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顕微鏡下精巣内精子採取術(MDTESE;Micro-TESE)

非閉塞性無精子症に精索静脈瘤手術は、有効でしょうか?

Schlegelらは、非閉塞性無精子症に対する精索静脈瘤手術後の精子出現率・妊娠率に関する15編の論文をレビューし、精索静脈瘤手術後33%で少なくとも1回は 射出精子が出現し、 10%以上が、MicroTESEを回避できると報告している。Inciらは、精索静脈瘤手術後1年でMicroTESEによる精子回収率は、手術しない場合より有意に改善し、精子回収の可能性が2.63倍にあがったと報告している。以上より、大きな精索静脈瘤があり、1年間の術後経過観察の時間的余裕があるカップルには治療の選択肢になります。

MDTESE(Micro-TESE)は両側の精巣を行う必要がありますか?

以前入院し全身麻酔でMDTESE(Micro-TESE)を行っていたころは両側を行っていました。およそ200例の統計から片側で精子が採取できなくてもう一方で精子が採取できた場合が約4%でした。
現在、MDTESE(Micro-TESE)を片側で日帰り手術していますが、両側を同時にやることはありません。後日もう一方を行う患者さんは約10%です。ただし、上記は、凍結保存精巣内精子の使用を前提に行っています。

顕微授精の成績を向上させるために新鮮精巣内精子を使用する場合は、妻の採卵とMicroTESEを同日に行います。両側精巣からの精子回収率は約30%ですから、約70%の確率で採卵とその費用が無駄になります。採卵されてからのMicroTESEですから術者・スタッフの責任もさらに増し、結果的に両側MicroTESEになることが多いです。新鮮精巣内精子を使用するMicroTESE—ICSIは連携病院で行っています。

MDTESE(Micro-TESE)手術前のY染色体微小欠失(AZF)検査の意義は?

検査は採血で行います。一部の無精子症の男性にはY染色体のAZFという領域が欠けていること(欠失)が報告されています。無精子症を対象としたAZF領域微小欠失結果とTESE(精巣内精子採取術)の精子回収率に一定の関係が存在します。AZF領域微小欠失結果でAZFa欠失、AZFb欠失、AZFb+c欠失、Y染色体長腕欠失などでは、TESEを行っても精子を回収できないことが分かっていますので、TESE前にこの検査を行えば無駄な手術を回避できますのでお勧めしています。一方、AZFc欠失では、精子を回収できる可能性があるのでTESEを行うこと多いです。しかし、男児が生まれるとAZFc欠失は遺伝しますがその男児が将来不妊症になるかは不明です。
費用は、保険適用されていませんので当院では自費35,000円かかります。

MDTESE(Micro-TESE)の合併症は?

痛み、内出血、感染などの可能性があります。その他、両側MDTESE(Micro-TESE)を行った場合は男性ホルモンが軽度低下する可能性が稀にあります。
痛みについて、当センターでは特殊な局所麻酔を使用しているため、手術中の痛みはほとんどなく、手術後の痛みも、自宅で、痛み止めの内服1-2回、痛み止めの座薬1回使用が平均的で、翌日から事務仕事程度は可能です。

MDTESE(Micro-TESE)で精子が凍結保存できなかったら?

当院では片側で精子が採取できなかった場合、反対側で採取できる確率が4%です。それでも10%の患者さんはもう一度行います。その他は他人の精子の利用についてお話しています。他人の精子を使用する場合は、他人の精子を妻の子宮に入れる方法(AID)と他人の精子を顕微授精させる方法がありますが、問題もあります。

AIDにはどんな問題がありますか?

精子は一度凍結保存され、精子提供者の感染症検査(HIVなど)を6ヶ月後に行います。一度凍結された精子は運動率が低下し妊娠率も低くなります。
また、うまく妊娠出産した場合でも精子提供者が不明なため生まれた子供が成人した時に自分の父親が誰なのかと悩む場合があります。
その他、精子を提供した男性の子供が複数できる可能性があり知らない間に近親婚になる可能性が否定できません。

他人の精子での顕微授精にはどんな問題がありますか?

顕微授精はAIDよりも妊娠出産の確率が高い治療法です。日本産婦人科学会では、他人の精子での顕微授精を禁止し、厚生労働省は夫の父親の精子の使用を禁止していません。
法的拘束がないため他人の精子での顕微授精行っているクリニックも稀にあります。

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