卜部尚久先生の論文
2025年08月20日卜部尚久先生の論文「Utility of sputum specimen quality evaluation in improving diagnostic accuracy for Nontuberculous mycobacterium pulmonary disease」が 「Journal of Infection and Chemotherapy」に掲載されました。
要旨
背景
非結核性抗酸菌性肺疾患(NTM-PD)の正確な診断には、喀痰検体の品質が重要である。喀痰の膿性を評価することは NTM-PD の診断精度向上に寄与し得るが、その有用性は十分に確立されていない。
方法
単施設の後ろ向き研究として、NTM-PD 患者 183 例を対象とした。喀痰検体の品質は Miller and Jones 分類を用いて評価し、喀痰膿性のグレードと NTM 培養陽性との関連を検討した。さらに、膿性グレードが低い検体にも診断的価値が残るかを検証した。
結果
評価した 469 検体のうち、252(53.7%)が NTM 培養陽性であった。P1、P2、P3 と判定された膿性検体は、非膿性検体と比べて培養陽性率が有意に高く、培養陽性と強く関連していた(オッズ比[OR]4.58;95%信頼区間 2.961–7.086;p<0.001)。培養陽性率は P1 で 65.3%、P2 で 65.7%、P3 で 65.9%、一方で M1 は 36.4%、M2 は 36.8% であった。注目すべき点として、膿性が低い(M1、M2)検体でも約 3 分の 1 が培養陽性であり、診断的価値が保持されていることが示された。
結論
Miller and Jones 分類による喀痰膿性の評価は、NTM-PD の診断に有用な情報を提供する。膿性喀痰(P1–P3)は培養および塗抹陽性と強く関連する一方、膿性グレードの低い検体(M1、M2)にも診断的価値が認められる。これらの知見は、臨床現場において喀痰膿性評価を実践的に用いて診断収率を高めることを支持する。
文責:鹿子木 拓海
投稿者:スタッフ
カテゴリー:原著論文


