対象疾患
男性更年期障害(LOH症候群)
男性更年期障害と加齢男性性腺機能低下 (late onset hypogonadism: LOH)症候群は同じように考えられていますが、加齢に伴うテストステロン低下によるものをLOH症候群と考えられています。一方、その他の要因を含み同様の症状を示す、広い疾患概念を男性更年期障害と捉えています。つまり、男性更年期障害という大きな枠の中にLOH症候群が含まれているという考え方です。
我が国において、男性更年期障害(LOH症候群)は、社会で広く認知が進み、泌尿器科以外の科でも認識がなされつつあります。しかし、男性更年期障害(LOH症候群)は加齢という大きな因子が関与し、その症状の多くが加齢や他の疾患でも生じる不定愁訴です。特に、うつ病と共通する症状も多く、男性更年期障害(LOH症候群)を疑い外来を受診した患者は他疾患との鑑別が必要であり、症状の原因を明確に診断するケースが難しい場合も多いです。そのため、他科との連携が必要になることもしばしばあります。
我が国において、男性更年期障害(LOH症候群)は、社会で広く認知が進み、泌尿器科以外の科でも認識がなされつつあります。しかし、男性更年期障害(LOH症候群)は加齢という大きな因子が関与し、その症状の多くが加齢や他の疾患でも生じる不定愁訴です。特に、うつ病と共通する症状も多く、男性更年期障害(LOH症候群)を疑い外来を受診した患者は他疾患との鑑別が必要であり、症状の原因を明確に診断するケースが難しい場合も多いです。そのため、他科との連携が必要になることもしばしばあります。
男性更年期障害(LOH症候群)の概念
男性更年期障害(LOH症候群)は、男性ホルモンのテストステロン値の低下をもとにした症候群です。テストステロンの低下が起きると、さまざまな症状がみられます。具体的には、下記が見られます。
- 性機能症状:早朝勃起の低下、性欲の低下、勃起障害など
- 精神症状:うつ傾向、記憶力・集中力の低下、倦怠感・疲労感など
- 身体症状:筋力の低下、骨塩量の低下、体脂肪の増加など
テストステロン値の加齢による変化
テストステロンは、20歳台でピークを迎え、50歳以降は1%/年ずつ低下すると言われています。
血漿中のテストステロンの約98%は、性ホルモン結合グロブリン(sex hormone-binding globulin :SHBG)やアルブミンと結合しているタンパク結合型であり、残りの1~2%が遊離型として存在しています。アルブミンとSHBGの結合力を比べた時に、テストステロンとアルブミンとの結合の方が緩く、離れたテストステロンは、アンドロゲン受容体(AR)と結合することで、遊離テストステロンと共に生理活性を有すると考えられています。
総テストステロンは、結合型と遊離型の両者を合わせたものです。また、アルブミンと結合したテストステロンと遊離テストステロンを合わせて、生物学的活性を有するテストステロン、bioavailable Tと言います。
日本人における総テストステロンと遊離テストステロンにおける加齢による推移では、総テストステロンは加齢に伴い緩やかな変化しか示さないのに対して、遊離テストステロンは加齢に伴って有意に低下していきます。この遊離テストステロン低下の原因は、テストステロン産生の低下ではなく、結合タンパクであるSHBGが加齢により上昇し、結合型テストステロンが増加し、遊離テストステロンが減少するためと考えられています。
血漿中のテストステロンの約98%は、性ホルモン結合グロブリン(sex hormone-binding globulin :SHBG)やアルブミンと結合しているタンパク結合型であり、残りの1~2%が遊離型として存在しています。アルブミンとSHBGの結合力を比べた時に、テストステロンとアルブミンとの結合の方が緩く、離れたテストステロンは、アンドロゲン受容体(AR)と結合することで、遊離テストステロンと共に生理活性を有すると考えられています。
総テストステロンは、結合型と遊離型の両者を合わせたものです。また、アルブミンと結合したテストステロンと遊離テストステロンを合わせて、生物学的活性を有するテストステロン、bioavailable Tと言います。
日本人における総テストステロンと遊離テストステロンにおける加齢による推移では、総テストステロンは加齢に伴い緩やかな変化しか示さないのに対して、遊離テストステロンは加齢に伴って有意に低下していきます。この遊離テストステロン低下の原因は、テストステロン産生の低下ではなく、結合タンパクであるSHBGが加齢により上昇し、結合型テストステロンが増加し、遊離テストステロンが減少するためと考えられています。
加齢に伴うテストステロンの低下の原因
生活習慣病や肥満などによるテストステロン低下が主体と考えられています。肥満により、テストステロンは脂肪組織でエストロゲンに変換され、脳の下垂体に作用し、テストステロンの分泌に必要なLH(黄体化ホルモン)の低下を誘導します。また、併存疾患や生活習慣病による慢性炎症によるサイトカイン放出も脳の下垂体機能の抑制に関与します。つまり、年齢よりも肥満や併存疾患・生活習慣病がテストステロン低下に大きく関与することが明らかになってきています。これは、肥満や生活習慣病の改善がテストステロン低下の予防にもつながり、治療においても重要なことを示しています。
LOH症候群の診断
総テストステロン値が主診断検査値で、遊離テストステロン値が補助診断検査値となります。基準値は下記の通りです。
- 総テストステロン値が250ng/dL未満
- 総テストステロン値が正常であっても遊離テストステロン値が7.5pg/mL未満
LOH症候群の治療
① 生活習慣の改善
運動、食事、睡眠などの生活習慣の改善について指導します。
② テストステロン補充療法
総テストステロンが250ng/dL未満を基本的適応とし、テストステロン値が正常であっても、抑うつ症状、易疲労感、性機能低下などの症状がある場合は治療の適応となります。ただし、前立腺癌の腫瘍マーカーであるPSA高値、前立腺癌、乳癌は禁忌となります。
方法:テストステロンエナント酸エステル125mgを2~3週毎、または、テストステロンエナント酸エステル250mgを3~4週毎に筋注します。
副作用:テストステロンエナント酸エステルを長期投与することで、精巣の委縮や機能低下を来します。これは、外因性のテストステロンを投与することで、本来、自らが分泌していた内因性のテストステロンが分泌されないことで起こります。また、若年男性で挙児希望がある場合に、テストステロンエナント酸エステルを投与すると精巣機能が抑制され無精子症となるので注意が必要です。
③ 胎盤性性腺刺激ホルモン(hCG)
挙児希望がある男性に対して提案します。1回3,000~5,000単位を週1~2回、あるいは2週間毎に筋注します。
運動、食事、睡眠などの生活習慣の改善について指導します。
② テストステロン補充療法
総テストステロンが250ng/dL未満を基本的適応とし、テストステロン値が正常であっても、抑うつ症状、易疲労感、性機能低下などの症状がある場合は治療の適応となります。ただし、前立腺癌の腫瘍マーカーであるPSA高値、前立腺癌、乳癌は禁忌となります。
方法:テストステロンエナント酸エステル125mgを2~3週毎、または、テストステロンエナント酸エステル250mgを3~4週毎に筋注します。
副作用:テストステロンエナント酸エステルを長期投与することで、精巣の委縮や機能低下を来します。これは、外因性のテストステロンを投与することで、本来、自らが分泌していた内因性のテストステロンが分泌されないことで起こります。また、若年男性で挙児希望がある場合に、テストステロンエナント酸エステルを投与すると精巣機能が抑制され無精子症となるので注意が必要です。
③ 胎盤性性腺刺激ホルモン(hCG)
挙児希望がある男性に対して提案します。1回3,000~5,000単位を週1~2回、あるいは2週間毎に筋注します。
*LOH症候群に対する治療は、保険対象外にて自費診療となります。