医局News

第24回日本病院総合診療医学会に参加致しました。

すっかり報告が遅くなってしまいましたが、2月26日-27日にWeb開催された第24回日本病院総合診療医学会に参加致しました。
今回もJUGLERのメンバーでの発表の機会を多くいただき、一般演題も3演題発表させていただきました。また、今回は西江先生、斎藤先生、繁田先生も素晴らしい発表してくれました。
初日はご好評いただいている(そして何より私たち自身が一番楽しんでいる)JUGLERセッション「症例検討から学ぶ診断推論戦略 by JUGLER(Vol. 3)」 にディスカッサントとして参加させていただきました。
埼玉医科大学病院の水流佐方里先生、 熊川友子先生に大変勉強になる多発性骨髄腫の一例をご発表いただき、東京ベイ・浦安市川医療センター小平翔太先生、増田陽平先生に病歴聴取の重要性を再認識させる遺伝性血管浮腫の一例をご発表いただきました。いつもながら志水先生の神コメントを数多く伺うことができ、とても勉強になりました。今後の自分のコメントがどうあるべきかについても考えるきっかけになりました。

志水太郎先生の印象的なクリニカル・パール(一部):
  •  中点の法則:複数の部位に疼痛を訴える場合は中点の病変を考えよ。
  • 突然発症では50歳以上であってもオッカムの剃刀(一元的思考)を適応した方がよい。
  • 50歳以上の患者の消化器症状は「挨拶代わり」と考えよ。非特異的な症状であり、消化器疾患も非消化器疾患のいずれも考えられるLow yieldな病歴と考えよ。
(これは、まさに私がなんとなく感じていたけど言語化できていなかったことであり、これを聞いた多くの臨床医が「これだ!」と膝を打ったと思います。ベスト・パールです!!)

  • 高齢者の多発外傷では家庭内暴力を考えよ。
  • 区域性の痛みではPinch testをせよ。
  • 短期間で跡形もなく改善する病歴では血管系疾患とアレルギー疾患を考えよ。
順調な進行は毎回鋪野先生の名司会(誘導)と多胡先生の完璧なタイムマネージメントの賜物です。お二人の手のひらで転がされている時間がとても心地よかったです。
また、今回は「臨床研究の極意 by JUGLER —つまずきポイントから解決法を探る—」として若手が研究を実践するうえでの障壁をどうクリアしてゆくかについて話し合いました。他のJUGLERメンバーが研究の実践のために日々どのような努力を重ねているのかを詳細に知ることができて、とても刺激になりました。一人でも多くの若手の背中を押すことができたとすれば幸甚です。
一般演題では、「胃癌術前検査の FDG/PET-CTで認められた COVID-19 ワクチン接種後の腋窩リンパ節への反応性集積」、「スギ花粉舌下免疫療法により惹起された好酸球性心外膜炎および食道炎と思われる一例」、「顔面腫脹を呈して心臓周囲まで達した歯科処置による医原性縦隔気腫」の3演題を発表しました。
3演題とも近日中に本学会の英語雑誌に掲載が決定しておりますので、ご興味のある方はぜひ症例報告をご一読ください。
学びのあった症例を、そのままにせず、省察して、発表して、論文/報告として形に残すという一連の過程をすべての演題で実現できたことを非常に嬉しく思っております。

斎藤隆弘先生は多忙な日常診療をこなしつつ、直前の私からの無茶振りに見事に応え「炭酸リチウムによる腎性尿崩症を呈した一例」について発表してくれました。

西江龍太郎先生は「悪心嘔吐を主訴に来院し、進行する認知機能障害、尿失禁が同一の疾患によるものと診断した一例」として、組織学的に証明された神経核内封入体病の一例を発表してくれました。まさに診断医の執念により診断がついたとても稀で多くの臨床医にとって有益な貴重な症例であり、ぜひ症例報告として世界に広く発信してほしいと思います。

大船中央病院に出向中の繁田知之先生も、大船中央病院で経験させていただいた「難治性頭痛の精査で診断に至った再発性多発軟骨炎の一例」を発表してくれました。

今回の学会は、昨年まで私が副代表を務めさせていただいていた若手部会の躍進と溢れ出るエネルギーを実感できる学会でした。Journal clubという新しい試みに加え、非常に実践的な画像論文投稿のための講演は完成度の高さとディスカッサントのハイレベルな議論に感嘆しました。

オンラインでの開催が続いている飲み会企画Meet the expertsも更に進化し、Zoomの機能をフル活用することでリアルな飲み会のような雰囲気が楽しめました。

さっそく次の学会が楽しみになる素晴らしい学会でした!

私の代理としてOSCEに出席してくれた山田篤史先生、私の代わりに大量の呼気検体を測定して下さった佐藤さんをはじめ医局の皆さん、そして様々な発表演題を通じて貴重な勉強の機会を下さった患者さんに感謝申し上げます。
文責:佐々木 陽典

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大森病院 総合診療・急病センター

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