医局News

第27回日本病院総合診療医学会が日本医大で開催されました。

 8月26日(土)27日(日)の2日間、第27回日本病院総合診療医学会が日本医科大学 橘桜会館・教育棟にて開催され、多くの参加者が千駄木に集結しました。日本医科大学医学部長 安武正弘教授が会長を務め、コロナ感染第9波の影響を考慮して、ハイブリッドでの開催となりました。
 前日の理事会懇親会は上野の由緒ある韻松亭で開催されました。歴史ある日本医科大学と同様に重厚な作りの日本料理で、大広間の柱や梁を見て、思わず刀傷を探してしまいました。
 学会初日の第一会場では、JUGLERセッション「症例検討から学ぶ診断推論戦略」で佐々木先生が登場しました。獨協医大の志水教授とともに、臨床推論を進め、ツツガムシに辿り着くまでの多様な思考回路が展開されました。
その時間、第4会場では小松先生が神経セッションの座長を担当しました。小松先生はNHKアナウンサーのような落ち着いた話し方で、発表する演者のよさを引き出してくれました。
午後は若手医師と病院総合診療医像・専門医制度について議論するシンポジウムが組まれ、佐々木先生が参加し、熱い議論が展開されました。
 会場となった日本医大は救急救命センターが有名ですが、当日も救急車が横付けにされ、患者さんが搬送されていました。
二日目は「Society 5.0時代における総合診療医育成のGood Practice 」に三たび佐々木先生が登場。このセッションでは大学医学部教育から教養科目が大きく削減され、臨床実習が前倒しされている現状の問題点が討論されました。順天堂大学の高橋先生が哲学の古典である「トロッコ問題」を取り上げて発言され、千葉大学の鋪野先生から、今後の医学教育には「医学と哲学」という領域が登場することが示されました。日本の大学では人文系学部が大きく削減され、明日役立つ実学に偏在してきた歴史があります。我々臨床医が人文系まで広く学び、学生と議論することができることが求められている時代となりつつあるようです。
 最後のセッションでは「若手医師と臨床研究、論文執筆などのアカデミック活動について議論するシンポジウムー臨床研究の未来を探る」が開催され、佐々木先生がJUGLERメンバーと次世代の若手医師と夢を語ってくれました。
会場となった日本医科大学橘桜会館には大学の歴史資料が数多く展示されていました。済生学舎から日本医科大学、東京女子医科大学、東京医科大学が分かれていった変遷は圧巻でした。
卒業生として野口英世が紹介され、制服も展示されていました。
また、同所は夏目漱石旧居跡でもあり、様々な歴史に思いを馳せる機会となりました。
それにしてもChat GPTを使った臨床推論のスピードと情報量には度肝を抜かれました。現病歴を英語で入れると10秒足らずで鑑別診断や治療法などが提示され、日本語変換をクリックすると、数秒で日本語になりました。AIを利用した診断は医師だけではなく、患者さん自身も十分活用できるクオリティです。患者さん自身がAIで診断し、薬局に薬を買いに行く時代になるのでしょうか?
 95年前にケインズが20世紀末までに英国・米国ではテクノロジーの進歩により、週15時間労働が達成されると言っておりましたが、デジタル化は情報のアウトプットを指数関数的に増加させ、それを目視で確認するという膨大なアナログ作業を生み出してしまいました。AIの登場により、この傾向がさらに加速していきます。AIを使った診断治療という作業に習熟する一方、思考の空洞化を懸念しているのは私だけでしょうか?
 佐々木先生、小松先生、週末返上で大変お疲れ様でした。次回は博多での開催になります。
文責:瓜田 純久

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