判断するのは主治医と患者さんですが、どのような要望にも応えられるよう、当科では万全の体制を整えています。

IVRのメリット、デメリット

血管内にカテーテルを挿入するというと、とても大がかりな治療のように思う方もいらっしゃるかもしれませんが、IVRで使用するカテーテルはペン先程度のごく細いものです。皮膚表面を小切開し、注射針を用いて挿入しますが、その穴ももちろんごく小さく、患者さんの体にはほとんど負担がかかりません。手術に比べると格段に体にやさしい治療法ということができます。また、手術適応ではない症例でも、IVRによって治療が必要な場所だけを正確に施術できるケースなども数多くあります。

入院日数が短いということも大きなメリットといえます。抗がん剤注入の場合は1週間程度の入院が必要となりますが、血管の拡張(血管拡張術)や閉塞(血管塞栓術)などはケースによっては日帰りで治療することが可能です。

一方、同じ病気であっても血管の状態は一人ひとり個人差があるため、Ⅹ線による透視時間や撮影回数なども、患者さんによって大きな違いが生じやすい面もあります。透視時間が長くなったり、撮影回数が多くなればなるほど、被曝のリスクが高くなりやすいのも事実です。

当科では被曝を最小限に抑えることを第一に、これまで蓄積してきた被曝に関する知識や放射線診断の技術を生かし、透視や撮影など診断の効率化を図っています。

また、CTについては低被曝に特化した最新機器を導入しています。機器の能力を最大限に生かすと同時に、高度な診断技術を発揮することで、すべての患者さんに被曝の心配なく治療を受けていただけるよう努めています。

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
大森病院 放射線科

〒143-8541
東京都大田区大森西6-11-1
TEL:03-3762-4151(代表)