医局News

大森祭で公開講義を行いました。

10月14日・15日の2日間に渡り、医学部と看護学部合同で開催された東邦大学大森祭において、「19番目のカルテ:総合診療」と題して公開講義をさせていただく機会をいただきました。
9月に医学教養6で講義を行なってくれた甲藤先生から教えていただいた「19番目のカルテ」です。この講義が決定してから、慌てて古本屋さんから原書?を購入しましたが、1巻を読んだだけで積読状態となっています💦
これまで、多くの診療科で原因不明とされて当科に紹介された患者さんの中から、印象に残る症例を中心に講義を進めていきました。
医学の発展のためとして、大事なことと知りつつ、敢えて見ないふりをしてきた領域が確かに存在します。
多くの情報から普遍的法則を探索する近代医学ですが、臨床現場は個別的命題から演繹的に論理を展開していくことが求められます。標準的治療で改善しないときに、初めて臨床医の本領が発揮されます。
演繹的思考には、基礎医学だけではなく、忘れがちな物理化学的な思考回路の動員も大きな助けとなります。
高校生のような単純な思考回路に戻って、論理を展開する症例についても紹介しました。
レヴィ・ストロースは「野生の思考」において、普遍的な認知的テンプレートから出来事を説明する概念的思考を批判し、感覚から切り離されない具体的なもの(動植物)を使って考える「具体の科学」を挙げて、「認識の二様式」の並立の重要性を述べています。総合診療にとって、極めて示唆に富む主張です。
「具体の科学」が解決してくれる場合、魔法が解けたような感覚を訴える患者さんも少なくありません。
時間の限られた医療現場では、思考回路を柔軟に展開する余裕がなく、「文字を追いかける」言語活動の道具化が懸念される場面に遭遇します。
「臨床」とは何か、改めて考えさせられることは、医師ならば誰でも少なくないと思います。
多くの方々が日曜日の午後という時間に参加して下さいました。「19番目のカルテ」は医学部を目指して受験勉強していた頃の想いを形にした講義でした。貴重な機会を頂いた大森祭実行委員の皆様、ありがとうございました。
文責:瓜田 純久

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