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対象疾患

射精障害

 射精障害は下記に分類されます。

  1. 自慰・膣内射精ともに不能(外尿道口から精液が出ない)
    →Emission lessと逆行性射精に大別されます。
  2. 膣内射精障害
  3. 射精までの時間が異常(早漏、遅漏)
  4. オルガズムの欠如
  5. 射精時の頭痛、射精痛

Emission less

 Emission lessとは、順行性にも逆行性にも射精不能の状態のことを表します。後部尿道への精液の射出が起こらない状態です。精液の後部尿道への射出には、交感神経系が関与しており、骨盤内手術、脊髄損傷、糖尿尿、多発性硬化症などが原因で起こります。前立腺肥大症の治療で用いるα1遮断薬や抗うつ薬の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの薬剤が原因で起こることもあります。α1遮断薬の中でも、特にシロドシンにて射精障害が起こることが多いです。薬剤性が疑われるときは、休薬にて症状が改善する場合があります。しかし、Emission lessの確立された内服治療は存在しません。

逆行性射精

 逆行性射精は、膀胱頸部の閉鎖障害のため、精液が尿道側に射出されずに膀胱側に流入する状態を指します。オルガズム後の尿検体に精子が、10~15個以上/強拡大視野で認められた場合に診断されます。骨盤内手術、脊髄損傷、糖尿尿、多発性硬化症などが原因で起こります。前立腺肥大症の治療で用いるα1遮断薬や抗うつ薬の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの薬剤が原因で起こることもあります。さらに、経尿道的前立腺手術も原因となります。治療は、三環系抗うつ薬(イミプラミン)が用いられます。三環系抗うつ薬は、交感神経受容体の活性化を促進し、膀胱頸部の緊張に作用すると考えられています。ただし、三環系抗うつ薬は、うつ病や遺尿症に適応がある薬剤で、逆行性射精に対しては適応外使用であるため専門家の判断で用いることが推奨されます。イミプラミンは20mgから開始し、効果がない場合は50mgまで漸増するのが望ましいと考えられています。

膣内射精障害

 自慰(マスターベーション)では射精可能であるが、膣内での射精が不可能である状態です。我が国では、射精障害の中で多く見られます。原因は、①心因性と、②不適切なマスターベーションによるものの二つに大別されます。多くは、不適切なマスターベーションによるものです。具体的には、マスターベーションの方法が、床に陰茎をこすりつける、陰茎を強く握る、足を伸ばした状態など特定の姿勢でしか射精できないなどがあります。思春期から続く、習慣によるものなので治療は難渋します。薬物療法はなく、行動療法が中心となります。マスターベーションのトレーニング方法として、マスターベーションエイド(射精補助器具)の使用を勧めています。

早漏

 射精までの時間が1分以内、以前は問題なかったが徐々に射精までの時間が短縮した場合は3分以内と定義されています。海外では、射精障害の中で早漏の訴えは多いと報告されています。我が国における治療は、薬物療法としてSSRIが用いられますが適用外使用となります。また、マスターベーションエイドを用いた行動療法を指導します。

遅漏

 射精までの時間が25~30分以上かかるものと定義されています。我が国で多くみられる膣内射精障害も遅漏の亜型と考えられています。確立された有効な薬物療法はありません。マスターベーションエイドを用いた行動療法を指導します。

オルガズムの欠如

 心因性によるものが多く、確立された有効な薬物療法はありません。

射精時の頭痛、射精痛

 射精時に外陰部や骨盤部に痛みを感じたり、頭痛を伴ったりします。原因不明のことが多いですが、約20年ほど前に、Post Orgasmic Illness Syndrome (POIS)というオーガズム後症候群という病気が提唱されました。原因は、自分の精液のアレルギーと考えられています。治療は、抗アレルギー剤が有効な場合があります。

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