救急医療にこそ求められる”全人的医療”を心がけています。

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東邦大学医療センター
大森病院 総合診療・急病センター

〒143-8541
東京都大田区大森西6-11-1
TEL:03-3762-4151(代表)

年頭のご挨拶

新年明けましておめでとうございます.昨年は,東邦大学総合診療科の目指す方向性が明確になった意義ある一年でした.医局員の頑張りに改めて敬意を表したいと思います.ありがとうございました.

医局員がそれぞれの個性を生かし,個々に重要な役割に取り組むことにより,総合診療科がひとつの生物のように個性をもって機能を発揮し始めることができたような気がします.個々が同じ目的意識で行動すると,その行動はシンクロし,イワシの大群や渡り鳥の編隊飛行のように,美しくかつ効率的な動きをすることが知られています.日常業務を忙しく行っていると,限られた場所での限られた動きになってしまい,病院全体の動きを感じとることは難しいところです.イワシや渡り鳥も,集団の形を見ることはできませんが,隣との距離を一定範囲内にするという単純な規則だけで,まるで指揮者がいるかのような動きをします.各々の仕事を着実に行うという単純な法則のみで,総合診療科は大きな機能体として成長することができるのかもしれません.

臨床医学ではエビデンスが重要であることは言うまでもありませんが,エビデンスは実は多くの過程の上に成り立っていることも事実です.「病名」という集合名がわかれば,治療はガイドライン通りに決まりますが,集合の定義が曖昧であれば,エビデンス以前の問題となってしまいます.同じ診断でも,どうして個別に症状が異なるのか,なぜ治療への反応は異なるのか,なぜ遺伝的要因が明らかでも発症しないのか,臨床現場では思考回路の俎上にすら上らずに,ガイドライン通りに診療して診療が終了する場合も少なくありません.根本的な思考力には,柔軟性と自然科学的な基礎力が求められます.これは臨床医にとって,重要なスキルと思われます.

東邦大学総合診療科は臓器別の思考回路から脱却し,生体で営まれている細胞間・臓器間の複雑な相互作用を意識した思考回路の涵養を目指しています.そして,「高度な思考回路に立脚した暖かい診療」を目指して努力して参ります.本年もご指導を賜りますようお願い申し上げます.

文責 瓜田純久