卜部尚久先生の論文

卜部尚久先生の論文「Clinical efficacy of sitafloxacin-containing regimens for Mycobacterium avium complex pulmonary disease」が 「BMC Pulmonary Medicine」に掲載されました。

要旨

Background フルオロキノロン系薬(FQ)は、各種の実験環境において、 Mycobacterium avium complex(MAC)に対する有効性が示されてきた。シタフロキサシン(STFX)は、特に強い抗 MAC 活性を示すことが報告されているが、MAC 肺疾患(MAC-PD)に対する治療効果に関する臨床データは限られている。本研究の目的は、MAC-PD 患者における STFX含有レジメンの有効性を評価することである。

Methods 本後ろ向きコホート研究には、2015年1月から2024年3月までに単一施設で STFX 含有レジメンを6か月以上投与された MAC-PD 患者50例を含めた。患者は以下の4群に分類した:第1群:手術非施行で STFX 治療を受けた群(n =49)、第2群:ガイドラインに基づく治療(GBT)開始から6か月以上経過して STFX が追加された群(n = 40)、第3群:GBTに対する放射線学的反応が不良であった群(n = 38)、第4群:STFX 開始時点で喀痰培養陽性が持続していた群(n =19)。主要評価項目は、NICE(Nodule, Infiltration, Cavity, Ectasis)スコアを用いた6か月時点での放射線学的改善、喀痰培養陰性化(4週以上の間隔をあけて採取した連続2回以上の培養陰性と定義)、およびCOPD Assessment Test(CAT)スコアを用いた症状改善とした。

Results 放射線学的改善、症状改善、喀痰培養陰性化は、それぞれ第1群で 18.4%、19.1%、20.0%、第2群で12.5%、20.0%、12.5%、第3群で 13.2%、18.4%、13.3%、第4群で5.3%、15.8%、12.5%(評価可能であった16例中2例)に認められた。喀痰培養陰性化を達成した2例はいずれもクラリスロマイシン感受性株、非空洞性病変を有し、かつエタンブトールを併用していた。

Conclusions STFX 含有レジメンは MAC-PD 患者において、放射線学的、症状学的、あるいは微生物学的な改善を達成した割合がいずれの群でも20%未満であり、その効果は中等度で全体として限定的であった。STFXは標準治療が実施困難な場合の代替的な追加薬として検討しうるものの、その全体的な治療的役割は限られていると考えられる。 

文責:鹿子木 拓海

投稿者:スタッフ

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