
救急医療にこそ求められる”全人的医療”を心がけています。
第8回 総合診療 土曜会「耳学問を検証する」が開催され、多くの研修医が参加してくれました。
総合診療科は土曜日の昼に定期的に講演会を開催しています。

- 下痢は本当に止めてはダメなのか?
- 腹痛・嘔気にPPI,H2-RAを点滴するのか?
- 下痢・嘔気にガスター、プリンペランを点滴するのか?
- 整腸剤は本当に効くのか?
- 咳は止めていいのか?

研修医時代、先輩に教わった治療が、調べても調べても文献でみつからないことがありました。困りました。嘔吐だけではなく、日常的に使う薬は、延々と耳学問で指導されることがあります。その通りに治療すると、患者さんがよくなってとても嬉しい気持ちになると、その治療法の医学的根拠が乏しくても、成功体験として刷り込まれてしまいます。すると、その疾患について考えなくなり、文献を読むことをしなくなることも少なくありません。成功体験には理論的根拠がある場合もありますが、ときに偶然の回復を自らの治療の効果と錯覚してしまうこともあります。文字での確認はそんな錯覚を気づかせてくれます。自分の治療が正しいのか、運良く治っただけなのか、運よく治る確率も決して忘れることはありません。
嘔気と咳嗽も一緒に文献をみると、とても似ていることをお話しさせていただきました。どうして下痢はとめてはいけないのに、平気で鎮咳薬を処方するのか、みんなで考えてみました。

みんな熱心に聞いてくれてありがとうございました。研修の最後に心に残る講演ができたなら、こんなに嬉しいことはありません。
2016年度も笑顔で最先端の医療を提供できるユニットとして、東邦大学総合診療科は進化していきます。よろしくお願い致します。
文責 瓜田純久