広報誌The Expert令和3年11月号(No .145)に掲載していただきました。
病院広報The Expert令和3年11月号(No .145)に下記の記事を掲載していただきました。今回で2回目の掲載となり、今回は新型コロナウイルス感染症への対応と病院総合診療専門医制度について紹介させていただきました。
https://www.omori.med.toho-u.ac.jp/iryo_kankei/koho/od6k060000008ozf-att/Expert145-2.pdf
緊張で汗をダラダラかきながらの写真撮影でしたが、思った以上に顔写真の写りがよくて安心いたしました^^;
病院総合診療医による新型コロナウイルス感染症と専門領域の谷間への対応
2006年に東邦大学医学部を卒業して大森病院で臨床研修の後、臓器の枠に囚われずに患者さんの役に立てる医者を志し、聖地として憧れていた沖縄県(本島・石垣島)で5年半に渡って研鑽を積みました。専門医療機関であると同時に、多くの医療人が初めて患者さんに触れ合う教育機関でもある大学病院でこそ総合診療医の活躍が必要だと考え、2014年から当院総合診療・急病センターで臨床・教育・研究に励んでおります。
(1) 新型コロナウイルス感染症と総合診療
前回2018年に原稿を執筆させていただいて以降の最大の変化は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の襲来です。当院では総合診療・急病センターが呼吸器内科、救命救急センターとともにCOVID-19対応の中心的役割を担ってまいりました。総合診療医は「医師の海兵隊」「病院のインフラ」に例えられることがありますが、その例えが示すように、総合診療科はCOVID-19の診断・初期治療・病棟運営に関与し、COVID-19とそれ以外の疾患の狭間に身を置いてきました。COVID-19を意識しすぎるあまりに他の緊急疾患が見逃される状況を、私達はCOVID blindness(盲目)と呼んでおり、これをいかに予防するか、総合診療の重要な「診断エラー」研究として取り組んでおります。
(2) 病院総合診療医と診断のつかない愁訴への対応
高度に専門化された医療の恩恵は計り知れません。一方で、専門領域の谷間で苦しんでいる患者さんも多く、過度の専門化への反省から2018年には総合診療専門医が新設されました。しかし、病院を活躍の場とする総合診療医のキャリアは不透明でした。そこで、私自身も研修プログラムワーキング委員の一員として関わらせていただき、2021年度に病院総合診療専門医制度の設立に至りました。この制度では、病院管理を病院総合診療専門医に求められる特徴的な能力の一つに位置付けており、COVID-19対応での病院総合診療医の活躍も、その証左ではないかと感じております。
私自身も研鑽を続け、専門領域の谷間で苦しむ方々に寄り添える「やさしい医療」を実践し、後輩に病院総合診療の魅力を伝えてゆきたいと思っております。発熱、倦怠感、むくみ、腓返り、痛み、口渇といった原因不明の症状でお困りの際には、病名や診療科にこだわることなく、ぜひ総合診療科にご相談いただければ幸いです。
私自身も研鑽を続け、専門領域の谷間で苦しむ方々に寄り添える「やさしい医療」を実践し、後輩に病院総合診療の魅力を伝えてゆきたいと思っております。発熱、倦怠感、むくみ、腓返り、痛み、口渇といった原因不明の症状でお困りの際には、病名や診療科にこだわることなく、ぜひ総合診療科にご相談いただければ幸いです。

文責: 佐々木 陽典