「おかげさん」第15号 全身倦怠感記事掲載のご報告
このたび、東邦大学医療センター大森病院の広報誌「おかげさん」第15号(近日中にWeb掲載予定)において、総合診療・急病センターとして「全身倦怠感」をテーマとした記事を執筆いたしました。
全身倦怠感は、「だるい」「力が入らない」といった非常にありふれた訴えである一方、症状の局在が乏しく、原因の特定が難しいという特徴があります。その背景には、感染症から内分泌疾患、悪性腫瘍、精神疾患まで多岐にわたる病態が潜んでいます。
本稿では、このような診断困難な症状に対して、総合診療医がどのようにアプローチするか、特に病歴聴取と身体診察を軸とした臨床推論の重要性について解説しました。
また、患者の訴えの解釈や過剰検査を避けた段階的評価など、日常診療に直結するポイントも提示しています。
総合診療科の強みである臓器横断的視点と心理社会的要因を含めた統合的評価の重要性を発信する内容となっています。
掲載記事(転載)
「全身倦怠感」という症状の難しさ— 総合診療科の役割 —
「だるい」「力が入らない」といった全身倦怠感は頻度の高い訴えですが、痛みのように部位が特定できず、原因特定が難しい症状です。臓器別専門医にとっては評価が困難な場合も少なくありません。
全身倦怠感の原因は、感染症、呼吸・循環器疾患、貧血、肝障害、代謝・内分泌疾患、悪性腫瘍など極めて多岐にわたります。さらに、その時間経過によっても、考えるべき疾患は異なります。急激な倦怠感では、急性心筋梗塞や敗血症など緊急性の高い病態をまず想定します。一方、長引く場合は副腎、甲状腺、下垂体などの内分泌異常や悪性腫瘍などを幅広く考える必要があります。さらに、うつ病・不安障害などの精神疾患でも倦怠感が目立つことがあります。意欲低下、睡眠障害を伴う場合には、身体疾患とあわせて慎重に評価することが重要です。
患者さんが「力が入らない/歩けない」とおっしゃることがありますが、これは必ずしも麻痺を意味するとは限りません。真の筋力低下と、だるさによる全身脱力とは異なり、ここを誤ると診断の方向性が大きくずれてしまいます。反対に、息切れや発熱、動悸といった症状を「だるい」と表現される患者さんもおり、背景に呼吸・循環器疾患や感染症が隠れている場合もあるため、注意を要します。
しらみつぶしの検査は患者さんの身体的・経済的負担を増やします。病歴と診察を軸に鑑別を整理し、段階的に評価する姿勢が求められます。
全身倦怠感は臓器横断的な視点と心理社会的要因を考慮した対応を必要とする症状であり、総合診療科の得意分野です。重症疾患を見逃さず、過剰検査を避けつつ、心理社会的要因も含めて統合的に評価し、原因を系統的に検索して診断に到達することを専門としています。原因を明らかにすることは、患者さんに適切な治療の機会を与えることに直結します。
倦怠感が2週間以上続く、食欲不振・体重減少・盗汗を伴う場合などには、ぜひご紹介ください。
全身倦怠感は、「だるい」「力が入らない」といった非常にありふれた訴えである一方、症状の局在が乏しく、原因の特定が難しいという特徴があります。その背景には、感染症から内分泌疾患、悪性腫瘍、精神疾患まで多岐にわたる病態が潜んでいます。
本稿では、このような診断困難な症状に対して、総合診療医がどのようにアプローチするか、特に病歴聴取と身体診察を軸とした臨床推論の重要性について解説しました。
また、患者の訴えの解釈や過剰検査を避けた段階的評価など、日常診療に直結するポイントも提示しています。
総合診療科の強みである臓器横断的視点と心理社会的要因を含めた統合的評価の重要性を発信する内容となっています。
掲載記事(転載)
「全身倦怠感」という症状の難しさ— 総合診療科の役割 —
「だるい」「力が入らない」といった全身倦怠感は頻度の高い訴えですが、痛みのように部位が特定できず、原因特定が難しい症状です。臓器別専門医にとっては評価が困難な場合も少なくありません。
全身倦怠感の原因は、感染症、呼吸・循環器疾患、貧血、肝障害、代謝・内分泌疾患、悪性腫瘍など極めて多岐にわたります。さらに、その時間経過によっても、考えるべき疾患は異なります。急激な倦怠感では、急性心筋梗塞や敗血症など緊急性の高い病態をまず想定します。一方、長引く場合は副腎、甲状腺、下垂体などの内分泌異常や悪性腫瘍などを幅広く考える必要があります。さらに、うつ病・不安障害などの精神疾患でも倦怠感が目立つことがあります。意欲低下、睡眠障害を伴う場合には、身体疾患とあわせて慎重に評価することが重要です。
患者さんが「力が入らない/歩けない」とおっしゃることがありますが、これは必ずしも麻痺を意味するとは限りません。真の筋力低下と、だるさによる全身脱力とは異なり、ここを誤ると診断の方向性が大きくずれてしまいます。反対に、息切れや発熱、動悸といった症状を「だるい」と表現される患者さんもおり、背景に呼吸・循環器疾患や感染症が隠れている場合もあるため、注意を要します。
しらみつぶしの検査は患者さんの身体的・経済的負担を増やします。病歴と診察を軸に鑑別を整理し、段階的に評価する姿勢が求められます。
全身倦怠感は臓器横断的な視点と心理社会的要因を考慮した対応を必要とする症状であり、総合診療科の得意分野です。重症疾患を見逃さず、過剰検査を避けつつ、心理社会的要因も含めて統合的に評価し、原因を系統的に検索して診断に到達することを専門としています。原因を明らかにすることは、患者さんに適切な治療の機会を与えることに直結します。
倦怠感が2週間以上続く、食欲不振・体重減少・盗汗を伴う場合などには、ぜひご紹介ください。
文責:佐々木 陽典