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対象疾患

精索静脈瘤

 男性不妊症の大きな原因の造精機能障害は特発性が多いですが、原因が同定できる中で最も頻度が高いのが精索静脈瘤です。精索静脈瘤は、左側に多いのが特徴です。解剖学的に、左腎静脈から左精巣静脈に分岐し、精巣側へ進むにつれて分岐が増えます。陰嚢付近になると、下腹壁静脈や大伏在静脈、内腸骨静脈との交通が増え蔓状静脈叢を形成します。この蔓状静脈叢に血液がうっ滞することで、陰嚢内の温度上昇、精巣の低酸素環境、腎・副腎の代謝産物の精巣への逆流などが悪影響を及ぼすと言われています。多くは無症状で見つかりますが、陰嚢の不快感や痛みを来たし見つかることもあります。精液所見が不良な精索静脈瘤は、手術により一定の妊孕性の改善が期待でき、男性不妊症のうち最も外科的治療が行われている疾患です。

治療の対象

 診察にて、グレード3(見てわかる:陰嚢が凸凹している、腫れている)、グレード2(触ってわかる:腫れている)、精巣超音波検査で精巣静脈の太さ3.0mm以上が複数または2.8mm以上が多数あるものが手術適応となります。

精索静脈瘤の手術療法について

 かつては、高位結紮術や腹腔鏡下精索静脈瘤手術といった臍部の付近で精巣静脈を結紮する術式が行われていましたが、術後の再発率の高さや術後陰嚢水腫のリスクがあります。現在は、後述する低位結紮術が一般的に行われており、当院では手術用顕微鏡を用いた方法で行っています。

低位結紮術

 手術は入院による全身麻酔(3泊4日)で行います。Sub-inguinalアプローチと呼ばれる精索が通っている鼠経輪の出口である外鼠経輪の高さで横切開を行います。ちょうど、陰茎の付け根の横あたりです。精索を牽引し体外に露出させ、手術用顕微鏡を使用して動脈、静脈、神経、リンパ管を1本1本丁寧に確認して分離し、逆流静脈だけを結紮します。このとき、細い静脈でも残存させると術後再発の原因となるため、すべての静脈を結紮することが重要です。動脈、神経、リンパ管は温存します。動脈の確認には、ドップラーを用いて拍動音を確認します。当院では術中に、静脈、動脈、神経、リンパ管の数をカウントして記録用紙に記入していますので、何本の静脈を結紮したかどうか、何本の動脈を温存できたかどうかが分かるようになっています。手術時間は1.5~2.0時間です。術後妊娠率が高く、再発率や陰嚢水腫の発生率が低い術式です。術後の痛みは軽度で、早期の社会復帰が可能です。

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