中嶋均客員教授と共著した研究論文が掲載されました。
報告がすっかり遅くなってしまいましたが、当院の感染性腸炎入院症例のデータをもとに細菌性腸炎とウイルス性腸炎の臨床的特徴について検討した論文が9月に日本病院総合診療医学会の英語雑誌Journal of Hospital General Medicineに掲載されました。

本研究では、細菌性腸炎44例とウイルス性腸炎26例の入院症例の比較により、細菌性腸炎はウイルス性腸炎よりも
細菌性腸炎を示唆するはずの血便が若年のウイルス性腸炎でも認められて入院となる原因として、2018年3月まで当科教授としてご指導いただいていた中嶋均客員教授が以前から提唱されていた「感染性腸炎惹起性虚血性腸炎」に関する先行研究を紹介し、ウイルス性腸炎により腸管が浮腫を起こした結果、腹腔内圧等の上昇によって腸管血流が低下して虚血性腸炎が発症したが、当初の原因となったウイルス性腸炎と診断され、入院となった可能性があることを提唱しました。
対象症例数が少なさやpost hoc研究であることもあって、比較的購読者の限られた雑誌に掲載される結果となりましたが、中嶋先生がご自身の臨床経験を通じて提唱に至った「感染性腸炎惹起性虚血性腸炎」の存在を裏付け、他の施設の医師にも知っていただける機会を得られたことをとても嬉しく思っております。
中嶋先生をはじめ共著くださった先生方のご指導に感謝申し上げます。
- 悪心・嘔吐よりも下痢・腹痛・発熱が目立つ
- 経過が長い
- CRP値が高い
- 高齢での入院症例では細菌性腸炎よりもウイルス性腸炎が多い
- 細菌性腸炎の特徴とされている血便がウイルス性腸炎でも同様に認められる
- カンピロバクター腸炎では右下腹部圧痛が多い
- 左下腹部痛をきたす感染性腸炎は少ない
- エルシニア腸炎(いわゆる偽虫垂炎)で右下腹部圧痛をきたす症例はなかった
細菌性腸炎を示唆するはずの血便が若年のウイルス性腸炎でも認められて入院となる原因として、2018年3月まで当科教授としてご指導いただいていた中嶋均客員教授が以前から提唱されていた「感染性腸炎惹起性虚血性腸炎」に関する先行研究を紹介し、ウイルス性腸炎により腸管が浮腫を起こした結果、腹腔内圧等の上昇によって腸管血流が低下して虚血性腸炎が発症したが、当初の原因となったウイルス性腸炎と診断され、入院となった可能性があることを提唱しました。
対象症例数が少なさやpost hoc研究であることもあって、比較的購読者の限られた雑誌に掲載される結果となりましたが、中嶋先生がご自身の臨床経験を通じて提唱に至った「感染性腸炎惹起性虚血性腸炎」の存在を裏付け、他の施設の医師にも知っていただける機会を得られたことをとても嬉しく思っております。
中嶋先生をはじめ共著くださった先生方のご指導に感謝申し上げます。
文責:佐々木 陽典