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チーム医療の推進

チーム医療は、多職種の医療従事者が、それぞれの専門的な視点から、患者さんやご家族の目標と情報を共有することで、患者さんの状態に応じた医療を提供することです。チーム医療による多職種の円滑な情報共有は患者さんやご家族の今後の治療方針を考えるうえでとても重要になります。

当科では、患者さんにとって最善のリハビリテーション医療を提供するために、各診療科の医師、看護師、医療ソーシャルワーカー、栄養士、薬剤師など多職種で情報共有を行うカンファレンスを定期的に行っています。さらに、院内の多職種チームに参加することで、当科が関わっていない患者さんに対しても、リハビリテーション医療の視点から患者さんにより良い医療が提供できるようにアドバイスを行っています。

当科の関わるカンファレンス

  • リハビリテーション科カンファレンス
  • リハビリテーション科・脳神経内科合同カンファレンス
  • リハビリテーション科・脳神経外科合同カンファレンス
  • Hybrid assistive limb(HAL)カンファレンス
  • 筋萎縮性側索硬化症カンファレンス
  • 呼吸器内科・リハビリテーション科合同カンファレンス
  • 呼吸器外科・リハビリテーション科合同カンファレンス
  • 経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)カンファレンス
  • 循環器外科・リハビリテーション科合同カンファレンス
  • 循環器内科・リハビリテーション科合同カンファレンス
  • 排泄ケアカンファレンス
  • 集中治療室カンファレンス

当科が関わっている院内の多職種チーム

院内転倒予防ワーキンググループ
排泄ケア

当科のリハビリテーション医療の特色

ALS患者に対するHALを用いた歩行リハビリテーション治療

当科では脳神経内科と協力し、2018年8月よりCYBERDYNE社のHAL®(Hybrid Assistive Limb®)を用いた歩行トレーニングを開始しました。現在では脳神経内科医師、PT 8名、OT 2名でHAL®トレーニングチームを構成して、年間 20 例以上の神経難病の方に対し入院・外来通院でHAL®トレーニングを実施しています。

HAL®とは、人が体を動かすときに発生する筋肉への信号を皮膚から読み取り、動作を認識し、装着者の意思に沿った動きをアシストする装着型サイボーグです。対象の疾患は、進行性の神経難病である筋萎縮性側索硬化症(ALS)、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)、筋ジストロフィーの方です。

当院では、こうした患者さんを対象にHAL®を装着し、歩行能力の維持、下肢の筋力維持・改善を目指し歩行トレーニングを実施しています。疾患が進行するなかで歩行能力を維持し、基本的な動作(起きる・座る・歩くなど)、応用的な動作(食事や着替えなど)、生活活動(家事や掃除など)、仕事や学習活動、趣味活動の継続を目指しています。また、HAL®による歩行リハビリテーションのみならず、神経難病の患者さんに対して視線入力装置や上肢装具の使用方法を説明しています。

間質性肺炎に対する包括的呼吸リハビリテーション医療

間質性肺炎は、肺の間質に炎症や損傷により線維化を起こし、肺機能の低下や運動耐容能の低下、生活の質(QOL)を低下させる予後不良な疾患です。非薬物療法の治療として呼吸リハビリテーション医療が推奨されています。呼吸リハビリテーション治療は、運動療法を中心に呼吸方法や呼吸に関わる筋肉のストレッチ、筋力トレーニング、全身持久力トレーニングから構成されます。軽症から重症な方まで個々の重症度に応じたプログラムを実施します。また、呼吸リハビリテーション医療を通じて病気に関する正しい知識の獲得や運動方法の獲得など自己管理ができることが目標となります。

周術期のリハビリテーション治療

当院ではがん患者さん、心大血管疾患に対して周術期リハビリテーション治療を行っています。周術期リハビリテーション治療とは、手術前から手術後に生じうる身体機能低下や術後合併症を予防することを目的としたリハビリテーション治療です。当院で実施しているものは、乳がん・肺がん・消化器がん、心筋梗塞、狭心症、弁膜症などの患者さんを対象にしています。

乳がんの場合、乳房切除後に生じうる肩関節の可動域制限の予防や、リンパ郭清をすることで生じうるリンパ浮腫の予防を行っています。

肺がんや消化器がんの場合は、術後の呼吸機能低下に伴う無気肺や肺炎を予防するために呼吸機能の改善を目指して運動を行なっています。さらに、入院中の筋力や体力の低下を防ぐために、上下肢の筋力と持久力を維持するための運動を行なっています。

心不全患者に対する多職種での教育入院プログラム

心不全は、心臓の機能が悪いことで息切れやむくみが起こり、だんだんと生命を縮める病気です。高血圧や糖尿病、動脈硬化性疾患は心臓の機能の低下(弁膜症や心筋障害、冠動脈疾患)を起こし心不全の原因となります。

心不全は病気に対する知識を身に着け、生活習慣を見直し予防することが重要で、多職種での包括的な教育プログラムが再入院の予防や生命予後を改善します。そこで当院では、心不全悪化を予防し心臓病の患者さんが地域で健康的な生活が送れるよう心不全教育入院を実施しています。教育入院の目標は病気に対する正しい知識の獲得と、運動を含めた生活習慣を見直し自己管理ができることです。入院中には食事、服薬、運動などの観点からの指導や生活習慣の見直しを医師、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士といった多職種チームでサポートしています。当科では、心肺運動負荷試験(CPX)の結果をもとに心不全患者に対し1人1人に合った運動方法を患者さんに提案および実践します。

直腸癌術後の排便障害予防のためのバイオフィードバック訓練

直腸癌は手術手技の進化により肛門を温存可能となりました。肛門機能を「可能な限り温存する「括約筋間直腸切除術(Intershincteric resection: ISR)」という手術法です。ISRを行う場合、原則として初回の手術で一時的な人工肛門造設を行い、術後数ヶ月以降に人工肛門閉鎖手術を行う二期的手術が行われます。肛門を外見上は温存できても、手術後に便が漏れやすくなるといった新たな問題が認められるようになりました。こうした状態を、低位前方切除後症候群(Low anterior resection syndrome: LARS)と言います。便が漏れる症状は、「トイレまで間に合わない」「外出ができなくなる」ことから生活の質の低下に繋がります。
この症状の治療法の一つに骨盤底筋の筋力トレーニングがあります。当科では、直腸癌切除後に人工肛門を閉鎖する前から患者さんにリハビリテーション治療を行っています。具体的な方法は、患者さんが普段意識しにくい肛門括約筋の収縮を筋電図で視覚的に確認するバイオフィードバック訓練を行い、筋収縮力の改善を目指しています。

回復期・維持期の患者さんには近隣の医療機関を紹介

当科は入院中の急性期の患者さんのリハビリテーションを主体としています。
回復期・維持期にある患者さんで、外来通院の必要がある場合には、原則的に近隣の医療機関にご紹介させていただいています。
当院の地域医療支援センターと連携して、地域の協定病院や診療所などとの医療連携推進にも努め、患者さんの日常生活における活動能力の改善、そしてスムースな社会復帰のサポートを目指しています。

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
大森病院 リハビリテーション科

〒143-8541
東京都大田区大森西6-11-1
TEL:03-3762-4151(代表)
メールアドレス:
rehabilihp-omori@ml.toho-u.jp
※患者さん個人からの診療内容についてのお問い合わせには、対応できません。

【休診日】
第3土曜日、日曜日、祝日
年末年始(12月29日から1月3日)
創立記念日(6月10日)