診療科のご案内
リプロダクションセンターの概要
1981年、日本で初めての男女総合の生殖医療を担当するリプロダクションセンターが、東邦大学医療センター大森病院に開設されました。リプロダクションセンターの泌尿器科部門では、主に男性不妊症と性機能障害の診療を行っています。初代センター長は三浦一陽名誉教授が務め、その後、永尾光一名誉教授が責任者となりました。2025年3月に永尾光一名誉教授が定年退職し、同年4月より小林秀行が就任しました。
研究の概要
泌尿器リプロダクションセンターでは、男性不妊症および性機能障害に関する診療および研究を行っています。
1.血液検査データ(ホルモン値)を活用した男性不妊症リスクのAI予測モデルの開発
男性不妊症の必須検査である精液検査は、専門的な設備(採精室、検査機器)が必要で、実施できる施設が限られている。また、検査自体に抵抗を感じる男性が多い。そのため、精液検査以外で男性不妊症のスクリーニングを行うことができないかどうか検討し、血中ホルモン値と年齢からAIで男性不妊症のリスクを判定するシステムを開発した。精度は74%であった(Kobayashi H et al. Sci Rep 2024)。 すでに東邦大学より特許出願を行い、民間会社と共同で製品の開発を行い社会実装を目指している。
2.非閉塞性無精子症に対する精巣の遺伝子治療法とiPS細胞からの生殖細胞発生法の基礎的研究
国立研究開発法人国立成育医療研究センター研究所 再生医療研究センター 細胞医療研究部の渡部聡朗先生(https://researchmap.jp/7000018458)が研究代表者となり、非閉塞性無精子症の解明および新規治療法の開発を目指して、2024年11月より精巣内精子採取術 (TESE)で採取した精巣組織を用いた研究を実施している。
研究業績
教育の概要
生殖医療における広い知識、練磨された技能と高い倫理性を備えた医師を養成し、さらに生涯にわたる研修を推進することによって、生殖医療の水準を高めることを目的として、一般社団法人日本生殖医学会での生殖医療従事者資格制度、生殖医療専門医が認定されています。リプロダクションセンターでは、生殖医療専門医の育成に重点を置いています。
診療の概要
男性不妊症
生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、避妊することなく通常の性交を継続的に行なっているにもかかわらず、妊娠の成立を見ない場合を「不妊」といいます。ある一定期間とは1年を指すことが一般的です。(公益社団法人日本産科婦人科学会)
WHOの調査によると、女性のみに原因のあるもの41%、男性のみに原因のあるもの24%、男女ともに原因のあるもの24%、原因不明のもの11%とされています。この結果より、全体の48%(約50%)が男性に原因のある男性不妊症であると考えられています。
2014年に我が国で実施された男性不妊症の疾患別患者の調査によると、男性不妊症の原因の第1位は造精機能障害 (82.4%)、2位は性機能障害 (13.5%)、3位は精路通過障害 (3.9%)でした。造精機能障害について、さらに細かく調べると、特徴として原因が特定できない、いわゆる特発性男性不妊に分類されるものが全体の42.1%を占めていました。原因が分かるものとして、精索静脈瘤が30.2%を占めていました。最近では、性機能障害が原因による男性不妊症も増加しており、性機能障害の内訳として、勃起障害と射精障害があります。
診断の手順は、一般的な内科外来と大きな違いはなく、問診(結婚歴、挙児希望歴、既往歴、アレルギーの有無、タバコの有無、内服歴、性機能や性交頻度の聴取など)を行い、陰部(陰茎、精巣)を中心とした視診および触診を行います。このとき、精巣超音波検査を行い、精巣の状態や精索静脈瘤の有無を判断します。臨床検査として、一般的は血算・生化学検査、尿検査に加えて、内分泌検査(LH, FSH, PRL, Testosterone, E2)、染色体検査(Gバンド法)を行います。
男性不妊症の診断で最も基本で必須な検査として精液検査が行われます。禁欲期間を2日~5日間を保った後、マスターベーションにて精液を採取します。(当院は専用の採精室が完備されておりますのでご安心ください。)精液検査では、精液量・精子濃度・精子運動率・正常形態精子率が測定されます。無精子症の場合は、Y染色体微小欠失を調べるAZF検査を行います。また、当院では、精子機能検査である精液の酸化還元電位測定 (oxidation reduction potential: ORP)測定を行うことができます。
これらの検査結果より、男性不妊症の原因を特定し、原因に合った治療を行なっていきます。男性不妊症の診断と治療の意義は、昨今の晩婚化に伴う卵子の老化も相まって精液所見が不良な精子を用いた女性側での体外受精の成績は極端に悪いことが判明しています。男性不妊症の治療により、タイミング法や人工授精のみならず、体外受精の成績までも改善することが分かっています。治療効果を最大限に引き出すために、不妊症の原因の約半数を占める男性不妊症の治療は重要となります。
WHOの調査によると、女性のみに原因のあるもの41%、男性のみに原因のあるもの24%、男女ともに原因のあるもの24%、原因不明のもの11%とされています。この結果より、全体の48%(約50%)が男性に原因のある男性不妊症であると考えられています。
2014年に我が国で実施された男性不妊症の疾患別患者の調査によると、男性不妊症の原因の第1位は造精機能障害 (82.4%)、2位は性機能障害 (13.5%)、3位は精路通過障害 (3.9%)でした。造精機能障害について、さらに細かく調べると、特徴として原因が特定できない、いわゆる特発性男性不妊に分類されるものが全体の42.1%を占めていました。原因が分かるものとして、精索静脈瘤が30.2%を占めていました。最近では、性機能障害が原因による男性不妊症も増加しており、性機能障害の内訳として、勃起障害と射精障害があります。
診断の手順は、一般的な内科外来と大きな違いはなく、問診(結婚歴、挙児希望歴、既往歴、アレルギーの有無、タバコの有無、内服歴、性機能や性交頻度の聴取など)を行い、陰部(陰茎、精巣)を中心とした視診および触診を行います。このとき、精巣超音波検査を行い、精巣の状態や精索静脈瘤の有無を判断します。臨床検査として、一般的は血算・生化学検査、尿検査に加えて、内分泌検査(LH, FSH, PRL, Testosterone, E2)、染色体検査(Gバンド法)を行います。
男性不妊症の診断で最も基本で必須な検査として精液検査が行われます。禁欲期間を2日~5日間を保った後、マスターベーションにて精液を採取します。(当院は専用の採精室が完備されておりますのでご安心ください。)精液検査では、精液量・精子濃度・精子運動率・正常形態精子率が測定されます。無精子症の場合は、Y染色体微小欠失を調べるAZF検査を行います。また、当院では、精子機能検査である精液の酸化還元電位測定 (oxidation reduction potential: ORP)測定を行うことができます。
これらの検査結果より、男性不妊症の原因を特定し、原因に合った治療を行なっていきます。男性不妊症の診断と治療の意義は、昨今の晩婚化に伴う卵子の老化も相まって精液所見が不良な精子を用いた女性側での体外受精の成績は極端に悪いことが判明しています。男性不妊症の治療により、タイミング法や人工授精のみならず、体外受精の成績までも改善することが分かっています。治療効果を最大限に引き出すために、不妊症の原因の約半数を占める男性不妊症の治療は重要となります。
性機能障害
男性の性機能障害は、性欲、勃起、性交、射精、極致感のいずれか1つが欠けるか、もしくは不十分なものと定義され、病型は多岐に渡っています。性機能障害は大きく分類して勃起障害 (erectile dysfunction: ED)と射精障害に分けることができます。
性機能障害の中で、最も多い訴えはEDです。EDは加齢と共に増加し、生活習慣病の代表的な疾患であるメタボリックシンドロームと強く関連している報告が多数あります。糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が増加しており、それに伴いEDも増加傾向です。
2023年に25年ぶりに我が国でED有病率についての全国調査が行われ、中高年でED有病率が上昇していますが、若年層でもED有病率が上昇していることが判明しました。超高齢化社会を迎え、増加している中高年のEDは重要な問題です。
また、テストステロン低下は、近年注目が集まっている加齢男性性腺機能低下症候群 (LOH症候群)との関連性が言われています。LOH症候群の代表的な症状の1つがEDであることはよく知られています。また、EDは心筋梗塞や脳卒中などの心血管系障害の発症を予測する因子との報告もあります。これは、動脈硬化が心臓の冠動脈や脳動脈が狭窄を起こす前に、陰茎への血流が低下しEDが発症すると言われています。
射精障害に関しても訴えは多いです。射精障害の分類は、①マスターベーション、膣内射精とも不能。②膣内射精のみ不能。③射精までの時間に異常(早漏、遅漏)。④オルガズムの欠如、射精時の頭痛、射精痛。に分類している。
最近、若年者に増加傾向な射精障害は、マスターベーションでは射精可能であるが、膣内での射精が不可能である膣内射精障害です。原因としては、マスターベーション時の不適切な陰茎への刺激方法によるものと、心因性の2つ大別できる。しかし、思春期から続く長期間におよぶマスターベーションの方法に問題がある場合が多いため、治療には難渋するケースが多いです。
当院での性機能障害に関する外来の特徴は、他施設で難渋している症例の紹介が多い傾向です。診断の手順としては、問診、質問用紙での評価を行い、血算・生化学検査、尿検査内分泌検査(LH, FSH, PRL, Testosterone, E2,free testosterone)を行います。
さらに、必要時に応じて、EDの特殊診断検査を実施しております。対象は、①EDの原因を精査したい場合。②経口治療薬に反応が不十分で原因精査を希望する場合。③EDであることを客観的に証明する場合(労働災害などの証明)。④EDではないことを証明する場合(離婚訴訟など)です。
特殊検査には、①プロスタグランジンE1 (PGE1)の陰茎海綿体注射 (intra-cavernous injection: ICI)。②リジスキャンによる夜間勃起現象 (nocturnal penile tumescence: NPT)測定。があります。
*当院では、陰茎の血行再検手術は行っていないので、陰茎の血管造影や海綿体造影は行っておりません。
性機能障害の中で、最も多い訴えはEDです。EDは加齢と共に増加し、生活習慣病の代表的な疾患であるメタボリックシンドロームと強く関連している報告が多数あります。糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が増加しており、それに伴いEDも増加傾向です。
2023年に25年ぶりに我が国でED有病率についての全国調査が行われ、中高年でED有病率が上昇していますが、若年層でもED有病率が上昇していることが判明しました。超高齢化社会を迎え、増加している中高年のEDは重要な問題です。
また、テストステロン低下は、近年注目が集まっている加齢男性性腺機能低下症候群 (LOH症候群)との関連性が言われています。LOH症候群の代表的な症状の1つがEDであることはよく知られています。また、EDは心筋梗塞や脳卒中などの心血管系障害の発症を予測する因子との報告もあります。これは、動脈硬化が心臓の冠動脈や脳動脈が狭窄を起こす前に、陰茎への血流が低下しEDが発症すると言われています。
射精障害に関しても訴えは多いです。射精障害の分類は、①マスターベーション、膣内射精とも不能。②膣内射精のみ不能。③射精までの時間に異常(早漏、遅漏)。④オルガズムの欠如、射精時の頭痛、射精痛。に分類している。
最近、若年者に増加傾向な射精障害は、マスターベーションでは射精可能であるが、膣内での射精が不可能である膣内射精障害です。原因としては、マスターベーション時の不適切な陰茎への刺激方法によるものと、心因性の2つ大別できる。しかし、思春期から続く長期間におよぶマスターベーションの方法に問題がある場合が多いため、治療には難渋するケースが多いです。
当院での性機能障害に関する外来の特徴は、他施設で難渋している症例の紹介が多い傾向です。診断の手順としては、問診、質問用紙での評価を行い、血算・生化学検査、尿検査内分泌検査(LH, FSH, PRL, Testosterone, E2,free testosterone)を行います。
さらに、必要時に応じて、EDの特殊診断検査を実施しております。対象は、①EDの原因を精査したい場合。②経口治療薬に反応が不十分で原因精査を希望する場合。③EDであることを客観的に証明する場合(労働災害などの証明)。④EDではないことを証明する場合(離婚訴訟など)です。
特殊検査には、①プロスタグランジンE1 (PGE1)の陰茎海綿体注射 (intra-cavernous injection: ICI)。②リジスキャンによる夜間勃起現象 (nocturnal penile tumescence: NPT)測定。があります。
*当院では、陰茎の血行再検手術は行っていないので、陰茎の血管造影や海綿体造影は行っておりません。
その他
学会活動