医局News

第22回日本病院総合診療学会に参加いたしました。

日本病院総合診療学会発の完全Web開催となった第22回日本病院総合診療医学会ライブ配信に参加致しました。

初日は一般演題で腋窩リンパ節菊池病に関する検討を発表させていただき、次いでJUGLERセッション「症例検討から学ぶ診断推論戦略 by JUGLER」に登壇させていただきました。ちょうど一例目が思春期の患者のリンパ節腫脹の鑑別診断に関する症例であり、直前に自分が発表した思春期のリンパ節腫脹の症例と類似しており、とても印象的でした。私はまんまとプレゼンターを務めてくれた埼玉医科大学熊川友子先生の目くらましに引っかかってしまいましたが、他のJUGLERメンバーの鋭い指摘がとても勉強になりました。2例目も「初期治療がうまくいかなかった時にどう考えて振る舞うか」について考えさえられる貴重な症例で、とても勉強になりました。発表してくれた東京ベイ・浦安医療センターの松尾裕一郎先生の一流の臨床家としてのセンスと勇気に頭が下がりました。
初日の夜には学会サテライト企画として2回目のWeb開催となる若手部会Meet the expertsを開催させていただきました。柄にもなく司会を仰せつかり、緊張しましたが、埼玉医科大学熊川友子先生、飯塚病院鵜木友都先生、代表の名古屋大学近藤猛先生、コロナ専門病院で奮闘中の藤田保健衛生大学近藤敬太先生をはじめ、皆様に助けていただき、素敵な会となりました。

瓜田教授もExpertsとして参加してくださり、乾杯の音頭をとっていただきました。ひとりのExpertsだけでも2-3時間お話を聞きたいようなゲストが一堂に会してくださり、「盆と正月とクリスマスと夏休みが同時にきたような」贅沢な時間を過ごせました。
東邦大学の学生さんも最後まで参加してくれたことが何より嬉しかったです。
総合診療の未来は明るいと確信できました!
2日目は9:00から若手部会目玉企画の一つである「総合診療医が病院長を務めることで病院に生じる効果 - 指導医へのステップ:明日から使える Faculty Development」の司会をさせていただきました。今回は佐賀大学医学部付属病院長兼総合診療部教授の山下秀一先生にご講演いただきました。朝一番のセッションにもかかわらず多くの先生方にご参加いただきました。私は以前から「高度医療機関と初学者のための教育機関としての大学病院のジレンマの解消こそが大学病院総合診療科の使命」だと考えてきたので、山下教授が冒頭で大学病院長とは「大学病院長は高度医療機関(厚労省管轄)の長であると同時に、初心者の為の教育機関(文科省管轄)の長でもある」と話されたことに強く感銘を受け、とても勇気をいただきました。
救急医・開業医としての経験もある山下教授が、総合診療医の歴史を第1世代:サブスペシャリティ+総合診療→ 第2世代:優秀なジェネラリスト→ 第3世代:臨床・研究・教育を通じて後進を育成できるジェネラリストと位置付け、新しい世代の総合診療医に大変な期待を寄せてくださっていることを知り、胸が熱くなりました。
「病院長は常にだれかと対立せざるを得ない仕事、誰かに「ダメだ」という仕事なので、度胸がないと務まらない。」と覚悟をお話された一方で、「院長の仕事は病院内に「対立軸を作らない」ことだ!」と強調されていたことも印象的でした。
現場しか知らない私達若手にとって、「経営はお金だけに走ってはいけない。しかし、しっかりとした経営基盤がないと質のいい診療は担保できない 。経営と診療の質は相関する。」との信念を持って経営・運営に当たっている多様な院長の仕事を知ることができたことはとても貴重だったと思います。
瓜田先生もチャットで私立大学との違い等、コメントをくださり、講演会を盛り上げてくださいました。

2日目は最後のシンポジウム「総合診療医のための臨床研究の TIPS by JUGLER」に登壇させていただきました。仲間づくり、メンター・メンティの見つけ方や共同研究の話で議論が盛り上がり、Cutting edgeな総合診療領域の研究テーマやカテゴリー化の必要性等、とても指摘的な時間を過ごせました。
ちょうどその頃、レジデントの繁田先生は一般演題「サラゾスルファピリジンによる薬剤性メトヘモグロビン血症の一例」を発表してくれていました。繁田先生、見に行けなくてごめん。

そして、オンデマンド配信では沖中君が果敢に挑んでくれた一般演題「細菌性腸炎とウイルス性腸炎の臨床的鑑別」が配信中です!

今回も実り多き学会でした!次回も頑張ります!

文責: 佐々木 陽典

発表演題一覧:

2/20 ランチョンセミナー 2 「COVID-19の病態・診断・治療・感染対策」
座長:瓜田 純久 演者:三鴨 廣繁

一般演題「腋窩リンパ節菊池病図に関する検討〜腋窩診察の重要性〜」
○佐々木 陽典、繁田 知之、森 岳雄、竹下 智史、柏木 克仁、鹿嶋 直康、小松 史哉、鈴木 健志、 山田 篤史、河越 尚幸、貴島 祥、竹本 育聖、前田 正、宮﨑 泰斗、瓜田 純久
一般演題「サラゾスルファピリジンによる薬剤性メトヘモグロビン血症の一例」
○繁田 知之、佐々木 陽典、森 岳雄、竹下 智史、柏木 克仁、鹿嶋 直康、小松 史哉、鈴木 健志、 山田 篤史、河越 尚幸、貴島 祥、竹本 育聖、前田 正、宮崎 泰斗、瓜田 純久
一般演題「細菌性腸炎とウイルス性腸炎の臨床的鑑別」
○沖中 郁実、佐々木 陽典、瓜田 純久
シンポジウム「総合診療医のための臨床研究の TIPS by JUGLER」
座長:多胡 雅毅(佐賀大学医学部附属病院 総合診療部 准教授・副部長・副診療科長)
シンポジスト:
志水 太郎(獨協医科大学 総合診療医学)
佐々木 陽典(東邦大学医療センター大森病院 総合診療・急病センター)
鋪野 紀好(千葉大学医学部附属病院 総合診療科)
和足 孝之(島根大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター)
高橋 宏瑞(順天堂大学医学部 総合診療科)

JUGLERセッション「症例検討から学ぶ診断推論戦略 by JUGLER 」
座長:多胡 雅毅(佐賀大学医学部附属病院 総合診療部)
パネリスト:
志水 太郎(獨協医科大学 総合診療医学)
佐々木 陽典(東邦大学医療センター大森病院 総合診療・急病センター)
鋪野 紀好(千葉大学医学部附属病院 総合診療科)
和足 孝之(島根大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター)
高橋 宏瑞(順天堂大学医学部 総合診療科)
指導医へのステップ:明日から使える Faculty Development
「総合診療医が病院長を務めることで病院に生じる効果 - 指導医へのステップ:明日から使える Faculty Development」
演者 :山下 秀一(佐賀大学医学部附属病院 病院長 兼 総合診療部教授)
司会:
近藤 猛(名古屋大学医学部附属病院)
山下 駿(佐賀大学医学部附属病院)
佐々木 陽典(東邦大学医療センター大森病院)

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
大森病院 総合診療・急病センター

〒143-8541
東京都大田区大森西6-11-1
TEL:03-3762-4151(代表)